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銀の働き部屋

管理人銀河の、日記兼テキストサイトです。取り扱うジャンルは主にヤングガンガン連載のWORKING!!になると思います。最近は東方の霖之助小説を書くのにも夢中。どうかよろしくお願いします。リンクはフリーです。感想は常に受付中です!もらえたら泣いて喜びます

仕事場のエンジェル マンガ家さんとアシスタントさんと小説 愛徒×足須



 マンガ家さんとアシスタントさんと小説がとりあえず完成しましたので載せたいと思います。
 カップリング・・・と言えばいいのかどうかはあれですが、愛徒×足須小説になっております。途中、自分で読み返してても愛徒の台詞が気持ち悪いシーンがあるのですが、落ち着いて考えれば原作でも気持ち悪いのでセーフじゃーん(ぇぇ
 というわけで、タイトル『仕事場のエンジェル』で。どうぞ。











 その部屋は、戦場そのものだった。
 部屋に漂う空気は、静かながらも確かな緊張感を孕み、その緊張感は・・・間違い無く、背中合わせになるように置かれた作業机に座っている二人から発せられている。
 その場に響く音は、ペンが机の上に置かれた原稿用紙を叩く細かい音。そして、微かな男女の息遣いの音だけだ。

 この部屋の主であり、漫画家の愛徒勇気。そして、そのアシスタントである足須沙穂都。
 部屋にいるのはこの二人だけだ。
 原稿の進行具合が順調な場合(殆ど無い)は、愛徒の趣味100%なアニメソングやらギャルゲソングやらエロ(略)ソングやらが流れていたりもするのだが、本日はそのような余裕すら全く無い状況だった。
 締め切りは明日の夜。そして、原稿の進行状況は半分をやっとすぎたばかりというところ。決して速筆とは言えない愛徒にとっては相当厳しい状況といえる。
 徹夜は間違いない。更に、飯を食う時間も惜しいという状況だった。ある程度厳しい状況はいつもの事だが、その厳しい状況の中でも今回はトップクラスだ。

 足須は、仕事を黙々とこなしながらこのような事を考えていた。

(先生の原稿の進行と私の仕事の進行は殆ど同じペース。このペースで行けば、2時間は余裕を持って仕上げられるはず)

 と、足須は既に数時間は机に向かいっぱなしのはずにも関わらず、丁寧かつ迅速に次々と与えられた仕事を終えていく。最初は慣れなかったこの仕事も、何回という修羅場を潜り抜け、彼女はハッキリ言って愛徒以上の成長を遂げた。
 更に、あと数十分ほどでもう一人のアシスタントである風羽(ふわ)りんなも到着するはず、と足須はますますやる気を高め、仕事に熱中した。風羽はアシスタント暦こそ足須に及ばぬものの、とても素直だし、何より仕事場の空気が彼女がいるだけで和らぐ。それは、愛徒だけでなく、足須にとってもとてもありがたいことであった。


 そんな時、愛徒は人差し指を顔の前でひたすらぐるぐる回しながらこんな事を考えていた。

(まずい。先ほどから会話が無い・・・!! どうしよう! このままだと足須さんに『先生ってこういう時にアシスタントを励ますような事すらできないんですか? 役立たずですね』とか思われちゃってるかもしんない!! で、でも、ここで何を話せばいい方向に会話が弾むんだろう・・・仕事の話? ダメだ。余計に空気が重くなるかもしんない。じゃ、じゃあ思い切って今度みんなででかけない!? とか・・・ああ! でも怒っちゃうかも! じゃ、じゃあ・・・もうヤケでなんか褒めようか。髪型可愛いね、とか。服可愛いね。とか。いや、いつも可愛いけどね? 今日も同じくらい可愛い・・・いや、待て。同じくらい可愛いっていう言葉は女の人はどう受け取るんだろう? やっぱり、日増しに綺麗になってるって言われた方がいいのかな? で、でも老けてることですか? とかって聞かれても凄い困るし。いやいや! 君はいつも可愛いよ!? なんて言ったら足須さんったら顔赤らめて『バ・・・バカ』とか言われちゃったりしてってもういやんバカ! そんなことになるわけないじゃないか! 生きてきた年齢=彼女いない暦の男は変な妄想しかできない! ああ、どうしよう。いっそのことご飯タイムにしようか。実を言うと、昨日ちゃんと牛乳から作ったシチューが凄い美味しくできたからそのことで褒めてもらおうかなあ。いや、でも・・・)

「先生!!!」

「ひゃああううっ!?」

 突然背後から発せられた大声に、愛徒は聞いたら思わず吹き出すほど情けない声をあげて、それだけならまだしもビビリすぎてテーブルからずり落ちた。勢い余った中学生でも最近はこうはならないと思われる。

「なななな、なあに足須さん・・・!?」

 椅子に手をかけ、腰でも抜かしたのか立てず、女の子みたいな開脚座りで上目遣い、更には涙すらうっすらと浮かべ怯えきった震えた声で聞いた。
 足須は、はあと溜息を一つついてから、綺麗に処理の施された原稿用紙を一枚、愛徒の目の前に差し出した。

「終わったから、次の原稿をください」

 と、しっかりと愛徒の目を見ながら落ち着いた表情でそう言った。
 愛徒は、「へえ?」と声を裏返しながら言ったが、ゆっくりと原稿用紙を受け取り、手の力をフル活用しながら椅子の上に座りなおした。

「先生・・・原稿を・・・」

 足須が確認するかのようにそう言うと、愛徒は体を震わせてから、相当焦った様子で答えた。

「あ、ご、ごめん。あと5分で終わるから少し待っててね?」

「・・・早くしてくださいね」

「は、はひい・・・」

 情けなくそう返し、愛徒は若干現実逃避してしまっていた執筆作業に復帰した。しばらくくだらない、本当にくだらない思考に没頭してしまっていたため、3分ほど完全に手が止まってしまっていた。ギリギリの状況とはとても思えない馬鹿である。でもね? 男はこんなことばかり考えているんだよ? 誰に対するフォローだこれは。

「・・・先生、何か原稿の進み遅くないですか?」

「い、いいやあ!? ちょっと、手直ししたいところがあって・・・そのね?」

「・・・時間無いんですから、真面目にやってください」

 冷たい、吐き捨てるかのような言葉。
 聞いた瞬間、愛徒の体は凍りつき、その姿こそ足須に見せないものの涙がぼろぼろと零れて来た。

(どうしよう、怒ってる・・・凄い怒ってるよお・・・! 早く、早くやらなきゃ!)

 愛徒が早く仕上げようと腕を大きく動かす。
 が、

 ガチャン!

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 沈黙が、二人しかいない小さな部屋に染み渡る。
 足須が後ろを振り返った。そこには、机から大量のインクが零れ落ちているのをどうすることもせず、ただただ空中で腕を緊張した様子で凍りつかせている愛徒がいた。

「・・・ごご、ごめん・・・!」

 首を錆び付いた機械のように足須の方向へ動かしながら、涙をぼろぼろ流しながら、愛徒はただそう一言謝罪した。
 幸い、完成した原稿用紙にはインクは零れていないようだが、愛徒が取り掛かっていた・・・完成度50%ほどの原稿用紙は半分がインクで染まってしまっている。

 はあ・・・・

 確かにそう聞こえた、重く、深い溜息。それは、間違い無く足須の口から発せられた物であり、それを聞いた瞬間、愛徒はどうしようもない虚無感のような物に襲われた。
 何か・・・何か、置いていかれてしまうような、しめつけられるような感覚。

「私が片付けてますから、先生は原稿を進めてください」

 怒るでもない。面倒くさがる雰囲気でもない。ただ淡々と、冷静に足須はそう言って、雑巾を取りに行こうと椅子を立ち上がる。

 その瞬間、愛徒が足須のはいていたスカートの裾へとしがみついた。

「きゃあっ!?」

 足須が慌ててスカートを押さえ込む。そして、愛徒に何か言おうと口を開く。

「ごめんなざあああああああい!!!」

 が、その前に愛徒が小学生のようなぐしょぐしょの濡れ顔で叫んだ。
 足須は、何か言おうとしていた口を思わず塞いでしまい、愛徒の目を見た。愛徒は、涙を情けないほどその目から流れ出していたが、足須の目から視線を逸らすことはなかった。

「本当に、わざとじゃないんです! 急いで描かなきゃと思ったらこうなっちゃったの! だから、置いてかないでえ!! 見捨てないでえ!!」

 愛徒はそう叫びながら、すがるかのように足須のスカートを握り締め、その力はますます強まっていく。ついに足須のスカートが少しずり落ちはじめてきた。

「だ、大丈夫ですから先生! その手を離してください!」

 そう足須がやや顔を赤らめながら言うと、愛徒はおとなしくすぐに手を離し、その場に一瞬で正座した。手はしっかりと握った状態で太ももの上にまっすぐ置かれている。100点満点の正座である。

 なんだかこのまま立っているのもおかしいと感じ、足須は愛徒と向き合う形で正座をした。
 愛徒は、少し怯えが勝ってきたのか、視線を下に向けて、嗚咽混じりに未だ涙を流し続けている。
 足須は、どうしたらいいものかと溜息を一つついた。しかし、それを聞いて愛徒は体をまた震わせてしまった。

「大丈夫ですから先生。そんなに怒ってないですから」

「うう・・・で、でも・・・! 僕のせいで原稿があ・・・!」

「こんなこと、誰にだってあることなんですから。初めてじゃないでしょうし、もう一度書きましょう? 私も頑張りますから」

「ごめん・・・! 分かっているんだけど、何だか・・・足須さんがどっか行っちゃうのかと思って・・・!」

「・・・え?」

 足須がポカンとした声で返すと、愛徒は指先をくるくるいじりながら、おどおどと話した。

「溜息を聞いて、足須さんが呆れてるんだって分かって・・・それで、足須さんが別の漫画家さんのところに行っちゃうのかと思って・・・!」

 言いながらも、変わらず愛徒は涙を流しっぱなしだ。脱水症状になってしまうのではないかと思うほどの大号泣だ。昔、黄金伝説でおちょこいっぱいに涙を溜めれたらクリアというのがあったが、5杯はいけそうだ。

「いや、先生の深読みのしすぎですし・・・めんどくさかったのも多少ありましたけど・・・」

「ああうう・・・!!」

 やっぱり呆れてた、と愛徒はまた情けない声を出す。

「でも」

 足須がそう言うと、愛徒は顔をあげた。
 そこには、天使のような優しい微笑みを浮かべた足須の姿があった。

「今は、先生以外の先生と働くことなんて、考えられませんから」

 優しい笑顔で、優しい声で、小さな男の子をなだめるかのように、足須はそう言った。
 愛徒は、しばらくその笑顔に見惚れてしまい、泣くことも何かを言うことも忘れてしまっていたが、しばらくするとまた滝のように涙を流し始めた。

「あ、足須さあああああん!!」

 そしてそのまま足須に抱きつく。腕をしっかりと足須の背中まで回し、その腕に力をいれて。

「えええええ!? せ、先生! 離れてください! ちょ、ちょっと先生!」

 足須は顔を真赤にしながら、愛徒の頭を押す。が、その男らしくないひょろひょろとした体のどこにそのような力があるのか、まるで石のように動きはしない。

「ごめんね足須さあああああああん!」

「ちょ、顔を胸に・・・! 先生、やめっ・・・!」

 強く顔を胸に擦りつけられ、足須の息が乱れ始めた。顔の熱はますます高くなる。そしてやっぱり愛徒は動かない。
 蹴ってでもその体を離そうと足須が力を溜める。

「おじゃまします! 風羽りんな、今着きまし・・・た・・・」

 が、愛徒の体を蹴り飛ばす前に風羽が仕事場に到着してしまった。
 玄関から仕事部屋の様子は丸分かりであり、当然、風羽の目には抱き合っているようにしか見えない愛徒と足須の姿がはっきりと写っていた。

 愛徒と足須は、『あ』と、声をハモらせる。もちろん、体はまだ密着したままだ。

「あ・・・違うの、これは・・・」

 足須が若干青ざめた顔で言うが、風羽は先ほどまでの愛徒と同じように、目に涙を溜め、体を震わせた。
 そして、

「ななななな、何やってるんですか二人ともー!!」

 と、隣家まで届くのではないかと思われるほどの大音量で叫んだ。

「だから、違うんです! これは・・・!」

「りんなちゃああん! 足須さんがね!? 足須さんがね!?」

「あ、足須さん! 先生を誘惑したんですね!?」

「違います! 先生もやめてください! 私は・・・」

「足須さんがね? 凄い優しいの! 可愛いの!」

「かわっ・・・!! 先生っ!!!」

「やっぱり誘惑したんじゃないですか! 興味無い振りしてそうだったんですね!?」

「だから、違うってば・・・ああもう! 泣かないでください二人共!」

 結局、この騒ぎは暫くの間続き、当然ながらこの間原稿は全く進まず、三人は落ち着いてから初めて、自分達の置かれた境遇に苦しむハメになるのであった。

 この後、変わったこと。

 まず、風羽が今までよりも多くの時間の勤務を要求してきたこと。足須を完全に信用したわけではなく、どうやら監視の意味を含めてらしい。
 次に、愛徒が仕事のペースが、ほんの少しだけ上がったこと。少なくとも、アシスタントが原稿の上がりを待つということは少なくなった。

「足須さん、これに消しゴムとベタお願い」

 そして最後に。

「はい、分かりました先生」

 足須が。

「先生?」

「ん? 何?」

 たまに。本当に、たまに。

「ご苦労様です」

 あの時と同じ、天使のような笑みを浮かべてくれるようになったこと。
 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「先生? 原稿を・・・」

「あ、ああ! ご、ごめんね!!」


 今日も、この仕事場は平和なのであったとさ。







 あとがき

 原作のイメージを残しつつ書いたつもりです。愛徒の必死さと気持ち悪さが出ていたら俺的には大成功です。
 足須さんの完璧ぶりは最高ですよねえー。でも俺は巨乳キャラ好きなので風羽さんをすすめておきます。可愛いよあの人。
 というか、今回の小説は風羽さんを愛徒LOVEにしてしまったんですが、こんな感じで合ってるのかなあ・・?普段からよく愛徒のことを励ましてはいるけど、微妙です。キャラが違うかもしれません。

 ヤングガンガンの中でもかなり好きな漫画なので、ネタがまた浮かんだら書いてみたいと思っています。では~
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コメント

マンアシの小説は少ないので、巡り会えて幸せです?

ありがとうございました(^-^)/
自作、期待しちゃってます!
2012-01-28 Sat 00:14 | URL | amati [ 編集 ]

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