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銀の働き部屋

管理人銀河の、日記兼テキストサイトです。取り扱うジャンルは主にヤングガンガン連載のWORKING!!になると思います。最近は東方の霖之助小説を書くのにも夢中。どうかよろしくお願いします。リンクはフリーです。感想は常に受付中です!もらえたら泣いて喜びます

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赤い果実と青い鳥  東方 霖之助×咲夜

 




 東方小説を更新しようと思います。

 ですが、幾つか注意点を。

 まず、俺は東方の原作ゲームをプレイしたことがありません。なので、二次創作設定と原作設定が少しごっちゃになっているかもしれません。
 二次創作設定に関しても、どの知識が一般的なのかよく分からなかったのであまりそれらしい設定は出さないように意識したつもりでしたが・・・東方ファンの方が不快に思うような表現があったら申し訳ありません。
 まあ、一番不安なのはキャラの喋り方です。もし間違った表現があったら申し訳ありません。そしてできれば報告してください。

 それでは、霖之助×咲夜で、『赤い果実と青い鳥』です。甘さは殆どありません。
 咲夜を相手に選んだのに特別な理由はありません。なんか文が浮かんだので書いただけです。霖之助が絡めば殆どのカップリングは大好きです。

 それでは、続きからでどうぞ。

 リクエスト小説も頑張ってるのでご安心を!!!

 そして、小説のあとがきの更に下にコメント返信があります!






 
 



 真夏の日差しが、トマトへ伸ばした僕の腕を照りつける。夏の日差しは一切の手加減なしに僕の腕を焼こうとするが、畑仕事に慣れた僕の腕は既に褐色で、日差しなどに負けることは無かった。・・・いや、負けた後なのかもしれないが。
 実ったトマトに触れてみる。夏の日差しの中で赤く煌めいている、まるまると大きく実ったトマトを見ると思わず笑みがこぼれた。

 今年の家庭菜園は豊作だ。と、菜園を見回してから、僕は満足して頷いた。
 豊作、と言っても、香霖堂の店内と同じか、もしくはそれより少し大きいか。という程度の大きさしかないのだが、大きくつやつやと実る野菜たちを見るとそんな些細なことはどうでもよくなってくるものだ。

 トマト、キュウリ、トウモロコシ。今年は更にスイカも植えてみたが、初めて育ててみたがこれも大きく成長してくれた。ここまで大きくなる前に、魔理沙や霊夢に持っていかれないかだけが心配だったが、ここまで大きくなれば安心だ。今度魔理沙か霊夢が訪れたら、切って出してあげよう。

 僕は食事を摂らなくても飢え死ぬことはない。が、食べるのが嫌いなわけではない。
 この菜園も、最初は野菜の育ち方を調べるための小さなものだったが、野菜の育成は思っていたよりも難しく、最初の菜園は殆ど全滅してしまった。それがなんとなく悔しくて、色々と試行錯誤している内に菜園も大きくなり、成長した野菜の味に感動もした。そしてより良い物を作ろうと夢中になる内に、今となっては立派な数少ない趣味の一つとなってしまった。
 我ながら大人気ない過程だったが、今となってはいい経験だ。

「味見でもしてみるか」

 赤く大きく実ったトマトを一つもぎとってみる。その実はずっしりと重たく、苦労した甲斐があった。と思わず涙が出てきそうだ。
 そのほかにも、トウモロコシとキュウリを幾つか収穫する。そして、やや小ぶりなスイカも一玉収穫する。当然だが、トマトとは比べ物にならないほど重さがあり、軽く一回叩くと、小気味いい音を響かせてくれた。
 暑さもより増してきたことだし、店に戻って汗まみれの顔を洗おう。額に溢れる汗を手の平で拭いながらそんなことを思い、僕は店へ向けて歩き出す。

 今は真昼間。つまり店も開店時間なのだが、幸か不幸か、店に来る客は少ない。かなりの頻度で訪れてくる常連もいるが、彼女達はもし店に入った時に僕がいないとしても、ずかずかと店の奥まで入ってきて僕を探すことだろう。

 だから問題は無い。と心の中で呟きながら裏口を開けた。
 洗面所へ真っ直ぐ向かって、眼鏡を外し、顔を貯めておいた水で洗い流す。

「えっと、タオルは・・・」

「はい、どうぞ」

 眼鏡を外しているため視界がぼやけてしまい、手探りでタオルを探しているとタオルが目の前に差しだされた。

「ああ。ありがとう」

 礼を言い、タオルを受け取って顔を拭く。
 しかし、その顔を拭く手を僕はすぐに止めた。

「・・・咲夜?」

 うすぼんやりとした視界を上に向ける。そこには、白いカチューシャと銀色の髪をなんとか認識することができた。

「あら店主さん? こういう時は、タオルを私に返して、何事もなかったかのようにしばらく世間話をしてから、『何でいるねん!!』とツッコむところですよ?」

「・・・君が何を言っているのかよく分からないが、いつの間に?」

 眼鏡を装着してから、もう一度彼女を見る。
 はっきりとした視界に映ったのは、間違いなく十六夜咲夜その人であった。

「20分ほど前に店に来たんですよ。そうしたらあなたの姿が見えなくて。失礼ながら探させていただいたら、畑の中で嬉々として仕事に励んでいるあなたを見かけたので、邪魔をしてはいけないと思い待っていました」

 くすくす、と思いだすように笑われて、急に恥ずかしさがこみあげてきた。そんなにも畑仕事をしている僕は楽しそうだったのだろうか。

「・・・それよりも、呼んでくれればすぐにでも対応させてもらったのに」

「急ぎの用でもありませんでしたから。あなたの楽しみを邪魔するほど野暮ではありません」

 店の奥に何の断りも無く入ってくることは、野暮とかそういう以前の問題ではないのだろうか。
 と、思わなくもなかったが、どうせその辺りは大して気にしていない。むしろ、再び子どもを見るかのような目で見られたのが恥ずかしくて僕は何も言えなくなった。

「・・・とりあえずすぐにでも用は聞こう。その前に水を・・・」

「はい」

 僕がコップを探してから井戸へ向かおう、と行動を始めた直後、目の前に水が差しだされた。恐らくは、井戸から汲み上げられたばかりの。

「・・・すまないね」

「いえ。お仕事お疲れ様です」

 この美しい女性の笑顔でねぎらいの言葉をかけられて、心癒されぬ者がいるのだろうか。
 コップを受け取り、一気に飲み干す。喉を流れる冷たい水が体全体に染みわたるようで心地よい。
 水を飲み終わり、接客をしてから片付けるつもりで洗面所にコップを置こうとした瞬間、コップは僕の手の中から消えていた。

「はい」

 咲夜の声が聞こえてそちらを見ると、さっきと全く同じように水を持って待っている咲夜がいた。

 ・・・別に、おかわりが欲しかったわけではなかったのだが。

 とはいえ、コップ一杯では少し物足りないと思っていたのも事実であったので、また礼を言いながら受け取り、飲み干す。
 そしてやはり先ほどと同じようにコップを置こうとすると、またコップが手の中から消えた。
 また咲夜に目をやると、今度は水の注がれたコップを持ってはいなかった。
 ・・・きっと、コップは元々置いてあった場所に今も置かれているのだろう。きっと、しっかりと洗われた状態で。たぶん。

「・・・本当、すまないね」

「いえ。慣れていますから」

 彼女はまた微笑んだ。
 僕よりもずっと年下の、一人の少女のはずなのに、この子は何故ここまで落ち着き、気が利くのだろう。と感心してばかりだ。この1%でも魔理沙に見習ってほしいものだ。

 トマトとキュウリ、スイカは私生活用に貯めておいた水の中に入れ、トウモロコシはとりあえず台所に置く。
 咲夜に目を配り、僕と咲夜は、本来はそこで出会うべきである香霖堂の店内へと向かった。

「・・・それで? 何の御入り用かな?」

 僕の指定席である、カウンターの裏の店主用の椅子に座り、カウンターに手を乗せながら僕は彼女に尋ねた。
 すると彼女は、何故か首を傾げてしまった。

「・・・どうかしたのかな?」

「・・・あ。そうでした。買い物に来たんでした」

 咲夜が・・・恐らくは本気で、穢れの一切無い目でそう言うのを聞いて、おいおいと思わず溜息が漏れてしまった。

「それは、用事を忘れてしまうほど待たせて・・・という、僕への嫌味かな?」

「いえ。本当に忘れたのです。まあ、私としては店主さんの無邪気な姿を見られただけでも今日来た価値が・・・」

「いや、もういいからその話は」

 うんざりしたように・・・いや、実際にうんざりしていたのだが。言うと、咲夜は心底楽しそうにまた笑った。くそ、しばらくはこの話をひきずられそうだ。魔理沙や霊夢に話さないことを祈るばかりだ。あと文にも。

「・・・今日はかき氷機を探しにきたのです」

「かき氷?」

 予想し得なかった探し物の名を聞いて、僕は思わず目を見開いた。

「ええ。最近暑くなってきましたし、一つくらいは持っていてもいいかな、と」

「・・・君がかき氷を食べたがるとは。少々意外だな」

「あら。女の子はスイーツに目が無いんですよ? まあ、主にお嬢様のために買うんですけど」

 その言葉を聞き、僕はレミリアが嬉々とした様子でかき氷を食べる姿を想像した。なるほど。恐ろしいほど似合いそうだ。

「何を考えているんですか?」

「なに。君がここにかき氷機を買いに来よう、と決めた時に考えていたことと同じだよ」
 
 少し遠回しに、苦笑交じりに伝えると、咲夜はうっすらと微笑んだ。

「どうやら、チルノがこの店で食べたかき氷をいたく気に入っている、という情報を聞き付けたらしく、それから遠回しにねだるように・・・」

「ほう。どんなふうに?」

「『咲夜、最近暑いわね~。いっそ氷でも食べたら涼しいのかしら?』・・・といった具合に」

 少し声を高くしながら、レミリアの真似をする咲夜を見て、僕は思わず噴き出しそうになってしまった。
 その様子を見て、僕が笑ったことを、レミリアが笑われたと勘違いでもしたのか、咲夜はほんの少しだけ機嫌を損ねたようだ。

「店主さんでも、お嬢様を愚弄することは許しませんよ?」

 言葉と比べると随分鋭く無い眼差しで僕を睨みながら言う彼女を見て、また笑いがこみあげてきそうだったが、何とか堪えた。

「いやいや。レミリアの様子を思い浮かべたら、とても可愛らしかったのでね」

 そう言うと、機嫌を少し良くして・・・いや、もともと機嫌を損ねてなどいなかったのかもしれないが。咲夜は満足そうな笑みを浮かべた。

「当然です。お嬢様はいつでも可愛いのですから」

 それは従者の発言としてどうなのか、と思わずにはいられなかったが、まあ今更気にすることでもない。彼女のこのような言動はいつものことなのだから。

「それで、もしかき氷機を売っているのでしたら購入させていただこうと・・・」

「とりあえず用件は理解した。かき氷機はあるのだが、紅魔館に氷室はあるのかい?」

「氷はパチュリー様に頼めばすぐに用意できるので大丈夫です。大きさも自由自在ですよ?」

 その話を聞いて納得した。七曜の魔女に頼みさえすれば氷を作ることなど造作もないことだろう。

「そうか。じゃあ、幾つか見繕ってくるよ」

 僕は立ち上がり、店の奥へと向かった。
 
 そして、10分も待たせない内にめぼしいかき氷機を運び、カウンターの上に並べた。

「想像以上に種類があるのですね」

「ああ。使い方は一応全て理解しているから安心してほしい。単純な性能が一番良いのはこれかな」

 用意したかき氷機の中では最も大きく、咲夜のいる方向に「氷」とでかでかと書かれたプレートの付いたかき氷機の上に手を置いた。

「この台の上に、ブロック状の大きな氷の塊を乗せるんだ。そうすれば、あとはこのボタンを押すだけだ。問題は、少々作る音がうるさいことと・・・何より、電気が必要なことだな」

「? 電気が必要なのに、何故使い方を?」

「かき氷機に関わらず、電動の物は早苗が来店した時に使い方や性能を聞くんだよ。これを見せた時は、外の世界の祭が懐かしい、とずいぶんな喜びようだった」

「はあ。そうですか」

 僕が早苗との話を思い出しながら言うと、ずいぶんそっけなく咲夜は答えた。

「電気はもしかしたらなんとかなるかもしれませんが・・・うるさいのは紅魔館のイメージに合いませんね。何より、電動は面倒くさいです」

「ふむ。ごもっともだ。ということは電動の物はやめた方がいいな」

 先ほどまで説明をしていた電動かき氷機を、カウンターから床へと降ろす。とはいっても、実は電動製品はあまり購入を期待せずに勧めていたのでこれ一つしか持ってきていないのだが。

 次に、先ほどのような箱型ではなく、やや歪で、曲線的造形のかき氷機に手を置いた。
 上部には、手で掴んで回すための大きなハンドルが付いている。

「これは、さっきも言ったブロック状の氷をここに置き、それからこのハンドルを回して氷を削る物だ。音はそれほどうるさいものではないし、一度にたくさんの量を作れる。なにより、自分で作っている、という感覚がして風流だ。夏になるとかき氷を食わせろ、と魔理沙と霊夢が押し掛けてくるのだが、その際にはこれを使って作ると喜んで・・・」

「店主さん」

 結局二人が遊びすぎて大量に出来上がってしまったかき氷の処分を押しつけられ、頭痛に苦しみながら大量のかき氷を食べたことを思い出していると、咲夜が僕を呼んだ。

「他の人の感想や評価はけっこうです」

 彼女が浮かべている表情、それは笑顔だった。が、僕はその周囲の空気がやや凍りついているような、不思議な錯覚を覚えた。

「いや、しかし・・・使った人の感想というものは、一番の・・・」

「いいから」

 ・・・どうやら錯覚ではないらしい。謎の迫力に満ちた彼女を見ていると、この暑さとは関係の無い汗が噴き出してきそうだった。

「悪くはありませんが、少し地味ですね」

 彼女は謎の闘気を放つことをやめると、そのような評価をこのかき氷機に下した。
 何か様子のおかしい咲夜の様子に戸惑いつつも、僕は次の商品を紹介することにした。
 そのかき氷機に手を置くと、咲夜のかき氷機を見る目が今までのかき氷機を見る時よりも輝きを増しているのがすぐにわかった。
 ・・・というか、ぶっちゃけた話、かき氷機を並べてから今に至るまで、咲夜は相当な回数「これ」に目をやっていた気もする。
 僕自身としては、そんなにおススメ! という商品でもないのだが・・・。いや、もちろん不良品というわけでもないのだが。

「早く、その商品の説明を」

 なんだこの積極性は。僕は小さく溜息を吐いてから、説明を始めた。
 彼女からしてみれば、未知の生命体であろう、謎の青い生物を模したかき氷機の。

「・・・これは、電気を必要とせず、最も手軽にかき氷が作れるものだ。ただ、出来上がるかき氷は少し荒くなってしまい、一度に大量に作ることもできない」

「これは何という生き物をかたどったものなのですか?」

 明らかに、今までに紹介していたものとは違いすぎるその反応に、僕は泣きたい、とすら思えてきた。もしかして、これにしか興味がなかったのではないだろうか。

「・・・僕も知らなかったのだが、さな・・・ゴホン。ペンギン、なる鳥類を模して作られたものらしい」

 早苗の話によると、と言いかけて僕はそう言い変えた。わけもわからずに咲夜に睨まれるのは、正直心臓に悪い。

「ペンギン・・・」と呟きながら、あごに手を当て何回も細かく頷く咲夜。何に対しての頷きなのやら。

「鳥類とは言っても、空を飛ぶことはできないらしい。大地の全てが氷で覆われているような極寒の地に生息していて、氷の上を腹で滑るようにして移動するんだ。泳ぎが得意で、地上で歩く姿からは想像できないほどの速度で泳ぎ、魚を捕獲して食す。様々な意味で、鳥類、という言葉からは想像のつきにくい特徴をもち合わせた動物だ。見た目がとても愛くるしいことから、愛玩用動物として、『水族館』なる公共施設では絶大な人気を・・・」

 ここまでを一息で話してから、咲夜に視線を移す。
 咲夜はかき氷機と僕を交互に何度も見比べている。その行動の真意は分からなかったが、僕の蘊蓄を聞いた人間の反応としては、今まで生きてきて初めて見る反応だった。

「・・・それで、『ぺんぎん』とやらはどうすれば飼えるのでしょうか」

 ・・・この質問が出るということは、ちゃんと話を聞いたうえでの結果なのか。聞いていなかった結果なのか。

「・・・咲夜。残念ながらペンギンは幻想郷には生息していないよ」

 そう言うと、咲夜は、ここまで分かりやすい落胆があるのだろうか。と聞きたくなるほど、その整った顔を悲しみに染め、がっくりと肩を落とした。
 ・・・どうやら、本気で落ち込んでいるようだ。大体生息していたとしても、どうやって飼うつもりだったのか。・・・いや、咲夜とパチュリーの二人が力を合わせれば飼えてしまうな。うん。

「・・・それ、気に入ったのかい?」

 ペンギン型かき氷機を指差しながら尋ねると、咲夜は目を閉じて長考へ入ってしまったようだ。

「・・・確かに可愛い。すっごく可愛い。お嬢様も気に入るに違いない。でも性能が・・・でもこんなにも可愛い・・・。お嬢様と並べたら死んでしまうかもしれない・・・」

 僕からしてみれば、このかき氷機なんかよりよっぽど可愛らしさを感じる独り言をぶつぶつと呟きながら、咲夜は考え込んでいた。
 そんなに可愛いだろうか。確かに色は鮮やかで、丸みを帯びた造形は他のかき氷機と比べたら特徴が大きすぎるくらいだが。ここまで女性の心を惹きつけるとは。そういえば、チルノや大妖精も異常なほど喜んでいたような。今度からこのようなデザインの商品を見つけたら優先して仕入れてみよう。
 そんなことを考えながら咲夜に目をやってみると、まだ考え込んでいた。そこまで悩むくらいなら2つくらい買っていけばいいものを。

 あ。そうだ。

 一つ思い出したことがあり、僕はペンギン型のかき氷機のハンドルを掴んだ。

「ちなみにこの商品。ハンドルを回すと・・・」

 ハンドルを回す。
 すると、ペンギンの手・・・ではなく、羽とくちばしが、上下にぱたぱた・ぱくぱくと動き出す。

「と、このように動k」
「買います」

 言い終えるより早く、咲夜はそう言ってかき氷機の上に手を力強く乗せた。
 その目は、未だかつてないほどにキラキラと輝いていた。何というか、その、まぶしっ。

「・・・毎度あり」

 そんな咲夜はとても年頃の少女らしくて、普段見ることができないその姿に、僕は自然と笑みが浮かんでしまうのを止めることができなかった。
 まだ目の輝きを失わせることはなく、咲夜はかき氷機を恍惚の表情で見つめていた。

「・・・さて。買い物も終えたようだし・・・少し待っていてくれ」

 そう言ってから僕は立ち上がり、店の奥へと向かった。その前に一度咲夜に目をやったが、かき氷機のハンドルを回して楽しんでいるようだったので、気にせず再び歩み出す。

 しばらくしてから、僕は店内へ戻った。その手に、切ったスイカとトマトを乗せたおぼんを持ちながら。

 流石に、咲夜も僕の持ってきた物に興味を示せずにはいられなかったらしく、かき氷機を撫でる手の動きを止めた。いや、というか、どれほど気に入ったんだ。

「・・・それは?」

「見ての通り、僕が作った野菜さ。水に入れていたから冷えているし、どうだい? 味は、僕が言うのもなんだが悪くないと思うよ?」

「え。でも、どうして?」

 首を傾げる咲夜を見て、まあ、この反応も仕方ないか。と僕は納得してしまった。
 自分で言うのもなんだが、僕は必要以上の親切、ということをした覚えが無い。
 あまり客をひいきするようなこともしたくないし、そもそも親切、という行動自体が少し苦手だからだ。

 事実、貴重な上客である咲夜に対しても、「お茶を出す」以外の親切をした覚えは殆ど無い。
 彼女もそれを理解しているから、不思議に思っているのだろう。

「なに。実はいいことがあってね」

「いいこと?」

 ああ。と頷いてから、僕は笑いながら咲夜を見る。

「普段は隙を見せることの無い君の、意外な一面を見ることができたからね」

 にやにやと、出来る限り意地の悪い笑みを浮かべるよう意識しながら言うと、彼女の顔はすぐに赤く染まった。まるでイチゴシロップのように。

「・・・お返しですか?」

「さあね」

 精いっぱい強がりながら僕を睨む彼女だが、今となっては何ら恐れることはない。むしろ可愛らしさが増したように感じる。
 そんな僕の考えを読みとったのか、顔の赤味を若干増してから、僕の育てたスイカを一切れ手に取った。

「・・・スプーンはいるかい?」

「結構です!」

 拗ねたように言ってから、彼女は小さな口でスイカを一口齧る。
 そしてその味を確認すると、彼女は目を少し見開いた。

「・・・美味しい」

「そうかい?」

 僕は冷静に答えて見せたが、内心嬉しくて仕様が無かった。
 なにせ、スイカを育てるのは今回が初めてで、誰もその仕上がりを知る者はいなかった。今回スイカを出したのも、僕にとっては冒険だった。
 しかし、そんな心配は見事に杞憂へ変わり、僕は鼻歌でも浮かべたい気分で、同じく僕が育てたまるごとのトマトを一口齧る。
 うむ。美味い。去年よりも美味い気がするのは、きっと間違いではない。

「店主さんにこのような特技があるとは意外ですね」

「特技なんかじゃないさ。日々の努力の積み重ね。それに野菜たちが答えてくれただけさ」

 スイカを食べ進める咲夜を満足そうに見ながら、僕はまたトマトを一口。
 すると、トマトの水分が弾け、僕の頬に飛び散ってしまった。

「おっと」

 指で拭おうと頬を自分の指でなぞるが、何故か指にトマトの汁はついていなかった。
 不思議に思いながら咲夜に目をやると、彼女は何も言わずにスイカを食べ続けていた。
 ・・・こんなことまで気を遣わずともいいのに。

「ありがとう」

 しかし、礼を言わないわけにもいかず、僕はそう彼女をねぎらった。
 どういたしまして、くらいは言われると思ったのだが、何故か彼女は何も言わず、黙々とスイカを食べていた。礼を言われるまでのことでもない、ということだろうか? やや彼女の頬が赤い気がするが、まあ、気のせいだろう。というか、今日は間違いなく暑いのだから顔が赤くとも不思議なことはない。
 彼女のメイドとしての本能に感心せずにはいられないな、と思い、僕はまたトマトを齧った。
 ジューシーな実が与えてくれる甘味と絶妙な酸味に、夏の暑さも幾らかは紛れるようだ。

「・・・御馳走さまです」

 スイカの皮をおぼんの上に置き、彼女は自らのハンカチーフで口を拭った。
 彼女が食べたスイカの皮は・・・なんというか、綺麗だった。赤い部分が殆ど残っていない。

「ここ数年で食べたスイカでは一番の味でした。野菜を売れば、少しはお店が流行るのでは?」

「嬉しい提案だが、売ることができるほどの数は作れないよ」

 「僕が食べれなければ意味が無いしね」と付け足し、苦笑を浮かべながら言うと、彼女もにこっと微笑んだ。
 その笑顔を見た物を癒すような、優しい笑顔だった。

「・・・では、私はそろそろおいとまします。今日は色々とありがとうございました」

「そうかい? お役に立てて何よりだ」

 咲夜は、今日の買い物であるかき氷機を愛おしそうに抱きしめながら立ち上がる。

「・・・ついでにですが、収穫した野菜を幾つか売ってもらえませんか? 紅魔館で調理すれば、きっと我が館の皆様も喜びます」

 そんな言葉が咲夜から飛び出して、僕は驚いて目を丸くしてしまった。

「・・・本当、嬉しいね。売るなんてとんでもない。一通り持っていくといい。僕の野菜を評価してくれた礼だ」

「いえ。それでは・・・」

 あまりにも申し訳ない、といった表情を浮かべる彼女に、僕は微笑んだ。

「・・・じゃあその礼として、今度紅魔館へ何かを配達することがあった時、そのかき氷機で作ったかき氷を食べさせてくれ」

「! ・・・はいっ」

 その言葉を聞いた彼女は、先ほどの僕と同じように目を丸くしてから、またにっこりとほほ笑んで頷いてくれた。
 それにつられるように笑みを浮かべ、僕は野菜を取りに向かった。
 そして野菜を一通り紙で包み、店へ戻り、咲夜へ手渡した。

「ありがとうございます」

「礼を言いたいのはこちらの方だ。努力も報われるよ」

「店主さんの、大事な大事な、趣味ですものね」

 からかうように笑い、咲夜は言った。
 やはり、畑仕事をしている僕の姿は彼女の脳内からしばらくは消えないらしい。

「・・・ああ」

 でも、今更恥じることもなく、僕はそう受け止めた。

「それでは」

「ああ。気をつけて帰ってくれ」

 店の扉を開けながらお辞儀をする彼女に、僕はそう声をかけた。
 そして彼女が店を出て、扉を閉める・・・と思われたが、扉は完全に閉められることはなかった。
 僕が首を傾げると、扉の隙間から彼女が顔を出した。やや、赤い顔を。

「・・・トマトも、とても美味しかったです」

「・・・あ、ああ?」

 それだけ言うと、扉をやや勢いよく閉めて彼女は行ってしまった。


・・・?

 彼女が食したスイカの皮に目をやる。
 ・・・うむ。間違いなく彼女が食べたのはスイカだけだ。
 トマトは僕が食べただけで、トマトの味を知る機会など・・・。

 ・・・。

 まあ、いいか。

 深く考えるのはやめにして、僕はまた畑に向かい始めた。もう、今日の仕事は全て終えているのだが・・・。

 来年は、もっといいのを作らなければならない。

 そう、思ったから。







「・・・素晴らしいわ咲夜」

「ありがとうございます。お嬢様」

「このかき氷機・・・けふん。このかき氷、素晴らしい出来よ」

「恐悦至極です。お嬢様」

「ええ。この可愛らしさ・・・けふんけふん。いえ、色といい甘さといい、中々面白い味だわ」

「感謝の極みです。お嬢様」

「イチゴもいいけど、私はこっちの方が好みかしら。どうしてトマトでシロップを作ったの?」

「・・・いずれ、このかき氷を食べさせたい方がいまして。その人には、このシロップで食べていただきたいんです。まだ、私の理想の味ではないのですが・・・」

「ふうん。理想の味に仕上がるのが楽しみね。イメージはできているのかしら?」

「ええ。もちろんです」

 私は、あの時に味わったトマトの味を思い出しながら、満面の笑みを浮かべた。

「あの味は、忘れません。・・・そう。一生」













 あとがき

 いかがでしたでしょうか。このブログに載せる初の東方小説です。
 とりあえず俺が俺自身に対して言いたいことは、講義中に何を書いているんだお前は、ということですかね。
 個人的には、少し咲夜さんを可愛い物好きにしすぎてしまったかな? と思いますが、可愛いもの好きな女の子って、いいよね! という俺の意見で通しました(待
 咲夜さんは、積極的ではないけど隙あらば霖之助を狙う。みたいな関係ならいいなあと思います。
 あと井戸とか貯め水とかが出てくるんですけど、井戸の水って確か季節に関係なく冷たいですよね? 流石に井戸は家にはないので・・・。
 まだまだ東方に関する知識が浅いのですが、もし面白いと思っていただければ光栄です。
 もっと知識を身につけたら、他のカップリングも書いてみたいなあ。とか思っています。

 それでは!


 ↓にコメント返信あります。












 コメント返信です!! 文字を反転させてお読みください!



>千亜希さんへ

 うろんなページの応募は、よほど応募者が多くない限りは全員へ? みたいな感じのようですが・・・それでも不安ですねえ。まあ、俺にはサイン色紙があるから、別にいーけど?(ウザ
 マクロスFは、アニメ本編は見てないですが、ユニバーサル・バニーは聞いてみました。なかなかはっちゃけた歌詞で楽しい歌ですね! 本当にマクロス系の作品は「歌」をテーマにしてていいですね。
 アニメ見てないので、ランカ派かシェリル派かかは断言できないんですが、おっぱい的には断然シェリルだよね。


>赤髪の探偵さんへ

 エヴァの参戦に関しては、俺も正直驚きました。流石に破までは出すんじゃないかな? と俺は思っているのですが・・・。どうなんでしょう。でも出さなかったら、スパロボDのビッグオーレベルの空気参戦になってしまう気がします。
 そういやこの前、「スパロボLは、Kの続編!? まさか、ミストさん続投!?」みたいなスレを見て爆笑しました。K、プレイなさっているかどうか分かりませんが、ミストさんマジぱねえっすよ
 でも、Kと参戦作品が多く被っているのは事実ですし、Lはアルファベット順に並べるとKの次、という事実もあるので少し心配。というか、もしそうだとしたら、何でガン×ソードをリストラしたのかバンナムの前で火炎瓶持って問い詰めようと思います
 生徒会役員共はいいですよ。面白いですよ。もしコミックも面白かったら、画力は著しく落ちますが(いや、マジで)、妹は思春期などの購読もおススメいたします。生徒会役員共の下ネタでは少し物足りない! というあなたにこの一冊!!(何
 ムツミは柔道部の子です。可愛いです。ポニテ運動少女可愛いです。




 コメントいつもありがとうございます! 元気が出ます! それでは!!
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東方小説 | コメント:3 | トラックバック:0 |
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コメント

色紙を見せてくれてありがとうございます!!確かにあれは家宝ですね!  
そういえば私も何個かマンガ家さんのサインもらいました。会長はメイド様の作者の藤原ヒロ先生やマンガ地獄少女の永遠幸先生とかファンレターを出したら返事を書いてくれたんですよ。手紙ってすごいって思いましたね。今度機会があれば見せますね。
話しは変わり、小説良かったです!もう自分的ストライクですよ!咲夜が可愛い過ぎる゜+。(*′∇`)。+゜
また東方の小説書いてくれると嬉しいです!!今度は霊夢を・・・いやなんでもないです。
そういえば一つ聞きたいことがあるんですけど生徒会役員共って特そう版買いました?もしも特そう版買ったなら会長がなんて言ってたか教えて下さい!!お願いします。
またコメントします!
2010-09-03 Fri 01:56 | URL | 千亜希 [ 編集 ]
色紙は確かにすごいですね。これは勝ち誇るべきですよ。僕はアニメイトで手に入るメッセージシートくらいしか持ってませんし。

ぬ~べ~は僕も知ってますよ。基本的に絵で見せるホラーが苦手なので、あまり真剣に読んでなかったのですが、エロイ部分には確かにお世話になりました(笑)。僕の場合そういう話は人体発火現象の話が印象に残ってます。

東方は僕はあまり詳しくないので、あまり話せることはありませんが、男キャラいたんですね。クイーンズブレイドみたいに男がいないと思ってました。

生徒会役員共のコミックス買いました。他の作品を読むかはわかりませんが、生徒会の方は全巻揃えようと思ってます。

P.S スパロボKはプレイしたことあるので、ミストさんのことはよーく分かってます。時折イラッと来た主人公でした。その前にプレイしたのがWでカズマにかなり好感を覚えていただけに余計にそう感じたのかと思われます。
2010-09-03 Fri 06:36 | URL | 赤髪の探偵 [ 編集 ]
なにこれ可愛い!
いやー、ちょうど夏休みに東方布教されたばかりでして……。面白かったです!

え、ミストさん続投とかそんなまさかww
スパロボ的にはミストさんより断然Wのカズマが好きです。Wの続編無いのにKの続編とか嘘だろ?嘘だと言ってよ!みたいな。

あ、でもエヴァとマクロス気になるから欲しいな……マクロス良いですよ!ストーリーは序盤ちょっとイラっとくるとこもありますが、ストーリーと曲があってて良いし。マクロスといえば歌ですからね。本編長いと思ったなら曲だけでもぜひお聞きください。
ちなみに私はシェリル派。アルシェリ可愛いよアルシェリ。



2010-09-03 Fri 07:08 | URL | 蛍火メイ [ 編集 ]

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