銀の働き部屋

管理人銀河の、日記兼テキストサイトです。取り扱うジャンルは主にヤングガンガン連載のWORKING!!になると思います。最近は東方の霖之助小説を書くのにも夢中。どうかよろしくお願いします。リンクはフリーです。感想は常に受付中です!もらえたら泣いて喜びます

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聖夜の合言葉  小鳥遊×伊波




 明日はメリークリスマス!! ということで、クリスマスをテーマにした、小鳥遊×伊波小説を載せたいと思います。

 小説のタイトルは、『聖夜の合言葉』。カップリングは小鳥遊×伊波
 甘さはそこそこです。割といちゃいちゃしてるかもしれません。

 では、続きからでどうぞ!!

 また、小説のあとがきの後にコメント返信があります!!!











 クリスマスとは、本来はイエス・キリストの生誕(降臨)を祝うためのキリスト教の記念日である。キリスト教徒はこの日に、自らの主であるイエス・キリストの誕生日・・・とされている・・・に、聖書を読み、教会などで祈りを捧げる。それが、本来のクリスマスの様式なのである。
 しかし、日本ではそのようなクリスマスのイメージはあまり広がっておらず、どちらかというと、サンタクロースが子どもにプレゼントを配ったり、ただ仲間同士で盛り上がるためにパーティーを行ったりと・・・宗教的な意味合いでクリスマスが祝われることは少ない。

 しかし、クリスマスは男女にとって、大きな意味を持つ日でもある。

 若者向けの雑誌ではクリスマス特集が当たり前のように組まれ、お洒落な雰囲気を持つ店の紹介や、クリスマスプレゼントにふさわしいアクセサリーの紹介などなど・・・。様々な情報が掲載される。
 全ては、男女の愛をより深めるために。もしくは、愛を芽生えさせるために。



 そして、そんな雑誌の情報を、穴が空くほど見つめ続けている少女が一人。

「・・・『彼の心をがっしりキャッチ、クリスマスで、二人の仲は急接近!!』・・・かあ」

 少女はベッドの上に寝転がりながら、雑誌の活字を口に出して読む。
 その雑誌には、その文字の他に、クリスマスがきっかけで結ばれた女性達の体験談や、男受けするデートスポットにプレゼントの情報などなど・・・が載せられている。まあ、良くも悪くも、現代のこの時期の雑誌という内容だった。

 しかし、それを読む少女・・・伊波まひるは極めて真剣であった。

「クリスマスかあ。・・・小鳥遊君と・・・クリスマス・・・」

 伊波は脳内で、小鳥遊宗太と過ごす素敵なクリスマス、を想像する。
 二人でクリスマスイルミネーションが施された、美しい光に満ちた街を歩く。そして、街の中に設置された最も大きなクリスマスツリーの前で・・・二人は・・・

「・・・なんちゃって! なんちゃって!!」

 妄想で顔を真っ赤に染め上げ、足をばたつかせながら嬌声をあげる伊波。
 しかし、すぐにそんなことは絶対にあり得ないということに気づき、小さく溜息をついた。

「・・・二人で並んで歩くだけで精いっぱいなのに、無理に決まってるよね・・・」

 雑誌を床の上に放り投げ、自分の枕を抱きしめ、仰向きになり天井を見た。

 この雑誌は、実は伊波が購入したものではない。
 学校の彼氏持ちの同級生が、伊波に好きな人がいるという情報を聞きつけて、参考になればと貸してくれたものである。
 正直伊波は、この雑誌を読んだからどうにかなるという問題ではないと思っていたのだが、友人の好意をむげにすることもできず、この雑誌を貸してもらった。
 そして就寝前に雑誌を読み始め、現在に至る。というわけだった。

「・・・せっかくのクリスマスなのに、何もしないのも嫌だなあ」

 伊波が憂鬱な気分になるのも仕方がない。
 伊波の通っている学校は女子高だが、当然年頃の女性が集まっているのだから、他校の男子と恋愛関係を持っている者は少なくない。
 この時期になると、嫌でも彼氏とクリスマスを過ごす女子の情報が耳に入ってくる。それをずっと聞いていると、全くといって言いほど進展しない自分の恋が情けなく思えてきてしまう。
 だから伊波は、乗り気では無かったが雑誌に一通り目を通し、小鳥遊と過ごすクリスマスを想像した。

 だが、想像の中でも、クリスマスの美しいイルミネーションが二人をロマンチックに照らすことはなかった。

「・・・全部私のせいなのにい~!!」

 枕を抱いている腕に力を入れる。伊波が力を入れると、枕は限界以上まで小さく圧縮され、力を緩めても元の形に戻るのにずいぶんと時間を要した。
 
 柔らかさを失った枕を横に置き、伊波はベッドの枕下に置いてある、小鳥遊の写真を手に取った。
 彼は写真の中で、ぬいぐるみを片手に幸せそうな笑顔を浮かべていた。その写真を見るだけで、伊波も幸せな気持ちが満ちてきて、笑顔が浮かんできた。

「・・・でも、デートとかは無理でも・・・プレゼントとかならいいかな?」

 小鳥遊の写真を静かに置き、伊波はそんなことを呟いた。
 以前にも、小鳥遊には普段の感謝をこめて人形をプレゼントしたが、クリスマスプレゼントとなると、意味合いも変わってくる。
 もしかしたら、自分の気持ちに小鳥遊君が気づいてくれるかもしれない。・・・気づいていい結果になるかどうかは分からないけど、やる価値はあるかもしれない。

 そう思った伊波は、早速プレゼントを考えることにした。

「人形をあげれば喜ぶには違いないだろうけど・・・前と同じような物あげるのも、なんかなあ・・・」

 そう考え、他のプレゼント候補を考えるが、小鳥遊が小さいもの以外に興味を示しているところを見たことがないので、なかなか思い浮かばなかった。

「・・・しょうゆとか。・・・何でクリスマスに調味料をプレゼントしなきゃなんないのよ!」

 自分で言ったことだがあまりにも馬鹿らしくて、伊波は首を激しく振った。
 どうしよう・・・としばらく悩んでいると、さっきまで読んでいた雑誌の内容を思い出した。

「・・・プレゼントは、普段使える物がいい」

 そう書いていたはずだった。
 そして考えた。男の子が普段使っているもの。小鳥遊君が最低限、嫌いでないもの。

 伊波はずっと、一生懸命考えた。
 ただ、自分の恋が叶うようにという願いだけではなく、小鳥遊のことを考えながら。

 普段から自分に普通に接してくれる小鳥遊君。
 何回殴っても、絶対に見放したりしない小鳥遊君。

 大好きな、大好きな小鳥遊君。

 そんな彼の、プレゼントを受け取った時の笑顔を想像しながら、伊波はずっとずっと・・・考えつづけた。





 伊波の決意から数日。
 今日は、世間が待ちに待ったであろう聖なる夜。クリスマス。
 

 ワグナリアでのバイトを終えた伊波は、一人、関係者用出入り口前で佇んでいた。
 口を開き呼吸をすると、真っ白な息が街灯の明りに照らされながら、空から降り注ぐ雪を僅かに溶かした。

 今年のクリスマスは、幸いというべきであろうか、粉雪の降り注ぐホワイトクリスマスとなった。見上げれば、触るだけで崩れるような小さな氷の塊が真っ黒な空に天然の模様を刻んでいる。
 ホワイトクリスマスとは言っても、普段から降雪確率の高い北海道では特に珍しいことではない。それでも、年に一度の大イベントで降る雪は、普段よりもありがたい物に見える。
 雪は昼から降り出し、道路には既に数㎝の雪が降り積もっている。ブーツを履いていなければ足は水浸しになり、その寒さに震え上がっていただろう。

「・・・まだかな」

 ぽつりとそう呟き、伊波は自分の鞄から、赤いサンタクロース模様の小さな箱を取り出した。
 両手で包んでも完全に包むには少し足りない、というほどの大きさの箱を、指で意味もなくさすってみる。
 たったそれだけのことで、伊波の心臓の動悸は僅かに速くなっていた。

「・・・寒っ」

 真冬の風が伊波の体を撫であげるように吹きつけると、思わず伊波は体を震わせた。
 現在の気温は、氷点下に届くか、届かないかといったところであろうか。ストッキングを穿いているとはいえ、女性である伊波の体には厳しい気温だ。
 寒さでかじかみ、赤くなっている手を、息を吐いて温めた。

「伊波さん!? 何でこんなところで?」

 背後から聞こえた声に、伊波は自分の持っている箱を素早く鞄の中にしまい、振り返った。
 そこには、関係者用出入り口の扉を開けながら、驚きの表情を浮かべている小鳥遊の姿があった。

「中で待ってないからどうしたのかと思ったら・・・凍えちゃいますよ!?」

 すぐにドアを閉め、小鳥遊が伊波の下へと駆け付ける。心配そうに眉をひそめ、言葉には、ほんの少しだけ怒りが混じっているようにも聞こえた。

「ご、ごめんなさい・・・。ホワイトクリスマスだなーって思ったら、何だか外に出たくなって」

 本当は、冷気にでも当たっていないと興奮によって体が火照ってしょうがなかったからなのだが、そんなことを正直に言えるはずもなく、伊波はそう答えておいた。

「だからってこんな寒さの中・・・。女性は体冷やしちゃ駄目なんですよ?」

 呆れたように溜息をつき、小鳥遊は伊波に歩み寄りながらそう言った。
 ごめんね、と小さく謝っておいたが、小鳥遊に心配してもらったことが嬉しくて、伊波は思わず笑みを浮かべた。

「何、笑ってるんです?」

「な、なんでもないよ。・・・じゃ、帰ろうか」

「あ・・・」

 伊波が一歩、深い雪の中に足を踏み入れると、小鳥遊が力なく手を浮かべながら何かを言おうとした。

「・・・何?」

 伊波は振り返り、困惑した表情を浮かべながら尋ねる。ふと伊波は、自分がこのように声をかけるのも珍しいな、と思った。

「な、何でも無いです!」

 すると小鳥遊は手を素早く下ろし、顔を僅かに赤くして首を振った。
 明らかに様子がおかしい小鳥遊の行動に、伊波は首を傾げた。しかし無理に追及するのもよくないと思い、何も言わないことにした。
 ましてや、今日は伊波にとっての勝負の日。ここで余計なことを言って小鳥遊の機嫌を損ねる、という事態だけは避けたい。

「じゃ、じゃあ・・・はい」

 小鳥遊が自らの鞄からいつも二人で帰る時に使用しているマジックハンドを取り出し、伊波に差し出した。
 伊波は笑顔を浮かべ、そのマジックハンドをしっかりと握った。
 男にまともに触れることのできない伊波にとって、このマジックハンドが、伊波と小鳥遊とを繋ぐ唯一の手段。とはいっても、間接的な繋がりではあるが・・・それでも、小鳥遊を近くに感じることができる気がして、伊波は嬉しかった。

 小鳥遊が伊波の隣に並び、二人揃って歩き始める。

(・・・クリスマスに、二人きりで帰る・・・)

 そう考えると、まるで自分と小鳥遊が街を歩いているカップル達と同じような関係になった気がして、伊波は急に恥ずかしくなってきた。
 顔が赤みを帯びているのを感じたが、小鳥遊に感づかれたくなくて、顔を横に逸らす。

 伊波が男嫌いであるため、二人が帰る道は最も人通りの少ない地味な道のりである。
 当然、街中に溢れるイルミネーションも無ければ、辺り構わず自分達の仲を見せ付けるカップルも存在しない。
 クリスマスなのに・・・という感情が全くないわけではないが、より二人だけで歩くことのできるこの道を、伊波はだんだんと好きになっていた。

(・・・いつ、渡そうかな)

 自分の鞄一瞬目をやってから、伊波は考えた。
 この鞄の中にあり、先ほど取り出した小さな箱。
 その中には、今日のために伊波が選んだ、小鳥遊に対してのクリスマスプレゼントが入っている。そしてそのプレゼントは当然、今日渡すことになる。
 問題は、どのタイミングで渡すか・・・ということである。

 全く何の会話もしていないのに、突然プレゼントを渡したい、と言ったらおかしいだろうか?
 別れ際に渡すのでは・・・そっけないと思われてしまうだろうか?
 折角悩みに悩みぬいたプレゼントなのだから、それを渡した後の余韻も感じたい気がする。だからといって、普通に歩いていただけではプレゼントを渡す機会など訪れないことも安易に想像がつく。

(なんにせよ・・・私からは言えないよ~・・・!!)

 目を強く閉じ、心の中でそう叫んだ。
 伊波は、ちら、と小鳥遊の顔を見た。
 小鳥遊は真っ直ぐ前を見据えながら歩いていた。寒さのせいか、顔が少し赤かった。

(せめて、せめて小鳥遊君がクリスマスの話を振ってくれたら・・・)

 慌てて自分も顔を正面に戻し、伊波はそう願った。

 しかし、ここであることに気付いた。

 ・・・小鳥遊君が、話しかけてこない?

 二人で帰る時は、小鳥遊が積極的に伊波に話しかけてくることが殆どだった。
 それは、小鳥遊流の男に対しての抵抗をなくすための方法であった。更に言えば、もともとあがり症である伊波にとっても、小鳥遊が積極的に話しかけてきてくれることは非常にありがたかった。
 なのに、今日は小鳥遊が一度も話しかけてこない。
 まだワグナリアを出発してそんなに時間が経ったわけではないが、これほどの時間会話が無い、というのは伊波は初めてだと思った。

 どうしたんだろ?

 そう考え、小鳥遊の顔をもう一度窺った。
 すると丁度小鳥遊が伊波の顔を見た。それは全くの偶然で、小鳥遊にとって何の意識もしていない行為であっただろうが、伊波は驚き、慌てて顔を逸らした。

「・・・顔、赤いですね」

 僅かな沈黙を置いて、小鳥遊が口を開いた。当然、ワグナリアを出発してから初めて聞く声であった。
 伊波は小鳥遊の普段となんら変わらぬ声に安心感を覚えながら、それに答えた。

「きょ、今日は寒いからね。小鳥遊君も、寒くない?」

「俺は別に・・・」

 少し歯切れ悪く、小鳥遊は少しうつむきがちに答えた。

 ・・・やっぱり、今日の小鳥遊君は少しおかしい。
 そう伊波が思った時。

「伊波さん」

「は、はい?」

 ややはっきりとした、大きめの声で小鳥遊が伊波を呼んだ。
 突然呼ばれたことに驚き、伊波はやや戸惑いがちに返事をする。

 小鳥遊は体ごと伊波へ向き直り、顔は少し赤くなっていたが、真剣な眼差しでこう言った。

「渡したい物が・・・あるんです」

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「え?」

 頭の中が一瞬真っ白になってしまい、何も考えることができず、伊波は間抜けな声でそう返した。
 すると小鳥遊は自らの鞄に手を入れ、少し小さめの紙袋を取り出した。
 その紙袋の模様は真っ赤で、クリスマスらしい緑色の草冠を模したリボンで封がしてあった。

「これ、なんですけど・・・」

 少しはっきりとしない口調で、小鳥遊は伊波の前にその袋を差し出した。
 伊波は、思わず小鳥遊の顔をもう一度見つめる。
 ほんの少しだけ伊波から視線を逸らし、口を強く閉じている。

 その時、小鳥遊の顔が赤いのは照れているからなんだ、と、伊波は理解した。

「この前、プレゼントしてもらいましたし。そのお礼・・・と言ったらおかしいかもしれませんけど。あ、クリスマスになってしまったのは深い意味は無くて・・・」

 珍しく動揺しながら、そう説明する小鳥遊を、ただただ呆然としながら見つめる。
 視界はおぼろげで、寒さも感じない。
 それなのに。
 小鳥遊の言葉だけが、伊波の耳に深く響いた。

「・・・あ、マジックハンドで渡しましょうか?」

 小鳥遊がマジックハンドを使って紙袋を掴もうとする。
 だが、

「だめ」

「え?」

 伊波は、短くそれを拒否した。

「・・・自分で、受け取りたい」

 その伊波の表情は、喜びでも戸惑いでも無い・・・。言わば、唖然とした表情だった。
 口は力なく開き、目も一点を定めてはいない。
 しかし、言葉だけははっきりとそう言い放った。

 ゆっくりと、紙袋へ手を伸ばす。その手は、伊波自身も驚くほど震えていなかった。
 そして、小さな音を立てながら、伊波が両手で紙袋を受け取る。
 自分の胸元へとその紙袋を運び、抱きしめる。
気づけば止まっていた息を大きく吐きだした。

「はあ・・・!! はあ・・・!!」

「だ、大丈夫ですか?」

「だだだ、大丈夫ぅ!!!」

 先ほどまでの落ち着きが信じられないほど、顔を赤くし、紙袋を抱える両手は小鳥遊の目から見てもハッキリわかるほど大きく震えている。
 口も寒さとは違う理由でガタガタと震え、目も激しく動きどこを見ているか分からない。

 だって、嬉しかったから。
 今日という日に、想い人からプレゼントを貰うことができたから。
 だから、伊波は・・・とにかく嬉しくてしょうがなかった。

 いつから、考えてくれていたんだろう?

 昨日? 一昨日? 一週間前? 一か月前?

 いつからでもいい。
 今日の私が、こんなにも幸せだから。

「あ、あの・・・なんだかすいません」

「い、いえいえ!! ごちそうさまです!!」

「ごちそうさま!?」

 限界まで緊張した伊波の声が雪の降る夜道に響き渡る。
 伊波は何回も深呼吸を繰り返し、心を落ち着かせる。
 そして、呼吸の荒さも収まったころ、小鳥遊を見上げ、恥ずかしそうに呟いた。

「あ、あの・・・中身を見る前に・・・」

「え。あ、はい。何ですか?」

「・・・私も、いいかな? その・・・あの・・・。ぷ、プレゼント」

「へ?」

 真っ赤な顔でそう言うと、小鳥遊は全く予想していなかったのだろう。少し前の伊波と同じくらい間抜けな声を出してしまっていた。
 少し沈黙が続き、ハッとしたように小鳥遊は口を開く。

「も、もちろんです」

 先ほど以上の動揺が見受けられる。しかし、伊波は全く気にならなかった。
 何故なら、今の伊波も間違いなく、動揺しまくっているであろうから。

「あ、あのね? 私も、普段お世話になってるから・・・いや、この前とはまた少し違くてね!? でも、折角、クリスマス・・・なんだし、丁度いいというかなんというか・・・」

 小鳥遊と同じように、意味の無い言い訳を重ねる伊波。
 そんな伊波を見て、小鳥遊は、「自分もこうだったのか?」と思い、思わず微笑んだ。

 伊波は、ワグナリアの前で取り出したものともちろん同じ箱を取り出すと、震える両手の上に乗せながら、小鳥遊の前へと差し出した。
 顔は小鳥遊をとても直視できず、下を向いていた。真っ白な積雪が、二人の動きで僅かに乱れている。

「・・・大丈夫、ですか?」

 この『大丈夫』の意味は、伊波にも理解できた。
 自分が直接、受け取って大丈夫でしょうか?
 そういう、意味だ。

「大丈夫!! 頑張る!!」

 下を向いたまま、声を絞り出すように叫んだ。
 小鳥遊はその言葉を聞くと、彼女には見えずとも頷き、慎重に手を伸ばす。
 そして、その箱を上からつまみあげるように受け取り、自らの胸元へと運んだ。

「もう、いいですよ」

 小鳥遊が優しくそう声をかけると、伊波はゆっくりと顔をあげた。
 その顔は予想通りというかなんというか、恥ずかしさと嬉しさとで、真っ赤であった。

「・・・じゃ、開けて、いいですかね?」

「わ、私も開けて・・・いいかな?」

 お互い尋ね合い、そして、お互い頷いた。

 二人が、それぞれのプレゼントの包装紙を解いていく。
 紙をゆっくりと破り、現れた箱と紙袋。
 お互い、目を合わせてもう一度頷き、それぞれの封を切り、開いた。

「・・・手袋」

 伊波が呟く。

「・・・腕時計」

 小鳥遊が呟く。

 伊波が小鳥遊から受け取ったプレゼント。それは、手袋だった。
 模様の殆ど無い飾りっ気の無い手袋だが、持つだけで指の先が温まってくるのではないかと思うほど、良質の生地と素材で出来上がっているものだと、伊波は瞬時に理解することができた。
 面白味が無いのは、伊波がどんな模様や飾りを好んでいるのかを知らなかった小鳥遊の、精いっぱいの工夫であった。

 小鳥遊が伊波から受け取ったプレゼント。それは、腕時計だった。
 こちらも飾りっ気の無い、質素なアナログ時計。
 やや小さめの円盤の中で、正確に時が刻みつけられている。ベルトは皮製だった。
 やはり伊波も小鳥遊の趣味が分からず、誰にでも合うように選んだ結果がこの時計。


 お互い、しばしの間それぞれのプレゼントを見つめ続ける。
 色んな角度から見たりはせず、それぞれの手のひらの上に乗っているそのプレゼントを、ただ見つめ続けた。

 そして自然とお互いが顔を上げ、目線が合った。

「・・・腕時計なんか、時間なんか、携帯見れば済む話だよね!」

「手袋は、冬の間しか着けられませんよ!」

「すっごい地味だし、小さいし!!」

「俺の方が地味ですし、つまらないです!!」

「そもそも小鳥遊君だって持ってる物だろうし!!!」

「女の子なら誰だって持ってますよね!!!」

「この時期に貴金属着けても寒いよね!!!!」

「そもそも店を出た時になんで渡さなかったって感じですしね!!!!」

 だんだんと声を大きくしていきながら、自分のプレゼントを批判していく。欠点を、並べに並べまくる。
 ただ、何故だろう。

 小鳥遊も、伊波も。

 笑みが浮かんでしまうのが止まらなかった。

「それでも・・・!」

「だけど・・・!」

 お互い、今日一番の笑顔を浮かべながら、見つめ合う。
 そして、口を開く。

「嬉しいです!!」

「嬉しいよ!!」


 それから、少しの間・・・笑顔を浮かべたまま、見つめ合った。
 しばらくすると、視線を逸らすことなく小鳥遊が、

「着けてみて、いいですかね?」

 すると伊波も

「私も、いいかな?」

 お互いが言葉を聞いた瞬間、静かに頷いた。

 小鳥遊が、自らの手首に皮製のベルトを回し、腕時計を装着する。
 伊波も、ゆっくりと自らの手に手袋をかぶせてゆく。

 身に着け終わると、お互い手を見せあった。

「カッコいいですね」

「あったかい」

 殆ど同時にそう言うと、また二人は、飛びっきりの笑顔を浮かべた。





 雪は無駄に降り積もり、


「・・・じゃあ、帰りましょうか。もう、遅いですよ」

「早速活用してくれて、ありがとう」


 イルミネーションもありはしない。


「・・・ねえ、小鳥遊君」

「何ですか?」


 街灯の光、そしてそれを反射する雪の光だけに包まれ、


「手、繋いでもいいかな?」

「え!?」

「大丈夫だから。・・・今日なら。この手なら」


 二人は聖夜に歩みを進める。


「・・・じゃあ、はい」

「・・・うん」


 誰の誕生日か知らなくても。

 祈りを捧げたりしなくても。


「・・・あったかいですね」

「手袋のおかげだね」

 
 今日この日は、二人の祝日。


「・・・伊波さん」

「・・・小鳥遊君」


 ホワイトクリスマス。愛の溢れるこの日。

 こんな幸せな二人に


『メリークリスマス』





 







 あとがき

 はい。こんな感じです。いかがでしたでしょうか?
 クリスマスといえば・・・と思い最初に浮かんだのがクリスマスプレゼントだったんですね。
 なので、お互いにクリスマスプレゼントを渡しあうバカップルを書いてみました。
 何気に悩んだのは、プレゼントを何にするかってことですねー。小鳥遊に腕時計、伊波に手袋・・・と最終的には決めましたが他にいいものあっただろうか・・・。
 あと、俺は腕時計にも手袋にも興味が無いので、メーカー名や種類などはさっぱりだったので、その辺は軽く流してもらえるとありがたいです。

 俺の中だと、伊波はめちゃくちゃネガティブ少女なイメージです。ただ、嬉しい時はとにかく、周りも幸せになるくらいいい笑顔をする!! みたいなのが、理想? というか妄想?(ぇ
 とりあえず間違いなく断言できることは、伊波の笑顔はやばいくらい可愛いということですねっ!(ぇ

 小鳥遊側の視点があまり書けなかったのですが、伊波の寂しさとかをたくさん書けたので個人的に満足です。
 途中から無理やりモチベーションを上げて、急ピッチで仕上げたのですが、途中からはノリノリで書けて本当に楽しかった!!

 年明けてからが、貯まっている小説を消化していく形になりますが、二月になる前に新作も書きたいなー。
 さとやちの希望があったので、頑張りたいです。・・・バレンタインか? 書くとすれば・・・。


 では!!

 この↓にコメント返信です!








>赤髪の探偵さんへ

 パンクブーブーは本当に面白いですよねっ!! 銀河ですっ!!(ぇ
 爆笑オンエアバトルも結構ファンの俺は、漫才で期待しているコンビは多いです。三拍子とか今何年目なんだろう・・・。ハライチにもパンクブーブーと同じくらい期待していたのですが、残念です。山ちゃんのツッコミは芸人の中でも最高峰だと思っています。あとツッコミが凄いのは、ブラマヨ小杉とか、くりぃむ上田とかですかね~? 言葉のチョイスの面白さは山ちゃんが一番だと思う。
 来年は・・・流れ星、という漫才コンビが好きなので一度M-1で見たいなあ。磁石も見たい!!

 JAMプロは・・・紅白にはもちろん出てほしいですけど、出たらおじいちゃんおばあちゃんが何人か天に召されてしまうような気がします(ぇ



>三一さんへ

 いやあ、やはりそういう感覚、陥りますよね。発想をたくさん出すことができた昔が好きだったなあ。
 案外、昔の作品読み返して面白い、と思うのも分かります。全然今とスタイルは違ってたりしますけどね。だからといって過信はしたくないですが。
 お互い、頑張って色々書きましょう!!



 コメントいつも感謝です!! では!!

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