銀の働き部屋

管理人銀河の、日記兼テキストサイトです。取り扱うジャンルは主にヤングガンガン連載のWORKING!!になると思います。最近は東方の霖之助小説を書くのにも夢中。どうかよろしくお願いします。リンクはフリーです。感想は常に受付中です!もらえたら泣いて喜びます

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初めてのヒト





ストック小説から一つ小説を載せたいと思います。
 今回の小説は、2巻を読んだ直後に書いたものなので、まだ伊波が小鳥遊に惚れる前に書いた作品です。なので、全体的に伊波の言動と思考がぎこちないです。
 それにともなって、ラストの方のくだりも若干昔に書いたんだなあ、というのが分かる描写があると思いますが、ご了承ください。

 それでは。小鳥遊×伊波小説。タイトルは、「初めてのヒト」です。甘さは・・・若干甘いです。でも別にいちゃいちゃはしてません。

 それでは、続きからでどうぞ。









「疲れた・・・」

部屋のドアを開け、力無い足取りでベッドへ向かい、倒れこんだ。
弾力のあるベッドが、私の体を優しく受け止めてくれる。途端に眠気が体全体へと広がっていく気がした。

今日もいつも通り、バイトのシフトが入っている日だった。
バイトは疲れるけれど、利得もあるし、最近は楽しいと思えるようになってきた。もちろん、男嫌いで起こる問題はあるけれど、辞めなければいけないという事件も起きてはいない。
それでも、疲れは溜まる。今日も体が全体的に重い。

「・・・勉強しなきゃ」

働いてお金を得てはいるが、所詮は高校生。学業をおろそかにするわけにはいかない。
私は大儀そうに立ち上がり、自分の机へと向かい、座る。
勉強道具・・・今日は古文にしよう、を取り出し、机の上に広げた。

「・・・あー。授業を受けてないと考えると、やっぱり分からないなあ」

私は古文と数学の授業を受けていない。・・・いや、受けてはいるが身に全く入らない。
先生が男。それを考えるだけで頭が言う事を効かない。同じ部屋に男がいる。それだけで授業の内容が耳から入って抜けて行く。
先生もさすがにそれを気にして、私を指名したりはしない。それでも、私は何がなんなのか分からないのだ。

「・・・はあ。早く治らないかな」

 そう呟いてはみるが、そう簡単には治らない、というのは分かりきっている。
自分の男嫌いは異常だ。異常すぎる。男を考えるだけで殴りたくなる。それは容姿・年齢・テレビの向こうであることも関係無い。更に言えば、種族すらを超越する男嫌いなのだ。
大体、私はこの病気を治す気があまりないと思う。自分で思っちゃうのもどうかと思うけど。

「・・・小鳥遊君」

 誰もいない部屋で・・・ボソリと呟いた。

 しかし、すぐに顔が沸騰するように赤くなるのが自分でも分かり、頭を激しく横に振る。

「なななな何言ってるの私!?」

 真っ赤で熱い顔を両手で包み、顔の熱がひくのを待つ。
浮かんだ顔を打ち消そうと考えても、頭から眼鏡をかけた生意気な高校生の姿が消えることはなかった。

「違う。今のは・・・少し憂鬱になって、それで思わず・・・って何でそこで小鳥遊君が・・・!!」

 自分で言ったことながら、私は思考の渦から逃れることはできなくなっていた。

とても勉強ができるような心境じゃないので、机から立ち上がり、またベッドに寝転んだ。顔の熱は未だにひく気配は無い。
顔をベッドにうずめるが、やはり頭の中はそのことでいっぱい。

「あんな生意気で年下で少し変態混じりの男のどこが・・・!」

 と、自分の頭を冷静にしようと、小鳥遊君の悪いイメージを思い浮かべる。
 それでも、熱はひかない。

 今までの人生、男のことを考えて恐怖を覚えることはあっても、ここまで恥じらいを感じることなどなかった。

 頭の中で、こう念じた。

「小鳥遊君は、ただのバイト仲間・・・」

 ・・・でも、

「・・・初めて・・・話ができるようになった男・・・の子」

そう・・・自分でも驚くほど冷静に、呟いていた。

 小学校も中学校も、男なんて目もあわせなかった。
高校に入る時は、男と接するのを避けるために、わざわざ女子高に入学した。もし共学の高校へ入学していたら、と考えると、鳥肌がおさまらない。

 高校の教師すら時には殴りそうになり、街中では男と肩が触れるだけで叫んでしまう。


 そんな中・・・小鳥遊君とだけは、会話ができる。

「・・・何でだろう」

 あれほど赤く、熱かった顔は大分冷めていた。
相変わらず顔が赤いのは分かるが、何となく冷静になってきているのが自分でも分かる。

 しかし、考えれば考えるほど不思議だ。

 確かに、バイト仲間なのだから話すのは当たり前だし、そうしなければまともに働けない。
でも、結構長くバイトをしているのに、未だにキッチンから料理を貰うことさえまともにできない。
男性客は案内できない注文取れない話せない。接客業としては致命的な三拍子が揃ってしまっている。

 それなのに、小鳥遊君だけとは話ができる。


 慣れ? それだったらキッチンの人はどうなる?

 共通点? そんなものは無い気がする。

 小鳥遊君の人格? いや、それは無い。


「そういえば・・・」

 殴ったのに、それ以降もちゃんと話をしてくれた人も・・・小鳥遊君が初めてだった。

 思ってみれば、小鳥遊君とは初めてなことばかりだった。



 初めてちゃんとした会話ができた

 初めて褒めてくれた

 初めてチョコをあげた

 初めて手を握れた

 初めて・・・プレゼントを貰えた



 ベッドの近くの引き出しをゆっくりと開けた。
その中には、小さな紙袋が一つ入っている。
 その中身を、少し手の上に取り出した。

 手の上に広がったのは、色鮮やかな、たくさんのヘアピン。
彼が、私が毎日ヘアピンを変えていると知り・・・ホワイトデーのお返しにくれた物。

 受け取った時の私は・・・正直、どういう気持ちだったのか分からない。
顔は赤かったし、何言っていいのか分からなかったし・・・恥ずかしかったし。
でも、本当に嬉しかったのだけは、なんとなく覚えている。

(・・・明日・・・小鳥遊君に勉強でも教えてもらうかな)

 小さく微笑みながら、そう思った。

 あの人と一緒なら・・・変われるかもしれない。

「・・・寝ようかな」

 ベッドに仰向けに横になり、布団をかぶった。

 寝てしまう前に、枕下に、紙袋から一つ取り出したヘアピンを置いて。






「おはようございます。伊波さん」

「お、おはよう」

 昨日のことを少し思い出し、恥ずかしく思いながら返事をした。

 今日は日曜日。私は午前中からバイトが入っていて、それは小鳥遊君も同じことだった。
小鳥遊君は、私に今まで何回も殴られているのが嘘のように、笑顔で話しかけてきてくれる。

「今日は日曜ですからね。少しだけ忙しくなりそうですね」

「でも、暇よりはいいんじゃない?」

「そうですねー。・・・あ」

「どうしたの?」

 そう聞くと、彼は本当に僅かに微笑んで言った。

「そのヘアピン。俺がお返しにあげた物の1つですよね」

 頭が真っ白になった。
何とか冷静を保っていた頭がどんどん熱を帯びていく。
そんな様子に、小鳥遊君はまた微笑んだ。

「ありがとうございます。初めて着けてくれましたね」

 最高の笑顔でそう言われて、もう恥ずかしさでどうにかしてしまいそうだった。
少し涙まで出てきそうで、できることなら今すぐ帰りたい。
殴って逃げた方が早そうだが、それはさすがに申し訳ない。

「似合っていますよ。薔薇のヘアピン」

 もう、情けないくらいに真っ赤な顔を俯かせ、何かを言おうとする。
でも、口が上手く動かず、何を言えばいいのかも分からない。

 恥ずかしくて恥ずかしくて・・・出た言葉が、

「ありがとう!!」

 思わず大きくなってしまったこの一言。
自分でも何を言っているのかもうわけが分からなくなっていた。
 私の赤い顔を見てだろう、小鳥遊君は笑顔で

「どういたしまして」

 たった一言、そう言った。

 恥ずかしさの限界で、私はその場から足早に立ち去った。

 顔は真っ赤で今日1日は小鳥遊君と顔も合わせられない。

 でも

 胸の中いっぱいに広がる嬉しさは、とても心地の良いものだった。






「・・・伊波さんらしいかな」

 そう呟いて、俺はテーブルでも拭こうと歩き始めた。
多分、いきなり会ったら殴られるから気をつけて行動しよう。そう心に念じる。
うかつに褒めることもできないな、と苦笑した。

「・・・バラか」

 花言葉を思い出す。


 彼女の頭に咲き誇る、綺麗な真っ赤なバラ

 花言葉は・・・


『愛情』


「・・・なんてね」

 俺は小さく笑うと、伊波さんのあとを追うように、歩き出した。








 あとがき

 はい。いかがでしたでしょうか。
 WORKING!!小説の中でも、かなり初期に書いた作品ですね。俺は2巻を読んだ時から、小鳥遊×伊波熱が沸騰してきました。2巻の伊波は可愛すぎた・・・。買った直後は、「これが俺のバイブルだ!!」と常に持ち歩いてたことがあります。うん。バカだね(ぁ
 正直、伊波はどの段階から小鳥遊があげたヘアピンをつけていたのか今でも分からないのですが、2巻の終わりでヘアピンがプレゼントされたので、こういう感じで書きました。
 小鳥遊が余裕満点なのが今見返すと猛烈に腹が立ちますね(ぇ

 ではこの辺で。ありがとうございました!

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小鳥遊×伊波 | コメント:1 | トラックバック:0 |
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コメント

ちょ、店長がキャストっぽくなってるんですけどww

というのは置いといて。
恋愛感情に自覚がない伊波さん、可愛い!
女の子のツボを的確についてくる小鳥遊が将来女ったらしにならないかが、非常に心配です(何様だ
2010-01-17 Sun 16:05 | URL | 蛍火メイ [ 編集 ]

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