銀の働き部屋

管理人銀河の、日記兼テキストサイトです。取り扱うジャンルは主にヤングガンガン連載のWORKING!!になると思います。最近は東方の霖之助小説を書くのにも夢中。どうかよろしくお願いします。リンクはフリーです。感想は常に受付中です!もらえたら泣いて喜びます

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ぼくらの太陽 霖之助×美鈴






 さて。東方小説を更新しようと思います。

 異国の友人のリクエスト?もあって、今回は霖之助×美鈴を書いてみました。いや、リクエスト云々の前に本当に書くつもりだったったのは秘密なんですが(ぇ
 毎回書くカップリングは、思い浮かんだ順番にシチュエーションを考えて書いているので、特になんかシリーズごとに書いている、とかいうこだわりは一切ありません。というか、どのキャラがどの作品に出ているかとか把握できてません(待

 というわけで(?)、霖之助×美鈴で、「ぼくらの太陽」です。甘さは殆どありません。タイトルにぼくらの太陽って書いてますけど、俺はあのゲームただの一度たりともプレイしたことありません(ぇ
 あと内容が少しだけ、過去に書いた「赤い果実と青い鳥」と、「あなたと私の共同作業」とほんのりリンクしています。別に読まなくても大丈夫ですが、よろしければそちらもどうぞ。

 では、続きからでどうぞ!
 
 ・・・しっかし絶望的にWORKING!!小説のネタが浮かばん・・・。












「・・・相変わらずだな」

 森の入り口近くにある道具屋、「香霖堂」。そこの店主である森近霖之助は、目の前に立っている女性に対して、呆れた顔で呟いた。この夏の日差しの中歩いてきた彼の額には、汗が粒となって浮かんでいる。
 少し視線を上げた先に堂々と構えられている建造物。その名は紅魔館。館主は吸血鬼レミリア・スカーレット。幻想郷の中でも一際大きな存在感を放つ洋館である。
 そんな紅魔館の門の前。そこで霖之助が相対する人物なんて限られている。

「美鈴。起きてくれ」

 門のすぐ横の塀によりかかり、すーすーと静かな寝息を立てていた女性、紅美鈴に霖之助は呼びかけた。
 美鈴は、寝ていた。それは、彼女の様子を百人に尋ねれば百人がそう答えるであろう程、完璧に寝ていた。夏のやや強めな日差しが、彼女の自然に揺れる、燃えるような赤髪を煌めかせている。
 霖之助の呼びかけも虚しく、美鈴が目を覚ます様子は無い。
 肩でもゆすってみようか。とも考えたが、美鈴はまがりなりにも妖怪。それも、その武術の腕前は達人級とまで言われている。下手に体に触れて、彼女の防衛本能が発動して反撃でもされてしまえば・・・考えるだけで恐ろしい。と、霖之助は身震いした。

「・・・美鈴!!」

 さっきよりもだいぶ大きな声で呼ぶと、美鈴は体を大きく震わせながら目を覚ました。

「ふえっ!? お、起きていますよ咲夜さん! 寝てないです! 寝るなんかありえないです!」

 手を突き出し、ぶんぶんと振りながらそんな言い訳をする。なんともみっともない姿だ。
 その反応から、先ほどの姿が狸寝入りなんかでは決してないことが証明された。

「よく見てくれ美鈴。僕だ」

 へ? と間抜けな声をあげると、ようやく美鈴は霖之助の顔を初めてまともに視認した。
 そして目の前の人物が誰であるかを理解すると、少し顔を赤くしながら、照れるように笑った。

「あ、霖之助さん?」

「疑問符を浮かべずとも、僕だよ。・・・咲夜と間違えるほど、僕の声は高いかな?」

「いやー。目を開けて最初に映ったのが銀髪でしたから、いつものくせでつい・・・。色々とお恥ずかしいところを見せてしまいましたね。すいません」

 あははー。と、ほんのり頬を染めながら陽気な笑いを浮かべる美鈴につられて、霖之助も小さな笑みを浮かべる。

 相変わらず、太陽のように笑う人だ。霖之助は彼女の笑顔を見る度に、そう思うようになっていた。

 霖之助と美鈴は、見ての通り顔見知りである。とはいっても紅魔館の住人の中だけで比較すると、咲夜とレミリア程の面識があるわけではない。彼と彼女が会うことはむしろ珍しいことであるとも言える。
 年に数回ほどだが、霖之助は紅魔館へ配達をすることがある。それは、紅魔館で大量の食器の入れ替えがあったり、少々大きな商品を買うことになったり・・・いずれも、咲夜が持って帰るのが不可能、という買い物をした場合だ。香霖堂から紅魔館までは森を抜けねばならず、重い荷物を運ぶことを考えると決して楽な道のりではないが、霖之助にとっては上客・・・いや、例えそうでなくとも、貴重な客の頼みを断る道理は無く、配達の仕事を彼は喜んで引き受けている。
 今回咲夜に頼まれ届けに来たのは、大量のティーカップセットだ。なんでも、妖精メイドが誤って大量にティーカップを割ってしまったらしく、まとまった数を注文したのだ。

 霖之助と美鈴が会うのは、そのような場合のみ。まがりなりにも、美鈴は紅魔館の門番である。当然、霖之助が紅魔館に入るためには彼女と話を通さなくてはならない。

「なに。見慣れた光景さ。今更気にすることはない」

「え・・・。あ、あー。そうですよねー・・・」

 美鈴の謝罪に対して霖之助が答えると、美鈴は少しだけ顔を赤らめ、乾いた笑いを浮かべた。

「えっと、今日も配達ですね? この暑い中、ご苦労さまです」

 霖之助の少し後ろにあるリヤカーに目をやってから、美鈴は彼をねぎらう。
 リヤカーの中には、丁寧に梱包された大量のティーカップが積んである。リヤカーを使っているとはいえ、それなりの重量ではあっただろう。

「いやいや。しっかりと報酬を貰えるならば、大して苦ではないさ」

 言いながら霖之助は笑みを浮かべたが、彼の額に浮かんだ大量の汗を見る限り、なかなかの重労働であったことは間違いないだろう。
 美鈴は空元気で笑う霖之助を見て、くすっと微笑む。
 それから胸元に手を入れると、ハンカチを一枚取り出して彼に手渡した。どこに入れているんだ、と霖之助は思わずにはいられなかった。

「よろしければどうぞ。私はまだ使っていないのできれいですよ」

「え。あ、ああ。ありがとう」

 ハンカチを美鈴を交互に何回か見比べてから、少しためらうように礼を言い、霖之助は受け取ったハンカチで汗を拭った。別に肌と密着させながら収納していたわけではないだろうが、それでも少し気恥ずかしい。
 そこで、霖之助は気づいた。美鈴は今日もここで、この夏の日差しが降り注ぐ中、門番の仕事を何時間もしていたはずだ。例え昼寝をしていようとも。それなのに、彼女の額に汗の雫は一滴たりとも存在していない。

「・・・君は、暑くないのかい?」

 思わずそう尋ねると、美鈴はどこか誇らしげに説明を始めた。

「ふふーん。私の能力は、『気を使う程度の能力』ですよ? 体を流れる気を操れば、暑さや寒さなんてへっちゃらです!」

 えっへん! と言わんばかりに豊かな胸を張り、美鈴は答えた。
 その答えを聞くと、何故か霖之助の表情が少し曇った。それに気づいて、美鈴は浮かべていた笑みを消した。

「あの、どうかしましたか?」

「ん? いや、大したことではないさ」

 まるで美鈴に余計な気を遣わせたことを申し訳なく思っているように、控えめな声で答えると、霖之助は苦笑を浮かべた。
 美鈴は何かひっかかるものがあったが、深く追求はしないことにした。

「・・・あ! そういえば、この前咲夜さんが持ってきた野菜美味しかったですよ! あれを売れば、きっとお店も大儲けですよ!」

 それでも話題を変えねば、と思い、美鈴はそう話題を振った。
 すると霖之助は笑顔を浮かべたが、すぐにまた沈んだ表情になってしまった。まるで、嫌なことを思い出したかのように。

「えっと・・・あの。どうかしました?」

「いや、野菜を褒めてもらえたのは嬉しいんだ。・・・ただ、少し前にその野菜がらみで友人を怒らせてしまってね。どう謝ればいいかと悩んでいたんだ」

 ふう。と、溜息をひとつついて、霖之助は重々しくそう話した。
 野菜がらみで人を怒らせた、って・・・どういうことだろう。と、美鈴は思わずにはいられなかった。ピーマンの嫌いな人にピーマンの肉詰めでも出したのだろうか。もしくはチンジャオロースとか。
 その話の詳細が気にならなかったわけではないが、これ以上の追及も失礼だろうと思い、やはりそれ以上のことは聞かなかった。

「えっと、あの・・・それじゃあ」

「美鈴」

 次の話題は何にしよう、と考えながら美鈴が口を開くと、突然彼女を呼ぶ声が聞こえた。
 だが、美鈴の目の前にいる霖之助は口を開いてはいない。少しだけ目を見開き、彼女を見つめているだけだ。・・・いや、美鈴を見ているのではない。彼女の、やや後方を見ている。
 後ろ。そう。その、「女性」の声は、美鈴の後ろから聞こえてきた。

「・・・こ、こんにちは。咲夜さん」

 汗を全くかいていなかった美鈴だが、顔に冷や汗をだらだらと流しながら振り返り、笑みを浮かべて佇んでいる咲夜にそう挨拶をした。
 咲夜がいるだけならば、冷や汗をかく必要は無い。昼寝をしていたり門の前から離れていたりするならばまだしも、美鈴は意識もはっきりとさせてこの門の前にいるのだから。
 しかし、美鈴には分かるのだ。
 今、目の前にいる、この完全で瀟洒なメイドが、怒っていると。

「ええ。こんにちは。そして店主さん、遠路はるばるご苦労様です」

 笑顔を崩すことなく美鈴に挨拶を返し、それから霖之助に、やわらかな声でねぎらいの言葉をかける。
 霖之助は苦笑を浮かべながら、その言葉に頷いて応えた。

「美鈴。大事なお客様を炎天下の中に立たせて、何を話していたのかしら?」

 鋭い。まるでナイフのような視線が美鈴に突き刺さり、美鈴は必死に言葉を探す。

「咲夜。僕が話を振ったんだ。彼女を叱らないでくれ」

 霖之助が苦笑を浮かべたまま言うと、咲夜は一回美鈴を睨みつけたが、彼に向き直った。

「あなたがそう言うのでしたら。とにかく、お茶も用意しています。館へ」

「ああ。ありがとう」

 後ろに置いていたリヤカーの取っ手を掴み、紅魔館へ向けて歩み始めた。ティーカップには一つ一つ新聞を巻いているため、カップが擦れ合う音も聞こえない。聞こえるのは、少し年季の入ったリヤカーの部品の軋む音のみだ。

「あ、あの。霖之助さん」

 すれ違いざまに、美鈴は霖之助に声をかけた。もちろん、咲夜には聞こえないよう、小さな声で。

「かばってくれてありがとうございます。お礼はまた今度に・・・」

「何。気にしないでくれ。君と話すのは楽しいからね。また、帰りに」

 笑顔を浮かべながら言葉を交わし、霖之助は咲夜の後についていくように紅魔館へ向かった。その姿が紅魔館へ入り見えなくなるまで、美鈴は見送った。



「・・・あーあ。なんでこうなんだろ」

 一人になった途端、そう独り言をつぶやき、美鈴は門の前にしゃがみこんだ。その顔には、普段の自信と、陽気な笑みは浮かんでいない。

「いつもいつも寝てばかりで・・・。だらしない女って思われてるんだろうなあ。今日なんか大恥かいたし」

 霖之助が紅魔館を訪ねる時、美鈴は何故か寝ていることが多い。もちろん、それはただの偶然である。そりゃあ美鈴はサボることだってあるし、昼寝をしている時もある。それでも、真面目に門番としての務めを果たしている日の方がずっと多いのだ。にも関わらず、美鈴の運が無いのか霖之助の間がよほど悪いのか、それともその両方なのか。とにかく、仕事中に昼寝をしている。という情けない姿を美鈴は何回も霖之助の前で晒している。

「・・・楽しい話をしようと思っても、何故か落ち込ませちゃうし。才能無いのかな。私・・・」

 先ほどの霖之助の沈んだ表情を思い出し、美鈴は深~い溜息を吐いてうつむいてしまった。

 いつだっただろう。
 彼に、初めて会ったのは。

 いつからだろう。彼との会話が楽しいことと思えるようになったのは。
 いつからだろう。彼の訪問を楽しみに思うようになったのは。
 いつからだろう。彼に情けない姿を見られることを、恥ずかしく思うようになったのは。

 そして。いつからだろう。

『君と話すのは楽しいからね』

 そんな言葉一つで、
 こんなに、嬉しく、温かい気持ちになれるようになったのは。

「・・・楽しい、だって」

 気づけば笑っていた。霖之助の言葉を思い出し、美鈴は笑っていた。
 顔が熱い。胸が高鳴る。心が躍る。
 彼の言葉を何十、何百と心の中で繰り返し、紅魔館の門の前で美鈴は幸福に浸るのであった。




 霖之助が紅魔館へと入って、1時間程が経っただろうか。
 後方から聞こえるリヤカーの音に、美鈴は振り返った。

「やあ美鈴」

 そこには、微笑みを浮かべた霖之助がいた。商売はもう終えたようで、引き摺っているリヤカーの中身は空だ。
 そのリヤカーの取っ手をとりあえず離し、霖之助は美鈴と向き直った。

「あ・・・。お、お仕事おつかれさまです。もっとゆっくりしていくと思っていました」

 顔は赤くないだろうか。声はうわずっていないだろうか。そんな心配をしながら言うと、霖之助は苦笑を浮かべた。

「咲夜にはそう言われたけどね。さっき言っていた、怒らせてしまった友人に謝りに行こうと思ってね。かき氷もいただいたことだし、おいとまさせてもらったよ」

「あ。かき氷って、あのトマトを使った? あれ美味しいですよね~」

「ん? よく分かるね?」

「そりゃあもう。何回も試食させられましたから。何故か危機迫った顔で」

「ふむ? 彼女は完璧主義なのかな? 味は申し分なかったが」

 そんなに味を気にせずとも良かったのに。と呟きながら霖之助は頭を掻いた。

 ・・・やっぱり、この人と話していると、安心する。
 やわらかな笑みを浮かべ、美鈴は温かい心の中でそう考えていた。

「・・・あ。そうだ。忘れない内に渡しておこう」

 突然霖之助は、腰にかけているポーチに手を入れ、何かを取り出した。
 それは・・・銀色に輝いた・・・ブレスレット、に見えた。

「・・・それは?」

「僕が最近試作したマジックアイテムでね。手首に着ける物なんだ。これは、装備した者の周囲に魔力の層を生みだして、強烈な熱気や寒波・・・柔らかく言えば、強い日差しや雪、雨が体に降り注ぐのを防いでくれる道具なんだ」

 どこか誇らしげに解説を始めてしまった商売人の言葉をしっかり聞きながら、美鈴は興味深そうに頷いていた。

「へえー。すごい道具ですね」

「まあ、まだ試作なんだがね。はい」

 突然、霖之助は美鈴にそのブレスレットを差し出した。
 その行為の意味が分からず、美鈴は首を傾げた。

「何です?」

「言ったろう? 『忘れない内に渡しておこう』と。これは君に作った道具なんだ」

「え?」

 思わずそんなうわずった声が美鈴の口から飛び出した。

「いや、正しくは少しだけ違うんだが。こういった類の道具は以前から作ろうと思っていてね。最近になって試作ができあがって、自分に着けて効果があることは実証済みだ。ただ、誰に使ってもらうべきかと悩んでね。考えた結果、毎日外に立っている君に使ってもらおうと考えたんだよ」

 そこまで言ったところで霖之助は苦笑を浮かべ、続けた。

「ただ、梅雨の時期や冬ならまだしも、この時期に持ってきたのは少し失敗だったな。君にはあまり必要の無い道具だ」

 そこで美鈴は、先ほど自分が能力を説明した時に霖之助の表情が少し沈んだ理由を、やっと理解できた。
 最初から、渡すつもりだったんだ。このブレスレットを。

「もし必要が無ければ、誰か知り合いにでも・・・」

「使います!!」

 気づけば、大声で叫んでいた。そんな美鈴の叫ぶような返答を聞き、霖之助は目をぱちぱちと瞬かせた。
 少し赤くなった顔で、美鈴は続ける。

「助かります! 嬉しいです! 気を使うのすっごい疲れるんです! もう本当、えっと・・・その、とにかく助かります!」

 何故か、危機迫った表情で。
 ある程度言い終えてから、荒く肩で息をする美鈴をしばらく呆然した様子で見つめてから、霖之助は微笑んだ。

「・・・そうか。じゃあ、是非使ってみた感想をお願いするよ」

 言いながら美鈴の手を取り、その手の平の上にブレスレットを置く。
 その行動を、美鈴はただ黙って見ていることしかできなかった。

「ただ、何回も言うように試作品でね。一か月ほどはもつと思うんだが、効果がそのうち無くなってしまう。もし暇があれば、僕の所へ持ってきてくれ。それと、何か問題が起こった時も。魔力の補充もするし、もし完成品ができていたら代わりにそれを渡そう。試作を使ってくれた礼として無料でね」

「・・・はい」

 呆然自失といった表情で、美鈴は手の平に置かれたブレスレットを見ながら静かに頷いた。
 返事を聞いて霖之助も満足そうに頷くと、リヤカーの取っ手を持ち直した。

「じゃあ、僕はそろそろ行くよ。今日は楽しかった」

「え。あ、はい」

 もはや美鈴は、自分が今どんな表情で、どんな声が出ているかも分からない有様であった。
 リヤカーを引き、霖之助はそんな美鈴の横を通り過ぎる。

「あ。そうだ」

 そこで立ち止まり、ポケットから美鈴のハンカチを取り出した。

「これ、洗ったら持ってくるよ。ありがとう」

 もう。だめだ。
 美鈴は、この胸に溢れて、今にも零れ出しそうな感情を抑えることはできなかった。
 浮かべるは、笑顔。
 その笑顔は、まるで・・・

「はい!」

 太陽のように、輝いていた。





 何が、起きたんだろう。

 霖之助さんの姿ももう見えなくなり、門の前に一人だけ残された私は、半ば夢心地であった。
 その手には、あの人が手渡してくれたブレスレットが握られている。
 手を開き、ブレスレットを今一度観察してみる。
 透き通るような銀色のブレスレットに、太陽の光が反射して輝いている。注視してみれば、その表面には恐らく呪文であろう奇怪な文字が刻みこまれている。くるっと半回転させて裏側を見ると、吸い込まれそうな赤い輝きを放つ小さな宝石が埋め込まれている。
 マジックアイテムと呼称せずとも、誰しもが上質なものであると認めるであろう程、美しい品だった。
 そんな物を、あの人が、私に作ってくれた。そう考えるだけで、また私の胸の中にどうしようも無い感情が溢れて行った。

 ・・・だいたい、こんな物を持っているならば、紅魔館に来るまでは自分の腕につけておけばいい。そうすれば、あんなに額に汗をためることなくここまで来れたろうに。
 きっとあの人は、自分がつけている物を直接渡すのは失礼だろうとか。そんな余計なことを考えていたのだろう。本当に、おかしな人だ。

 更に、あの人はこう言った。

『暇があれば、店に来てくれ』

 それはつまり、私が店に行っても、快く迎えてくれるということ。

『これ、洗ったら返しに来るよ』

 それはつまり、またここに来てくれるということ。私に、わざわざハンカチを届けてくれるために。

 そう。私は、そう遠く無い内に・・・彼と、2回も会うことができる。
 2人で、話ができる。
 一緒に、笑い合える。

 会うだけで、こんなにも嬉しくなる。
 こんなにも、心が温かくなる。
 私の悩みなど、あっという間に晴らしてくれる。

 もう、胸に溢れるこの感情を止めることができない。

「幸せ・・・!!」

 ブレスレットを抱え込み、おそらく真っ赤な顔で、私はその言葉を絞り出した。

 まるであの人は・・・

 私の・・・太陽だ。














 あとがき

 いかがでしたでしょうかー。
 美鈴はとにかく、陽気で暗い雰囲気はあまり似合わない、というイメージがあったので、基本は陽気で、悩んでいるシーンもそこまで深刻すぎないように気をつけて書いてみました。あんまり暗いのは書いてて心が折れますしね・・・。
 霖之助はやることなすこと女の子に勘違いされてフラグを乱立させて全部最後に叩き折ればいいと思っています(ぇ
 こう、霖之助がらみの小説を書く時何が楽しいかというと、恋する乙女達をどう表現できるかが楽しい。書いてて凄いハイになってくる。
 念のため言っておきますと、美鈴は本来東方香霖堂には一切登場しないので、このカップリングは完全なる二次創作です。一応、ね。東方が二次創作に寛容とはいえ、こういうことは言っておかないと俺がすっきりしないというか。

 現在も東方小説を一つ書いているので、書けたら載せたいと思います。WORKING!!を待っている方には申し訳ありませんが、小説を書ける時に書かないのは本当に辛いので・・・。申し訳ありません・・・。

 それでは!!



 
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コメント

異国の地よりコンバンワ。
小説読ませて頂きました。
すごく…可愛いです…(美鈴が)
霖之助さん気が利き過ぎてこのフラグどーするのか。
全部最後に叩き折れる所は、それはそれで見物なような気が。
普段は冷たい雰囲気放ってるのに実は気配りある霖之助さん萌え!
危ない意味じゃなくてね!

霖之助さんが帰る時のめーりんが笑顔になるシーン、胸のあたりが何かキュッてなりました。
読んでいて「ああ、このめーりんは超良い顔してるな絶対」と思わせるような説得力を感じました。
ラストのシーンなんてもう読んでるだけでこっちまで幸せな気分になるような。
思わずネットカフェなのにニコニコしながら画面に向かってました。
隣の外国人が何か分からない言語で笑いながら何か話してましたがキニシナイ。

季節が秋から冬に移り変わる今日この頃、体に気を付けて下さい。
次回の更新も楽しみにしています。

2010-10-30 Sat 23:36 | URL | 黄とかげ [ 編集 ]
放浪してて見つけたんすけど最高でした(笑)
最後オチに咲夜さんが美鈴の後ろに立ってると思った自分は駄目だと思ったっす(笑)
2011-04-19 Tue 12:25 | URL | ヴォル [ 編集 ]

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