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銀の働き部屋

管理人銀河の、日記兼テキストサイトです。取り扱うジャンルは主にヤングガンガン連載のWORKING!!になると思います。最近は東方の霖之助小説を書くのにも夢中。どうかよろしくお願いします。リンクはフリーです。感想は常に受付中です!もらえたら泣いて喜びます

花火大会をしよう ヤンガンファミレスオールスター 小鳥遊×伊波、佐藤×八千代


 
 小説のタイトルは、『花火大会をしよう』です。折角久々に思った大作だからちゃんとしたタイトル考えたかったけど、これしか浮かばんかった。いいタイトル募集。変えるよ。
 
 内容は、ファミレスバイトメンバーオールスターで、花火大会をしようという。いかにもタイトル通りの内容です。
 最初はギャグのみにするつもりだったんですが、あまりにも長い間WORKING!!小説書いてなくて、なんかもはや申し訳なくなったのでカップリングも含めました。しかも二組分。
 なのでかなり長い文章になってしまいましたが、読んでいただけると嬉しいです。

 カップリングは、小鳥遊×伊波&佐藤×八千代です。無糖。
 相馬×山田も書きたかったけど、ちょっとすぐには浮かばなかった。この二組はすぐに浮かんだんですけど。見たい人いたら教えてください。頑張って書きます。
 前半ギャグで、後半からカップリングになります。

 では、追記からスタートです。








「誰もいねーか?」

「・・・大丈夫ですね。辺りに家もないですし、ここなら安心してやれそうです」

 上を見れば真っ黒な空の中で星が広がり、空気を肌で感じれば少し汗ばんでくる。耳を澄ませば虫は鳴き、水辺に寄ればカエルが声高々に合唱をしている。
 季節は、夏。それも、まだまだ暑さはこれからである・・・初夏。

 そんな時期に、ワグナリアのバイトメンバー達・・・+店長は、ファミレスからそう遠くも無い公園まで来ていた。
 男性陣が両手に何やら荷物を持ち、人気の無い公園の様子を探る。やはり公園に人はおらず、虫の鳴き声以外は何も聞こえない。

「場所見つかってよかったね」

「そうだな。まあ、突然だったからな」

 相馬と佐藤はそう会話をしてから、自分たちが持っている荷物に目をやった。
 男性陣が持っている物、それは・・・色鮮やかな、花火の束だった。形も色々で、簡素なビニールに包まれた物や、小学生が持ち歩く水泳用具入れのような形の物まで、様々な種類がある。

「ごめんねーかたなし君。佐藤さん。相馬さん。重かった?」

「いえー。全然大したことないですよ先輩。それにしても運が良かったですね」

「本当。くじ引きが当たるなんて。私全部ダメだったのに」

 そう。この花火の束。実は種島が商店街のくじ引きの景品として当てた物である。
 種島自身は、ティッシュ箱を手に入れるために行ったくじ引きだったのだが、4等のこの花火セット詰め合わせが当選してしまった。
 バイトに行く途中の出来事だったので、処理に困っていると小鳥遊が偶然通りかかり、花火を持つのを手伝ってくれた。
 そして、持ち帰るのも大変だし、バイトのメンバーも揃っていたので、どうせだったらみんなでパーっと花火で遊ぼう! という考えのもと、こうして集まったのだ。
 店が閉店するまでは始められなかったので、時刻は深夜。民家の明かりも少なく、正直、花火をするには遅すぎる時間であった。

 しかし、河原の近くにポツリとあるこの公園は、辺りに民家は建っておらず、深夜であっても人に迷惑をかける心配はない。この場所ならば、思う存分花火を堪能できる。

「じゃあ、水汲んでくるわ。俺ら」

「女性陣はもう花火出しちゃっててください」

 男性陣はそう言って、水道へと水を汲みに向かった。
 それを見送ってから、女性陣は花火を開封する。

「それにしても、色々種類があるのね。最近は」

 松本麻耶は、小さなドラムのような形をした花火セットを手に取り、そう言った。
 本来松本は、この変人バイト軍団とかかわらないように、花火は丁重にお断りするつもりだったのだが、八千代の笑顔での説得と、山田の「普通こういう時は参加するものなのに・・・」という一言で見事に折れて、現在ここに至る。というわけだ。

「セットも色々ありますし、打ち上げ花火もすごい種類がありますね」

「私も貰ってびっくりしちゃった!」

 伊波が花火セットの色鮮やかな印刷デザインを見て感嘆の息を漏らし、種島は輝くような笑顔で打ち上げ花火を持ちながら元気にそう言った。

「私・・・同世代の人達と花火なんて初めて!! ねえ、杏子さん!」

「ん? ああ・・・。陽平とか美月とかとはやったことあったか」

「店長、花火とかするんですか」

「ああ。でもなあ、打ち上げ花火やったら現地の馬鹿共が群がってきてなあ。しょうがないから私たち3人であいつらを天に打ち上げて・・・

「店長。種島さんがいますので・・・」

 杏子が手を合わせてバキバキと音を鳴らすと、種島が明らかに震えだしたので、とりあえず伊波が制止しておいた。

「でも、山田も初めてです!! 花火その物が初めてです!」

「あ、そうなんだ! 綺麗で楽しいよ!」

「山田超楽しみです!」

 山田が興奮のあまりに顔を少し紅潮させながら、花火を開封する。
 そして中から数本の花火を取り出し、両手に持つ。山田はそれだけでキラキラと顔を輝かせた。

「完璧です!! 山田完全体です!!

「完全体!?」




「何をやっとるんだアイツは・・・」

「花火とかやったことないから、興奮してるんじゃない?」

 花火をぶんぶん振り回しながらはしゃぐ山田を、少し遠くから水を運びながら見つめる男性陣。

「でも、俺も花火なんて久しぶりですよ」

「俺もだ。・・・中坊の頃にやったかな・・・」

「あの姉達との花火だったんで、色々と大変でしたよ・・・」

「なんだ? ロケット花火でも向けられたか。俺もやったぞ」

「いえ、姉が騒いで・・・置くタイプの噴出花火を倒しましてね。それが俺に」

焼かれてんじゃねえか

「俺は・・・花火はやるのが好きじゃなくて、女の子がやっているのを見るのが好きかな」

 突然そのようなことを言いだした相馬に、小鳥遊と佐藤は思わず驚いてしまった。

「い、意外と純粋な観念があるんですね・・・」

「いやー」

 相馬は照れたように笑いながら、

女の子が屈んで花火するとさ。胸元とかよく見えるじゃん?

 そう朗らかに言うと、小鳥遊と佐藤がどん引きする。

「何さ」

 相馬が言うが、二人はただ歩き続けた。



 そんな会話があったりして、なんだかんだで花火が始まる。
 花火セットに付属していた蝋燭に、佐藤がライターで火を灯す。すると、明かりも無い公園が小さく照らされた。
 種島や山田は蝋燭を使った方がいいということだが、他のの面々には、店に置いてあった100円ライターを一つずつ渡して使うことにした。
 そして、各々が好きな花火を手に取り、花火に火を点け楽しみ始める。

 しかし、花火にも意外と好みというものは現れるもので。

 以下は、そんな・・・人それぞれの花火の楽しみ方を見ていこうと思う。


 ヘビ花火。

 真っ黒な丸い塊のような花火で、手で持つのではなく、地面に置いてそれを何かしらの方法で点火して遊ぶ花火。
 点火すると、煙を出しながら花火そのものがにょきにょきと伸びていくという、地味ながらもなかなかに遊び心溢れる一品だ。

 そんな花火を見つめる人が、2人。

「・・・えい」

 種島が佐藤から借りたライターで、ヘビ花火に火をつける。
 すると、すぐに花火は煙を大量に発生させながら、にょきにょきとその身を焦がし、伸ばしていく。

「おお・・・!!」

 種島は花火が伸びていく様をひたすら真剣に眺め続けている。
 一方もう一人、杏子は、ぼーっとした顔でその様子を見続ける。

 そして、ヘビ花火が力尽き成長が止まった所で、種島はため息をついた。

「はあ・・・・。私も、これくらいにょきにょき身長伸びたいなあ・・・」

「なんか、うまい棒思い出すな・・・。食べたい・・・」

 そんな二人を少し離れた位置から眺めていた佐藤が、ボソッと呟いた。

なんだあの空間



 ねずみ花火。
 渦巻き状の形をしていて、その先に点火をする。
 それから地面に置きしばらく待つと、火花を散らしながら超高速回転を始め、地面の上を動き回る。
 単純にその回転から生み出される火花の美しさに見惚れるのもいいが・・・俺は、むしろこちらの楽しみ方の方が自然なのではないかと思う。

「おーい。種島ー」

「なーに? 佐藤さん」

「ほれ」

 佐藤は手に持っていたねずみ花火を、種島の足元に投げる。さも当然のような顔で。
 それを種島は、とりあえず見る。よく見ると、その花火はしっかりと点火されていた。

「・・・きゃあああああ!!」

 当然、花火は回る。そしてねずみ花火はまるで意思を持っているかのように種島の下へと向かっていく。
 もちろん種島もねずみ花火から逃げ回る。しかし、ねずみ花火は追跡をやめない。

「きゃー!! きゃー!! やめてよ佐藤さーん!」

「種島・・・!! いいぞ・・・! 今までで最高の画だ・・・!

「ああ・・・!! 佐藤さんを叱りたいけど、ねずみ花火と先輩という小さくて可愛らしく動く物同士のコラボレーションを褒めたい俺もいる・・・!! どうすれば・・・!」

 あまりにも漫画的な、素晴らしい光景に思わず握り拳を作る佐藤と、種島とねずみ花火の可愛さによだれを垂らしている小鳥遊の二人が何か言っている

「何言ってるのかたなし君!! ・・・きゃー!!」

 その瞬間、ねずみ花火はパンッ!! という鋭い音を出しながらフィニッシュの破裂を迎えた。その音に驚いた種島は、その場所で前のめりに転んでしまった。

「あー。面白かった。小鳥遊。保護しておけよー」

「えっと・・・佐藤さん。・・・・・・・・・・・・・・・・・ありがとうございました!!

「叱ってよ!!!」





 手持ち花火。
 まあ、このように団体で行う花火の中では、間違いなく一番点火させられる花火だろう。
 その形、火花の色、大きさなどにそれぞれの違いはあるが、遊び方はみんな同じ。蝋燭にひも状の花火の先端部を近づけ、点火。後は地面に向けながらその火花を眺めるだけだ。シンプルかつ美しい。バランスの取れた花火であると言えよう。

「えっと・・・そんな手持ち花火を両手に、何をやってるのかな? 山田さん」

「さっきもやってたじゃないですか! 山田完全体です!」

 嬉々とした表情で両手に手持ち花火を持つ山田に相馬が問う。しかも、先ほどより本数は増えていて、それぞれの手に5本もの花火を持っている。

「いえ、もはや完全体じゃ足りません! ハイパーヤマライザーです!

「何? 星を一周して斬りつけるの? とりあえず、そんなに持つ必要は無いから・・・」

「えいっ」

「あっ」

 山田が、合計10本の花火全てを一度に点火する。
 相馬は青ざめた顔でその様子を眺める。止める時間すら無かった。
 そして、一斉に火花が散り始める。それはもう、軽い物体だったら空を舞うことができるのではないかというほどのジェット噴射で。

「や、山田さん!! 地面に向けて、地面に!!」

「半径~85センチはこの手の届く距離~」

ダブルラリアってないで止まってえええええ!!!

 手を思い切り広げながら移動を始める山田。感動の歌詞も台無しである。
 もちろん両手には大量の花火が持たれているため火花が及ぶ範囲は85センチどころか数mにも及ぶ。触れたらもちろん熱い。
 相馬ははしゃぎすぎて我を失っている山田から必死に逃げ回ることしかできない。

「ふっ。相変わらず変な子ね・・・山田さん。私は普通にやるわよ」

 大変なことになっている相馬と山田を軽蔑するかのような目で見ながら、松本はしゃがみ、一本の手持ち花火に火を点ける。
 しばらくすると、花火の先端から青色の火花が噴出し、地面と松本自身を青く照らしだす。

(そうよ・・・。やっぱり、花火はこうして楽しむ物よ・・・)

 和やかな顔で綺麗な花火を見つめる松本。花火の火花は青色から緑色へと移り変わり、ますます幻想的な輝きを放っている。

「お、松本やっているな」

 今日は色々な所に出没する佐藤が、松本のすぐ横にしゃがみこんでそう声をかけた。

「な、何ですか佐藤さん。私は普通に花火をするんです」

「何を言っている松本。手持ち花火は虫を焼き殺すためにあるんだぞ

「絶対にそれ小鳥遊さんのいる所で言わない方がいいですよ・・・。というか、純粋に楽しんでいる人の横で何てことを言うんですか!」

「懐かしいな。もう、蛾とか見つけたらみんなで群がった小6の夏だんご虫も切ないぞー

「や、やめてください!! やめて!!」

 虫嫌いでなくとも嫌になるような話を聞き、松本は叫ぶ。佐藤はひたすらしみじみとした表情を浮かべるだけだ。
 しかし、途端に真剣な眼差しで松本を見て、こう言い放つ。

「何を言っている。今お前は普通に花火をやっているつもりかもしれんが、その美しい火花に、目に見えないくらいの小さな虫が何百匹と群がり、お前の手で焼き殺されているんだぞ

「へ、変なこと言わないでください!!」

「お前はそんな惨いことをしているのに、まだ普通とかにこだわっているのか。何て奴だ

「なんで私がそこまで言われなきゃいけないんですか!! 分かりましたよ! 謝りますよ! 虫さんごめんなさい!!」

 手を合わせ合掌をする松本を見て、佐藤は一言。

「うわ、何謝ってるのお前。・・・」

もうあなた帰りなさいよ!!!





「あーあ。松本に怒られちまったなー」

 公園の端にあるベンチへとゆっくりとした足取りで向かい、座り込む。それから、タバコを取り出し、口にくわえて火を点ける。
 ゆっくりと煙を吸い込み、吐く。
 公園の中心地では、未だに大量の手持ち花火でぐるぐる回っている山田から逃げ続けている相馬や、松本と仲良く手持ち花火で遊んでいる種島、へび花火をまだ見つめ続けている店長の様子などが確認できる。
 そんな風景に少し癒されている自分を感じながら、佐藤はまた煙を吸う。

 しかし、花火なんかいつ以来であろうか。佐藤は考えていた。
 一度、吉田に誘われて花火大会を見に行ったりはしたが、このように小規模な花火は久しくやっていなかった。
 昔・・・小学校から中学校にかけては、何かある度に友達で集まって色々なことをしたものだが、そんな感情も今はすっかり薄れている。適当に大学に通い授業を受け、バイトをこなし、バンドを練習して。
 充実していない、と言えば少し嘘になってしまうかもしれないが、繰り返しの日々だ。大きな変化もありはしない。
 最近の変化と言えば・・・・・

「あら、佐藤君。こんな所で何をしているの?」

「・・・よお八千代。店長の傍にいなくていいのか?」

 片思いしている女を、名前で呼べるようになったこと、くらいか。

「杏子さん、お腹が少し空いているみたいで・・・もうへび花火しか見なくて・・・」

「あれを見て食事を考えられるってのも凄いと思うがな。で、お前は?」

 佐藤が聞くと、八千代は照れたように笑った。

「私、同世代の人と花火で遊ぶのなんか初めてで・・・。ほら、私いじめられっ子だったから」

「まあ、それは知ってる」

「相馬君は葵ちゃんと仲良く遊んでるし・・・」

 仲良く、ねえ。と佐藤は心の中で呟いてから、山田と相馬を見た。山田がロケット花火を取り出して何かをやろうとしているのを相馬が止めていた。そうだぞー。ロケット花火の残骸とかちゃんと片付けないと学校の先生めっちゃ怒るんだぞー。

「佐藤君?」

「あ、ああ。何だ?」

 少し間抜けな声でそう返すと、八千代は一つの花火を持っていた。

「この花火、どうやって遊べばいいの?」

 恥ずかしそうに聞く八千代は、凄く可愛く見えて、佐藤は少し気恥ずかしさを感じた。
 その顔には、照れだけではなく、確かな嬉しさを見て感じ取ることができる。
 本当に純粋な、同世代の人と遊べる、というそんな喜びを。

「・・・」

 佐藤はしばらく、何も言わずに八千代を見た。
 同世代の・・・人。別に、おかしな言葉ではない。が、佐藤にとっては重く苦しい言葉である。
 佐藤が普段から、この淡い恋の中で一番悔しく、苦しく思っている所はそこなのだから。
 どうしても、その関係から進めない。どんなことが起こっても、俺は八千代の同世代のお友達。まあ、それもそうだ。恋人という関係に至るまでの過程を俺は何一つ成し遂げていないのだから。
 しかし、悔しく思うのはしかたがないことで。友達、と言われ胃が痛くなるのもしょうがないわけで。
 鈍感な八千代を恨めしく思う気持ちもあるが、一番大きいのは、積極的になれない自分を情けなく思う気持ちだ。
 バイト歴が長くなればなるほどその情けない気持ちは大きくなり、自分自身が嫌になる。でも、そう思っていてもバイトをやめる、といった大胆な行動を取ることもできず、未だにずるずると恋心をひきずっている。

 この、八千代の花火の誘いだって、彼女にとっては何ら変わったことではない。俺が男友達から、今日遊びにいっていいかー?と聞かれるのと何が違うのだろう。
 ここで俺がどんな反応を示した所で、俺と八千代の関係に発展などはあり得ない。だから、この時間に意味など無い。種島や松本をからかえて面白かったとは言えるが、それだけだ。心の隙間を埋めるには全く足りない。
 少し前なら、そう思っていた。

 しかし、

「それか。釣り竿みたいな形になってるだろ? 竿の部分を持って、先についてる紙を垂らすんだ」

 俺はベンチから立ち上がり、花火の説明を八千代に始めた。
 八千代は頷き、言われた通りに釣り竿状の花火の柄を持つ。何が起こるか分からずおびえているのか、腰が少し引けているのが佐藤にはおかしく見えた。
 「大回転」と派手な文字が書かれている花火のついた厚紙が、空中で揺れる。

「この紙のこの部分。花火に火を点ける。点けたら、近づかずそのままでいろよ。危ねえから」

 そう言うと八千代は、何回も深く頷き、先ほどよりも更に腰を引かせる。
 佐藤がライターで花火を点火する。
 点火を確認すると、佐藤も八千代の横に並び、花火が始まるのを待つ。
 八千代の顔をちらっと見てみると、これから花火がどのようなことになるのか、という期待の視線を花火に注いでいた。

 直後、花火から火花が飛び散る。すると、その花火の噴出の力で、厚紙はくるくると回転を始め、火花が小さな円を描く。緑色の火花が作るその円は、八千代の目にはとてつもなく美しいものに映った。

「さ、佐藤君! 凄い!」

「ああ。こういうのもあるんだよな。大抵一つのセットに一つくらい」

 なんだかんだ言って、昔に花火を経験したことのある佐藤は、昔を懐かしみながらそう教えた。
 しかし八千代は、高速で回転する花火を見るのに夢中で、その言葉もよく聞こえていないようだった。
 そんな八千代を見て、佐藤は・・・俺は幸せだな。そう、心の中で呟くのだった。

 佐藤は思う。
 どんな反応をしようが、関係が変わることは無い? 発展はあり得ない?
 ・・・結構なことじゃねえか。
 ってことは、この時間を俺は純粋に楽しむことができるってわけだ。
 八千代の笑顔を、ずっと見ることができるってわけだ。
 何の文句があるんだ。最高じゃないか。無駄な時間? 馬鹿を言うな。
 俺はこの時間を幸せだと思う。それだけで十分だ。何にも心配することなんかない。

 昔だったら、こんなことも思えないほど余裕が無かったかもしれない。
 でも、昔の俺と今の俺を一緒にされちゃあ困る。俺だって、好きな女の笑顔くらい、何の下心も無く見れるようになったんだ。
 その笑顔を見れる自分が、最高に幸せなんだって気付いたんだ。最高に・・・好きなんだ。

 だから、俺は今幸せなんだ。

「佐藤君! ありがとう!!」

 八千代が、本当に喜びに満ち溢れた笑顔でそう言った。

「・・・どういたしまして」

 佐藤は、照れでもなんでもなく、ただ本心でそう答えた。

 笑顔をどうも、ありがとう。

 そんな気持ちをこめて。






「・・・・・」

 伊波は、みんなが花火をしている所からずいぶん離れた場所で、二人で花火を楽しんでいる佐藤と八千代をじーっと見つめていた。
 ここから見える限りでも、花火の明かりに照らされている八千代の顔はとても喜びに満ち溢れていて、佐藤の顔も・・・どこか温かく見える。

 まるで、恋人同士みたい。

「佐藤さん、うれしいんだろうなあ・・・」

 普段のファミレスでの色々と切ない佐藤を見慣れている伊波は、そんなことを思って笑顔を浮かべた。
 正直、人の恋愛を見守れるほどの余裕は伊波には無いのだが、遠くで花火を楽しむ二人は生き生きとして見えて、伊波は思わずそんなことを呟いてしまったのだった。

「いいなあ。・・・私も、いつか小鳥遊君と・・・」

「俺がどうかしましたか?」

「きゃあっ!?」

 すぐ背後から聞こえた声に、伊波は甲高い悲鳴をあげる。
 そして後ろを振り向くと、予想通りというかなんというか、小鳥遊が不思議そうな顔をして立っていた。

「な、なんで小鳥遊君はいつもいきなり現れるのよ!」

「いつもいきなり殴られる俺に比べたらマシでしょうよ・・・」

 伊波が顔を赤くしながら言うが、小鳥遊が苦い顔でそう言うと、伊波は途端に申し訳なさそうに肩をすぼめる。

「すいません・・・」

「まあ、いいですけどね。で、俺がどうかしましたか?」

 小鳥遊に改めてそう聞かれたが、素直に答えられるわけもなく、

「ななな、なんでもないよっ!」

 と、ますます顔を赤らめてそう言うのだった。

「そ、そうですか? ・・・あれ、伊波さん。花火しないんですか?」

「え!? し、してるよちゃんと!」

「してないじゃないですか」

「そ、それは・・・」

 最初に手持ち花火を数本しただけで、その後に佐藤と八千代を見つけてからは二人の様子が気になってずっと見ていた・・・とは、なんとなく恥ずかしくて言えなかった。それに、なんとなく佐藤に悪いような気もした。

「いいの、これからするから」

 少し不機嫌になったような口調でそう言い、伊波はすぐそばの地面に置かれていた花火セットから、線香花火を一本取り出した。
 
「お。線香花火ですか。伊波さんなかなかいい趣味してますねー」

 伊波が線香花火を選んだのを見ると、小鳥遊は伊波とは逆に、少しご機嫌な様子でそう言った。

「・・・小鳥遊君、花火も小さいのが好きなんだ」

「もちろんですよ! あの、小さな火種からこれまた小さくて細い火花がパチパチ弾けるのなんか、最高じゃないですか!!」

「そ、そうなんだ・・・」

 改めて、自分が惚れてしまった人はなんでこんなに変態なのだろうと、伊波は頭を抱えたい気持ちになった。

「じゃあ、俺もしますかね~。線香花火」

「えっ!?」

 小鳥遊がそう言いながら線香花火を取り出し始めると、伊波がこれまた素っ頓狂な声を上げる。その声量と声の高さに、思わず小鳥遊も驚いて肩を震わせる。

「な、なんなんですかいきなり! 驚くじゃないですか!」

「ご、ごめんね! なんでもないの!」

 伊波が大声を出したのも無理は無い。
 先ほど、伊波は小鳥遊と花火をしたいと願ったわけで。
 そして、伊波が線香花火をやる時に、小鳥遊も線香花火で遊ぶわけで。
 つまりは、二人で花火をするというわけで。

 そんなことを考えていたら、伊波は猛烈に恥ずかしくなってきてしまって、あのような大声を出したのだった。

「でも懐かしいなあ。線香花火。やるのも見るのも久しぶりですよ」

 驚く伊波をとりあえず置いといて、小鳥遊は自分の線香花火に火を点けた。
 線香花火の細い先端部分が、火によって小さく丸まり、一つの火種になる。

「伊波さんもやりましょうよ」

 伊波の気苦労なぞ一つも知らない小鳥遊は、極めて純粋な笑顔でそう声をかける。線香花火をしていてテンションが上がっているせいであろう。
 そんな無神経な小鳥遊に、伊波は若干何か言ってやりたい気分にもなった。しかし、向こうはこちらの気など何も知らないのだから意味は無い。そう思うと、小さくため息をついてから小鳥遊の傍へとしゃがみ、線香花火に火をつけた。
 花火は小鳥遊のものと同じように丸まると赤い火種へと変化した。

「お、始まりましたよ!」

 小鳥遊が嬉しそうにそう言うので見ると、小鳥遊の花火からは小さな火花がパチパチと音を立てながら出ていた。その火花は小さいが、まるで花のような美しさがある。

「綺麗だね」

 本心で、伊波はそう呟いた。
 小鳥遊も何回も頷きながらその火花を嬉しそうに眺め続けている。

(子どもみたい)

 伊波は、微笑みながらそう思った。
 目の前の花火に夢中になる想い人の姿は、とても幼く見える。普段の小さい物に対する反応の時には、気付かなかったことだった。

「伊波さん!」

「は、はい?」

 じっと小鳥遊の顔を見つめている時に、突然視線が合い声をかけられて、伊波は動揺した声を出した。

「ほら、伊波さんのも」

 小鳥遊が伊波の花火を見ながら言うので、伊波は自分の花火へと視線を移す。
 花火は、パチ、という音を一度鳴らすと、関を切ったかのように火花を飛び散らせる。やはり、近くで見る方がより綺麗、と伊波は感じた。

「いいですね。やっぱり線香花火は」

「!」

 小鳥遊がそう言いながら伊波へ向けた表情は、今までに見たことの無いくらい・・・綺麗なものだった。目の前で美しく火花を散らす、花火よりもずっと。
 そんな小鳥遊の顔を直視してしまい、伊波は何を言われたわけでもないのに顔の熱が昂るのを感じた。

 今この時は・・・伊波にとって、至福の時間であった。
 想い人と、二人で花火をすることができる。これは、伊波にとっては恋愛小説の世界でしか味わえることのできない光景だった。しかし、今、自分はこうして想い人と同じ光を
見つめている。そう思うだけで、胸の中がいっぱいになりそうだった。

「あ」

 しかし、そんな時はずっとは続かない。
 小鳥遊の持っていた線香花火の火種が、音もなく地面に落ちた。地面に落ちた花火の火種は、たちまち光を失い、黒く変色し、地面と同化する。
 その様子を、小鳥遊は残念そうに見つめていた。

 心臓が、高鳴った。
 伊波の花火は、まだ火花を散らし続けている。
 でも、この花火が落ちた時・・・この時は終わってしまう。二人だけの、幸せな時が。
 伊波は願った。火種よ、尽きるな。まだ終わらないで・・・と。
 しかし、時は必ず過ぎるもの。花火の火花はだんだんと勢いを失っていく。

 嫌だ。

 線香花火を持つ手に力が入った。
 しかし・・・思い虚しく。
次の瞬間、花火の火種が・・・落ちてしまった。
 地面に火種が落ち、小鳥遊のものと同じように光が失われる。
 同時に、小鳥遊と伊波を照らしていた光が消え去り、暗闇が訪れる。

 私、どんな顔をしているだろう。
 暗闇の中、伊波は沈んだ心でそう思った。きっと、酷く落ち込んだ顔に違い無い。
 そう思い始めた途端、自己嫌悪な気持ちが伊波に生まれた。

 いちいち自分に訪れる事態に喜んで、勝手に照れて・・・勝手に落ち込む。そんな、すぐに揺れ動く自分が嫌になった。
 もっと、単純に楽しめたらいいのに・・・自分に自信が無いから、このように気が沈んでしまう。そんな自分が、小鳥遊君の笑顔と酷く対照的に見えてしまう。
 涙が出そうだった。こんなことで涙を出す自分も、やっぱり大嫌いだと思った。

 花火なんて、来なければよかった

 そう思った瞬間。

 目の前に、光が灯った。

「え・・・?」

 見ると、火を灯したのは小鳥遊だった。100円ライターの上に小さな火が生まれ、それが周囲を照らしているのだった。
 小鳥遊は、花火が消える前と殆ど変らぬ表情で、後ろに置いていた線香花火を2本取り出した。
 そして一本は自らの手に、もう一本は・・・

「はい、伊波さん」

 伊波に、渡すのだった。近づきすぎるとまずいので、花火のギリギリ端を持ってだが、手渡しで。

「・・・ありがとう」

 唖然とした表情を浮かべ、力の無い声で言って、花火を受け取った。
 それを見て小鳥遊はまた笑顔を浮かべると、自分の花火に火を点けるのだった。

 ・・・私は、何を考えていたのだろう。
 伊波は、先ほどまでの自分が急激に馬鹿で、情けなく思えて顔を赤くした。

 なぜ、幸せな時を今だけと決めつけるのだろう。
 なぜ、自分を否定する必要があるのだろう。

 幸せな時間の量なんか、気にする必要は無い。
 彼と一緒に入れる時が幸せ。それを感じることができるだけで、私はこんなに嬉しいのに、何で欲張る必要があるのか。
 自分の一日を、どれほど幸せだと感じられるかが大事なんだ。
 私は、彼と花火を二人ですることができた。それだけで、幸せな気持ちでいっぱいだった。
 それだけで。
 それだけで、いいんだ。

 それに。
 一日に幸せな時が訪れるのは、一回とは限らない。
 それを、たった今彼が教えてくれた。

「? 伊波さん、しないんですか? 別の花火にします?」

「ううん。いいの。これで・・・いいの」

 伊波は笑顔で答えてから、自分の花火に火を点けた。
 花火は再び火種を作り、美しい火花を生み出していく。

 線香花火のように、生きよう。

 その思いはちっぽけな物で、目立たなくて、きっかけが無ければ輝けない。
 でも、輝く時は眩しくて、美しくて、尊い。小さな思いでも、確かな光を放ち、自分を・・・時には相手を照らしたい。
 最終的にその光は消えてしまうかもしれない。でも、花火は一本じゃない。
 何回でも。
 何回でも・・・

 彼となら、輝ける。

「綺麗ですね」

「うん」

 本当に・・・綺麗。






「あ、手持ち花火が無くなりましたねー」

 花火を始めてから、どれほどの時間が経っただろうか。種島が当てた花火は、殆ど尽きてしまった。
 まあ、あれだけあった花火の大量消費の原因の一つに、山田の花火の無茶な遊び方などもあったと思われるが・・・気にしないでおこう。山田も、最高に満足そうな表情であることだし。

「おお。じゃあ、そろそろお開きか」

「でも、まだ打ち上げ花火が余ってるよー」

 種島はそう言うと、手持ち花火の残骸の横に立てられている、何本かの打ち上げ花火を指差した。
 打ち上げ花火は、一発限りの大型のものから、10連発花火、パラシュート、同時発射などの様々な種類がある。
 数はそこまで多くはないが、何せ一つ一つが大きいので、種島が持ち運ぶには少々不便だ。それに、持ち帰った所で使うがどうかの保障も無い。

「じゃあ、今打てばいいじゃん」

 店長がぶっきらぼうにそう言う。結局この人はヘビ花火を見つめるだけでこの花火の時間を終えていた。

「いや・・・家が少ないとはいえ、真夜中ですよ? 打ち上げ花火は流石に迷惑になりますって」

 小鳥遊が真剣にそう提案を却下しようとする。
 が、

「いいんじゃねーの」

 佐藤がそう言い放ち、打ち上げ花火を並べ始めた。

「夜中に、血気盛んな連中が花火で遊び・・・その音で目を覚ます。それって」

 花火を等間隔で並び終え、立ちあがって皆の方を振り向く。

「けっこう、風流ってもんじゃね?」

 驚くほど自信に満ち溢れた声で、佐藤は言い放った。

 しばらく、誰も何も言えなかった。
 そうは言うが、本当にうるさいと思う人だっているし、それが原因で苦情を出す人だっている。だから学校で先生に注意されるのだ。
 しかし・・・納得できてしまう自分がいる。と殆どのメンバーが思うのであった。

 思ったこと、ありませんか?
 花火の音をうるさいと思って、窓を開けて遠くを見る。
 すると、打ち上げ花火の光が見えて、「あー。あの公園か」とは思いませんか?


 うるさいと腹を立てる自分の中に、「もう夏か」と思う自分は・・・本当にいませんか?


「やりましょう!! 山田超花火見たいです!」

 まず真っ先に口を開いたのは、目を輝かせた山田であった。
 そんな山田を見て微笑みながら、

「俺もいいと思うよ。迷惑といっても、せいぜい数世帯だけだよ」

 相馬も言う。

「ま、まあ・・・確かに、花火の音が聞こえるのは普通のことですよね」

 どこか素直になれない様子で、松本が言う。

「そうだね! 私も経験あるもん!」

 種島は変わらず元気いっぱいで飛び跳ね、そう言う。

「私も、打ち上げ花火見たいわ。やりましょう、杏子さん!」

「んあ? いや、私は構わんが・・・」

 店長の腕にしがみつきながら、八千代が言い、店長もそれに応える。

「私もいいと思うよ? せっかくの花火だもん。この辺りの人も、分かってくれるよ」

 伊波は穏やかな表情を浮かべながら、小鳥遊に問いかけるようにそう言った。

「・・・そう、ですね。たまには、いいですよね」

 微笑みを浮かべながら、小鳥遊もそう言った。

 佐藤は頷くと、

「よし。じゃあ、ライター持ってる奴は花火の前に並べ」

「一斉に点けるんですか?」

「そっちの方が派手だろ。大丈夫だって。音が出そうなのは意外と少ないし」

 確かに、花火は単純な打ち上げ花火もあるが、連発で火花が出るだけの物や、パラシュートなど、音が出ない花火も含まれる。
 これならば、同時に打ち上げても大きな問題はなさそうだ。

 佐藤の指示通り、ライターを持った7人が、丁度7本ある花火の前に並ぶ。
 少し離れた所で、種島と山田が顔を輝かせながら点火を待っている。

「じゃあ、点けるぞー」

 佐藤が言うと、7人全員がライターに火を灯した。そして、しゃがみこんで導火線へと手を近づける。

「・・・点火」

 その声と同時に、一斉に導火線へ火が点けられる。

 火を点けたらすぐに花火から離れ、種島と山田がいる付近に自然と全員が集まる。

 そして、数秒後。最初にパラシュート花火が打ちあがった。それから、本当のその一瞬後で大型打ち上げ花火が発射され、更に20連発や5連発打ち上げ、空中回転花火などが次々と空に打ち上げられた。
 大型花火が破裂すると、巨大な火花が空中を覆い隠すかのように広がり、美しい色彩を放った。その中に浮かぶパラシュートの影はどこか幻想的で、花火の美しさを引き立てているようにも見える。
 その中を20連発花火の火花が軌跡を残し、空中回転花火が暴れまわる。
 適当に並べて点火した打ち上げ花火だが、その景色は想像以上に美しいものであった。
 ファミレスのメンバーは、その美しい情景に言葉も忘れて見惚れる。花火が生み出す音にも、どこか芸術的な感性が動かされるようだった。

 それから数秒後、20連発花火が底を突き、打ち上げ花火は終了した。

「・・・やばいです!! 山田テンションMAXです!!」

「うん。綺麗だったね」

「すごいすごーい!!」

「・・・ま、まあ。この花火は普通より、少し綺麗でしたね」

「綺麗でしたね、杏子さん!」

「ああ。なんか、ペロペロキャンディー食いたくなった」

「へえ。最近の花火は立派なもんだな」

「凄いね、小鳥遊君!」

「ええ。なかなか立派でした」

 メンバーが、花火の興奮を思い思いに語る。

 そして、この打ち上げ花火をもって、この花火大会は完全に終わりを告げた。

 大量に空中に放り投げられ、地面に散らばったパラシュートを拾い集めてから、佐藤が口を開いた。

「今度こそ本当にお開きだな・・・。といっても、俺達は車がファミレスにあるから戻るようだが」

「山田もです! 今日は眠れませんよ!」

「じゃあ、俺達でゴミ出しちゃおうか。店長、構いませんよね?」

「ああ。別に問題無いだろ。八千代も送るからこい」

「はい! 杏子さん!」

 そう言って、分担して、今日の花火で出たゴミを運ぶことにした。

「種島。お前も俺の車で送るからこい。夜道はあぶねーぞ」

「うん! ありがとうね佐藤さん!」

 そう言って、種島もファミレスへ戻る一向に加わった。

「お前らは、どうする?」

 佐藤が振り返り、小鳥遊、伊波、松本に声をかけた。

「私は、ここよりファミレスの方向に行った方が近いので、みなさんと一緒に行きます」

 松本はそう言って、一向に加わる。

「じゃあ、お前らはここからそのまま帰るんだな?」

 小鳥遊と伊波に佐藤が言うと、二人は頷いた。

「気をつけて帰ってね?」

「はい、ありがとうございます。チーフ」

 八千代が心配そうに言うのを聞いて、小鳥遊が笑顔で答える。

「じゃあな」

 佐藤がそう言って歩き出すと、自然と他のメンバーも歩き出す。
 種島と山田が歩きながら振り返り手を振ったので、二人で手を振り返した。

 一向が見えなくなるのを確認してから、小鳥遊は伊波を見る。
 同時に伊波も小鳥遊の方を見たので、視線がぶつかる。お互い、それがなんとなく恥ずかしくて視線を外した。

「・・・じゃあ、帰りましょうか」

「うん!」

 それから二人も歩き出す。

 マジックハンドで手を繋ぎながら。

 二人を、花火にも負けず劣らずの満点の星空が照らしていた。






 みなさん、花火を最後にしたのはいつですか?

 その時の光景を、覚えていますか?

 きっと家族と笑っていたでしょう。友達と笑っていたでしょう。

 ロケット花火の残骸を探すのに苦労しませんでしたか?
 手持ち打ち上げ花火を向けられたりしませんでしたか?
 ねずみ花火の想像以上の動きに驚いたりしませんでしたか?
 線香花火を合体させて、想像以上に火花が出ないのを残念に思ったことはありませんか?
 きっと、色んな思い出があるはずですよ。

 夜に部屋に一人でいる時、花火の音が聞こえたら・・・うるさいと思う前に、自分の花火の思い出を思い浮かべてみてください。

 少しだけ、幸せになれるかもしれませんよ。

 ・・・まあ、うるさすぎたら、イヤホンを付けて寝てみましょう。

 あの日に見た打ち上げ花火の光景を、どうか皆様忘れずに。

 きっと、心も照らされるような美しさでしたでしょうから。










 あとがき

 花火って、本当に楽しくていいものですよね。
 俺は、家族とよく花火をしました。手持ち花火で虫を焼き殺したりは本当にしてました。いやー、あれ、楽しいんですよね(待
 小学生低学年の時に、地元の花火大会を見に行った時は、花火の音がうるさくて怖くて泣くじゃくった記憶があります。でも、慣れるともうテンションMAXで、はしゃぎまくってました。
 最後の言葉は、俺の本心の言葉です。まあ、花火の音を本当に嫌に思う人もいるでしょうが、そこは勘弁してください。

 さて、カップリングについてですか。
 松本の話を書いている途中で、急にカップリングを書きたくなりまして、無理やり入れた次第でございます。んで、オールキャラ登場で、佐藤と八千代だけもおかしいなあと思い、小鳥遊と伊波の話も書きました。今回は珍しく話がすらすら浮かんで、途中で思わず、「俺天才か!?」とか言っちゃいました。すいません、生卵投げないで、ごめんなさい!
 線香花火のくだりはお気に入りです。
 上にも書きましたが、なんか相馬と山田がいないのもせつないので、見たい人はどんどん言ってくださいね。頑張ってみます!

 ・・・しかし、俺のブログ、携帯から見てる人は見にくくてしょうがないだろうなあ。まあ、いいか(よくねえ

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コメント

さ…佐藤さんとまひるが可愛すぎるううう!(落ち着け

花火に至るまでが自然ですねー。天才ですか貴方は。

松本さんが出てたのも嬉しいし。
佐藤さんとまひるの独白にノックアウトされました。

二代目ミス生殺し八千代の生殺しっぷりが半端ないし。


ほぼ全キャラ出演でみんなに出番があるのがうれしかったです。




虫のくだりはアレでしたけど。
毎年身内で花火するのに楽しめなくなってしまう(笑)


2009-08-01 Sat 14:16 | URL | 蛍火メイ [ 編集 ]

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