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銀の働き部屋

管理人銀河の、日記兼テキストサイトです。取り扱うジャンルは主にヤングガンガン連載のWORKING!!になると思います。最近は東方の霖之助小説を書くのにも夢中。どうかよろしくお願いします。リンクはフリーです。感想は常に受付中です!もらえたら泣いて喜びます

やらねばならぬこと 小鳥遊×伊波

 小説の方が一応できたにはできたので載せたいと思います。前々から言っていた通り小鳥遊×伊波です。甘め成分は・・・微糖ということにしておきます。あ、べたべたはしてないので安心を(何















 バイトが終わってからも、俺・・・小鳥遊宗太の仕事は終わらない。
 他の人達に挨拶をして着替える。
 そして従業員用入り口で人を待つ。

 秋の夜はとても涼しくて、長袖でないと風邪を引いてしまいそうだ。
 体調が悪くなれば、学校生活にだって支障が出るし、バイトの人達にも迷惑をかけてしまう。
 特に、以前姉の看病のためにバイトを休んだら佐藤さんに叱られた。その異常なまでの迫力に体が震えた。
 だから、家に帰っても忙しいが健康には気を使う。食事も栄養のバランスを考え、休息もしっかりととる。
 高校生らしい生活とは言えないが、俺にはその義務がある。

「お、お待たせ小鳥遊君!」

 ブレザー姿で、少しだけ頬を紅潮させながら店から出てきた彼女。
 そう。彼女を途中まで送る。それも俺の義務だ。

「いえ。じゃ、行きましょうか」

 俺はできる限りの笑みで答えた。



 二人で、静かな道を歩き続ける。伊波さんの歩調に俺が合わせて歩く。
 外灯はぼんやりと道路を照らすだけで、完全に頼りきれるものではないと感じた。
 男の俺でさえそう思うのだから、伊波さんはもっと頼りなく感じているのではないだろうか。ただでさえ、彼女には男嫌いという病気を持っている。
 しかも、伊波さんの昔の話を聞いた限りは男は全て狼と教えられたのがきっかけというのもあり、こんな夜道で合ったら・・・相手に合掌。
 実際、ちらりと彼女の顔を覗きこむと、酷く落ち着かない様子だ。まあ、これはいつものことなのだが。やはり心配といえば心配だ。
 ちょっと前までは、彼女はこのような寂しい道をたった一人で帰っていたのだ。そう思うと、本当に彼女の「病気」が深刻なものなんだなと再認識される。

「すっかり涼しくなりましたね。伊波さん」

「う、うん。過ごしやすいよね」

「寒くないですか?」

 そう気遣いの言葉をかけると、彼女は慌てて手を振って、

「だっ、大丈夫だよ!?」

 と、何故か顔を少し紅潮させて言う。
 顔が赤いから、本当に大丈夫なのかと尚更心配になる。しかし、熱でも測ろうと頭を触ろう物ならば鉄拳が容赦なく降り注ぐ。
 その瞬間に人でも通ったものなら、完全に通り魔と被害者にしか見られないだろう。俺が合掌されてしまう。
 通報されるわけにもいかないので、この時間は少しでも男嫌いを直すために俺から積極的に話しかけるように心がけている。

「本当ですか? 何なら上着貸しますよ?」

「貸っ!? だ、大丈夫!!」

 悲鳴のような甲高い声を上げてから、力一杯の拒否。
 ・・・流石に何だか傷つく。心配しているだけなのに、心配の量に反比例して彼女の拒否反応は強まるばかり。
 俺の何がいけないんだろうか。やはり、学校などでも女子と話した回数は少ないせいか。だから上手く話ができないのだろうか。

「・・・風邪とか引かないでくださいよ」

 少し刺々しく言葉を返す。優しさを全否定されたら誰だってこのような態度になるだろう。
 伊波さんは少し反省したのか、俯きながら息を吐いたのが分かった。
 少し大人気なかったかと思い、言葉を考える。このままだと会話が無くなってしまいそうだ。

「あ、あの。もうすぐでテストなんじゃないですか?」

 そう尋ねると、伊波さんは大きな声で「あっ!」と言うと少し涙目で俺を見上げる。
 どうやら、俺の話題作りのセンスもそう捨てたものではないらしい。

「そうだ・・・! ね、ねえ小鳥遊君。また古文教えてもらっていいかな?」

 俺にそう頼んでくる伊波さんは、何だか子犬のようで可愛らしく感じられた。だが気をつけろ俺。撫でたら噛むタイプの犬だ。

「いいですけど。いい加減学校の先生にも慣れた方がいいですよ? 社会人になったら嫌でも男の人とも話したりするようですし」

 そう答えると、伊波さんはまた溜息を一つ。
 本人なりに努力しているんだということは分かる。しかし、俺に対してはこんなに話せるようになったのだから決して先生と話せるようになるのも不可能なことではない。

「分かっているけど・・・。はあ、駄目だよね私」

 こういう話をすると、伊波さんはこのように少し自虐的な態度を見せる。
 その姿は酷く小さく見えて、彼女が自分の病気と精一杯向き合っているというにがありありと表れている。
 普段からその病気を嫌というほど味わっている俺は、できる限り彼女を支えていく必要があると思う。
 それも、俺の義務なのかもしれない。

「大丈夫ですよ。時間をかけて、しっかりと治しましょう?」

 俺ができる限りの優しい言葉。また否定されることを心で恐れたが、彼女は力無く頷いただけだった。
 それはそれで、やはり落ち着かない。
 この会話の流れは殆ど毎回のように存在している。彼女にとっては、自分を何回も見つめ直すことも必要だと思っている。だからこの会話も決して無駄なものではないはずだ。

 さて、次はどのような会話を振ろうか・・・と慣れない思考を巡らせる。

「あ、あのね小鳥遊君」

 突然彼女から話しかけてきて、俺は伊波さんを見る。
 相変わらず落ち着かない様子で口を開く。

「た、小鳥遊君は古文得意だよね? だから・・・その、いい参考書とかあったら教えてもらいたいなって」

 ああ。と俺は頷いた。
 確かに、授業を聞けてないのだから、勉強で頼りになるのは市販の参考書が主になるのだろう。しかし・・・

「テスト出題傾向ならば、友達からノートを借りたりしたほうがいいんじゃないですか?」

 そう尋ねると、伊波さんは顔を紅潮させながら慌てて言葉を考え始めた。
 何かおかしいことでも聞いただろうか。ふむ、分からない。

「い、いやそのね! みんな部活とかで忙しくて勉強できる時間が少なくて! 私にノートを貸す余裕なんか無いの!」

 やたら早口でそう言い切る伊波さん。俺は何故そんな焦る必要があるのかさっぱり理解できなかったが、「はあ・・・」と答える。
 しかし気になったことがあり再び尋ねる。

「今はテスト期間中になれば部活は休みですから、ノートを借りるまではいかずとも一緒に勉強くらいはできるんじゃ」

 すると伊波さんは更に顔を赤くして俯いてしまった。
 伊波さんから発生する蒸気が熱い。本当にややこしい人だ。

「そ、それでも不安なの! 基本から応用まで勉強したいの!!」

 真赤な顔を上げて、ヤケになったように大声で言う。
 その迫力に思わず後ずさってしまった。目元を見ると少し涙が滲んでいる。

「ど、どうしたんですか」

「もう! 何でもないよ!」

 そう言って顔を背けてしまった。
 ・・・何だ。俺が悪いのか。俺が何かしたのか。
 その理不尽さに思わず溜息が出た。とりあえず、また話題が作れそうな雰囲気ではない。
 しかし、今頼まれた事を未定で済ます訳にもいかない。

「あ、あの伊波さん? 俺でよければ参考書くらい選びますよ?」

 とりあえずぎこちなく話しかける。返答がいつ来るのか、どう来るのかでやたら緊張する。というか、何故俺が緊張する必要がある?
 伊波さんはしばらくの間何も言わなかったが、頬の紅潮はやや継続させたまま俺を向き、

「ほ、本当?」

 と弱々しく尋ねてきた。

 ホッ、と胸を撫で下ろす。どうやら機嫌は回復したらしい。

「は、はい。どうしますか? 俺が持っているのを貸します? 結構参考になると思いますよ」

「う、うん。ありがとうね」

 伊波さんが笑顔で礼を言う。
 何だか気恥ずかしくて顔を背ける。別に、お礼を言われるほど大したことではないはずだ。

 しかし、ここで考えた。

(伊波さんの最終目標は確か・・・)

 うん。と心の中で頷いて、伊波さんに話しかける。

「伊波さん。やっぱり、参考書は新しく買いましょう」

「え? どうして?」

 俺は軽く息を吸い込み、ハッキリと言い放った。

「俺と買いに行きましょう!!」

 夜道に俺の声が響き渡る。
 ・・・自分でも声の出し方を間違えた。言い終えてから何だか恥ずかしくて軽く咳払いをする。
 しかし、今の提案は決して悪いことではないはずだ。

 俺以外の男には未だに拒絶反応が強いが、俺と出かけるならばまず暴走することも無いだろう。
 そもそもの最終目標は、俺と手を繋いで出かけること。・・・まあ、今の段階では手を繋ぐことは無理だろうが。
 しかし、俺と一緒に買い物に行くという行動は、確実に彼女の男嫌いを治すきっかけになるはずだ。

「どうですか伊波さん。いい提案・・・」

 伊波さんを見ると、頬の紅潮すら収まった・・・正に唖然とした表情で俺を見上げている。
 俺も思わず停止してしまう。
 何秒経っただろう。伊波さんが口を開く。

「また女装で?」

「違います。嫌な事思い出させないでください」

 そう答えると、再び沈黙が流れる。
 ・・・・く、苦しい。
 何だ。俺はそんなに地雷を踏んだか。

「まあ、前回はあなたの言うとおり女装でしたし。今度はしっかりと男のままで、男嫌いを・・・」

 と、言った瞬間。

 伊波さんの顔が、間違いなく本日最大級に赤く染まり、パクパクと口を開閉し始めた。
 口を震わせながら口を開く。

「そ、それはつまり。男の小鳥遊君と・・・二人だけで買い物に!?」

「は、はあ。そうなりますかね。また女物の服でも着させられない限り。前だってそうだったじゃないですか」

 もちろん女装というハプニングはあったが。
 
「だ、大丈夫だよ! 気にしないで!」

「いや。やはり男嫌いを治すなら早い内が一番ですし。いい機会もできたことですし」

「わ、私が無理!」

「前だって女の格好とはいえできたじゃないですか。レベルが少し上がったと思えば・・・」

 そう言っても伊波さんの顔の赤さと溢れる熱は止まらない。
 体中をそわそわと動かしながら言葉を探している。

「私は、そんなつもりじゃなくて・・・」

「いや、前回みたいなノープランじゃなくて目的地も定まっていますし・・・」

「私はただ、小鳥遊君と勉強したかっただけなの!!」




 時が止まった。
 俺も、伊波さんも。

 しばらくは今聞こえた言葉が理解できなかった、
 何回も頭の中で言葉を繰り返し、その意味を探る。
 しかし、何故だか知らないが結論が見えてこない。

 俺と勉強したかった?
 確か、前回勉強をした時は伊波さんはとても悔しそうな表情をしていた。
 だから、俺が勉強を教えることは彼女にとってはただの屈辱の時間なのだと考えていた。

 ・・・いくら考えても結論が見えてこない。

 そんな事を思っていると、伊波さんの時が動き出した。

 体をぷるぷると震えさせ、顔の紅潮が更に強まる。目には涙が滲んでいく。

 その様子を見て、俺の時も動き出した。

 まず始めに、心臓の動悸が早まった。
 次に、顔が赤くなるのを感じた。
 最後に、口を震わせながら呟いた。

「い、今何て?」

 少し裏返りかけた声で尋ねると、伊波さんは顔を伏せて荒い呼吸に合わせて肩を大きく上下させるだけだ。
 俺も視線を真っ直ぐに目の前に戻す。呼吸は伊波さんの事を言えないくらいに荒い。
 頭の中を巡る先ほどの言葉を消したい気持ちになったが、俺の中の何かがひたすらに先ほどの言葉を繰り返す。

 おかしい。おかしいぞ俺。
 今までの俺なら、そんな事を言われても何も思わない・・・そもそも意味に気付きすらしなかったんじゃないか。
 なのに、何で今はこんなにも深く考える。意味が理解できてしまう?

 そ、そうだ。前に出かけた時に伊波さんの良さに少し気付いたからか? それが原因か?
 それにしたって、何でここまで赤くなる俺の顔。何故早まる俺の心臓。

 脳の天辺まで熱が通り、まるで働こうとしない。
 今の俺の頭ができることは、ただこの恥ずかしさを量産するだけ。

 頼む。落ち着け。落ち着いてくれ俺の頭、心臓!

「わ、私今日はもう1人で大丈夫だから! じゃ、じゃあね!」

 伊波さんが走り出す。
 俺もとてもとてももう会話ができる状態ではないので、非常にありがたい。
 ありがたいが・・・

「ま、待ってください!」

 呼び止める。
 彼女はピタリと止まり、こちらを振り向いた。相変わらず顔は赤い。

「え、えっとそのあの・・・」

 呼びかけたはいいものの、言葉が浮かばない。
 その間にも顔は火照って火傷でもしてしまうのではないかと思うほど熱い。
 でも、言わなきゃいけないことがある。

「ひ、1人で帰ったら治療にならないじゃないですか! あと参考書の話だって残っていますし・・・!」

 頭で浮かべた言葉がそのまま口から飛び出していく。
 まるで整理もされていないし、俺の様子は誰が見ても情けない物だろう。

 でも構わない。

 一緒に帰ろうと言ったのは俺だ。それを曲げてはいけない。彼女のためにも。
 俺のためにも。

 それに・・・!

「勉強だってするようでしょう!? い、今の内から苦手な所教えてくれませんかね!」


 言ったじゃないか。
 できる事なら協力するって。
 古文を教えるくらいはできる。できるのにしないのが一番悪い。

 それは義務のような物。
 一緒に帰ると言ったから。
 教えましょうかと言ったから。

 だから、

「今度、教科書とかしっかり持ってきてくださいね!」

 俺は彼女の傍にいる。
 彼女が望むなら。それで彼女が助かるのなら。

 そうすれば、俺自身も救われる。

「・・・うん! 分かった!」

 彼女は微笑みながら答えた。
 街灯のみで照らされる夜道の真ん中で。
 でも、その姿はとても眩しくて。
 俺の顔の熱はなかなか取れそうにも無かった。

 ・・・ま、彼女も一緒だろうが。





 彼女の隣にいる
 それが俺の義務ならば

 最後まで果たしましょう

 あなたが救われるその日まで








 あとがき

 元々ネーミングセンスがいいなんて思っちゃいませんが、今回のは酷いなあ(ぇ
 本文ですが・・・まあ、俺の限界はこんなものですかね(ぇ
 何だか、いまいち足りなく感じるようにも思うのですが、見直して見ると別にそこまでおかしな点も見られない気がするという・・・なんとも厄介なことで。
 無理に早く仕上げようとしなくていいのかなあ。でもなあ・・・人が離れちゃうし・・・!(涙
 今度の作品はゆっくりめに仕上げようと思います。シチュが足りない・・・!
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