銀の働き部屋

管理人銀河の、日記兼テキストサイトです。取り扱うジャンルは主にヤングガンガン連載のWORKING!!になると思います。最近は東方の霖之助小説を書くのにも夢中。どうかよろしくお願いします。リンクはフリーです。感想は常に受付中です!もらえたら泣いて喜びます

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煙草と願い  佐藤×八千代





 さて。さとやち小説を更新しようと思います。今回のは短いです!
 
 タイトルは、「煙草と願い」です。相変わらずの適当っぷり。
 甘さは殆どありません。
 なんか、前に更新したリクエスト小説内で佐藤さんを禁煙設定にしたのですが、実際禁煙したらどういう流れになるのかなあ。とか思いながら書いてみました。でも内容は未来パラレルとかではなく普通にワグナリアでの会話です。

 それでは、続きからでどうぞ。



 
 





 ・・・いつだったっけな。

 煙草を吸うようになったのは。

 この無駄に疲れる毎日を、煙草で癒してやる。って最初に思ったのは。

 ・・・まあ、日にちまでは覚えてねえけど。年齢は覚えてる。16歳の時だ。

 懐かしい。でも、今と殆ど変わらない。そんな時代だ。・・・まるで大昔のようだが。

 でも実際、俺はあの時と殆ど変わらない毎日を過ごしているわけで。・・・違いといえば、この肺を満たす煙の存在だけだ。

 初めて吸った時は、その不味さに咳き込み、気分をスッとさせたかった俺の期待を大きく裏切った煙草に、理不尽な苛立ちを覚えたもんだ。

 ま。慣れちまえば確かにこれはやみつきになる美味さで。幾分か、俺の心のもやもやをこのもやもやとした煙が晴らしてくれはした。

 体に悪い。癌になる。食事が不味くなる。体力が無くなる。そんな説教は今まで幾度となく聞いてきたけど、大して気にも止めない。

 まあ、人生に一番影響を与えるのは・・・癌か。癌は確かに嫌だけど、所詮、2分の1だ。なるか、ならないか。

 ・・・あ? 煙草を吸うと肺癌のリスクが何倍になるって? 知るかそんなの。

 だって、吸う奴だって吸わない奴だって肺癌になるんだぜ? だったら、リスクがどれだけあろうが無かろうが。たった一度の人生なら、なるかならないかの2分の1なんだよ。細かい計算なんか知るか。

 もちろん、周囲に煙が行かないよう気は遣ってるし、マナーを破ってわざわざ自分の立場を悪くするつもりは無い。 

 ・・・まあ、色々と能弁たれはしたが。要は好きなんだ。依存しているんだ。俺はこの煙草に。

 頼らなきゃ、やってられない。こんなバイト。

 でも、俺はバイトに出る度。あいつに会う度。・・・必ず、こう思うんだ。

 ・・・お前の、ためなら・・・




「佐藤君。また煙草?」

 キッチンのガス台の近くで煙草をふかしていた俺に、八千代が声をかけた。
 客の入りはいつも通りガラガラで、俺や八千代は、絶賛暇を持て余し中だった。
 やることもなく、休憩時間でも無ければ、煙草をふかすのは当然のこと。

 そんな俺に、八千代はずいぶん困ったような顔で話しかけた。

「ああ。ま、やることねえしなー」

 また煙を吸い込み、吐きだす。やや上方に。簡単に言えば、ガス台の排気口へと。
 いくら俺と八千代しかいないからって、周囲に煙を撒き散らすのは最低なことだってことぐらい、俺だって分かる。煙草はもちろん合法ではあるが、それはあくまで、マナーを守った上でのことだと俺は思っている。
 マナーを守らずに煙草の煙を撒き散らす人間は、ただの馬鹿だ。俺は馬鹿じゃないし、そんな最低の馬鹿にもなりたくない。

「・・・あ、あの。佐藤君」

「ん?」

「佐藤君は、どうして煙草を吸っているの?」

 ・・・さっき言った馬鹿の中でも、世界でトップレベルに好感のもてる馬鹿の口から飛び出した言葉に、思わず俺は目を丸くした。
 煙草の灰が落ちそうになったので、慌てて携帯灰皿に灰を落とす。煙草もだいぶ短くなっていたので、俺はそのまま携帯灰皿に煙草を落とし、フタを閉じた。

「なんで、そんなこと聞くんだ?」

 俺が聞き返すが、八千代は答えなかった。
 何やらもじもじと指先をいじり、言葉を探しているように見える。ああもう。可愛いなこいつは。

「・・・イライラすっからだよ。前にも話してたろ」

 俺がそっけなく言うと、八千代は目に見えて分かる程にショックを受けたようで、それだけで目に涙を浮かべた。

「・・・だから、なんでこんなことでいちいちそんな顔するんだよ!」

 ああもう。イライラする。気づけよこいつも。
 俺が少し歩み寄り、声も少し大きくすると、八千代は小さく肩を震わせた。

「・・・だって、私、佐藤君がイライラしているのに、それをどうにかすることもできないし・・・。だから、佐藤君が煙草を吸って・・・そして・・・」

 突然八千代の目から涙が零れて、俺の心臓が信じられないほど高鳴った。ときめきなんかではない。焦りだ。いや、もはや恐怖だ。

「いつものことながら、どうしたんだお前!!」

 おろおろと、どうすることもでき無い俺の目の前で泣き続ける八千代。泣きだした理由がさっぱりなので、声のかけようが無い。まあ、八千代がこうなる時はいつもこんな感じなのだが。

「だって・・・! もし、佐藤君がもっとイライラするようになって、煙草を吸う量が増えちゃったら・・・佐藤君が死んじゃう・・・!!」

 はあ?
 心の中でそんな声が漏れてしまって、俺は深い溜息をついた。
 それと同時に、何故八千代がこんなことを言いだしたのかは理解できた。
 確か昨日、テレビの医療番組で、煙草の害についてまとめていたような気がする。俺はくだらないと思ってすぐに消したのだが・・・たぶん、八千代はあれを見たのだろう。
 ああいう番組で、どういうことを放送するかなど、大抵予想は着く。たとえば・・・

「佐藤君が肺癌になっちゃったりしたら・・・私・・・!!」

 ・・・まあ、こういうことだ。つまり。

「・・・あのな八千代。別に、煙草を吸っている奴全員が癌になるわけじゃないんだぞ」

「でも・・・」

「ああいうのはな。煙草を嫌いな連中が、煙草を吸っている連中の立場を不利にさせようと考えて放送してるんだよ。陰謀なんだよ」

 それは少し言いすぎかも、と思ったが、そう遠くも無いだろう。実際、あんな番組を見て、「あ。じゃあ煙草止めよう」なんて奴はいない。あの番組は、喫煙家に見せるものではない。禁煙家のおばちゃん達に見せて、「まー!煙草って悪いことだらけね!」って言わせたいだけなんだ。

「・・・だから、気にするな。健康診断とかちゃんと行くし」

 それは本当に思っていたことだ。幾ら俺でも、癌になっても平気・・・なんて思っているわけでは無い。
 健康診断の機会があればその都度受けるつもりだし、例え無くとも、たまには受けたい。・・・いいだろ。別にそれくらいは適当でも。

「・・・本当に、大丈夫?」

「・・・まあ、絶対ならないってのは保障できねえけどな。別に吸わなくてもなる奴はなるし」

 俺がぶっきらぼうに言うと、八千代の目にまた涙が滲んできた。
 ああもう。めんどくさい。でも可愛い。何を言ってるんだ俺は。
 ・・・ここまで心配されると、少し、いや・・・かなり嬉しくはあるけどな。

「泣くなって」

「だって・・・」

「安心しろよ。俺がもし病気になったとしても、その時にはバイト辞めてるよ」

 俺が言った瞬間、八千代の目からまた更に涙が溢れてきた。
 もう、なんというか、めんどうくさいを通り越して・・・辛い。この会話が。この時間が。

「泣くな!!」

「だってえ・・・!!」

 ぽろぽろと零れ落ちる涙を、キッチンペーパーで拭ってやった。
 なんというべきか。と、俺はまた思考を巡らせる。

「バイト辞めても、辞めなくても・・・佐藤君が病気になるなんて嫌・・・!!」

 ・・・が、そう言われると、何も言えない。
 本当にこいつは、さらっと衝撃的な発言をしやがる。顔が熱い。

 俺は言葉に困ったが、早くこの会話を終わらせたいという確固たる願いがあるのも事実。
 これで八千代が納得してくれるかどうかはわからない。が、何か言わなくては終わらない。俺は、ゆっくりと口を開いた。

「・・・まあ、さ」

「ふえ?」

「・・・今は煙草を止めようとは思わねえけど。・・・お前が、その・・・俺の・・・りで・・・」

 ・・・!!
 だめだ・・・!
 言えねえ。こんなこと、真顔で言えねえよ。
 とてもとても言葉にできず、後半、声が極端に小さくなってしまった。

「え? 聞こえないわ佐藤君」

 やはり、聞こえてなかったらしい。
 だが、言い直す気にもなれん。二度と言うか。こんなこと。

「ああもう。いいから仕事戻れ! そんなすぐに死なねえよ!」

 もう何かを話すことすら恥ずかしくなってきて、俺は八千代を手で軽く追い払った。
 すると八千代は悲しい顔を浮かべはしたが、しょんぼりとした様子で仕事へ戻ろうと歩き出した。

「・・・あ、その。八千代」

「なに?」

 俺が歯切れ悪く呼びかけると、八千代は沈んだ顔のまま振り返った。

「・・・心配してくれて、ありがとな。・・・気をつけるよ」

 とりあえず、そう言いたかった。礼を、言いたかった。

「! ・・・うん!」

 俺のこんな言葉一つで、八千代はぱあっと顔を明るくさせて、元気に仕事へ戻ってくれた。

 ・・・はあ。

 とりあえず、俺しかいなくなったキッチンでため息をついた。
 疲れた。いつものことながら、疲れた。
 なんで、あいつとの会話はこんなにも疲れるんだ。精神的な疲労が尋常じゃない。胃がキリキリする。頭も痛い。

 とりあえず、一服するか。と、俺は煙草を取り出した。

 が、煙草を一本取り出したところで、手が止まった。

『佐藤君が肺癌になっちゃったりしたら・・・私・・・!!』

 八千代の言葉が、脳内で再生された。

 ・・・あほらし。
 そんなすぐに癌などなってたまるか。本当に、余計なことをテレビで放送などしてほしくない。
 俺はまだ若い。それに、健康診断も大学でやった。俺の体は健康そのもの。モーマンタイなんだよ。煙草を吸ったくらいで、そんな簡単に壊れてたまるか。

『佐藤君が病気になるなんて嫌・・・!!』

 まただ。また、八千代の言葉が脳内再生された。

 ・・・ああもう。

 なんであいつは、他人のために、あんなに泣けるんだ。

「・・・やめた」

 俺は煙草をポケットに戻して、天井を見上げた。
 何も無い。そりゃあそうだ。ただのキッチンの天井なんだから。少しだけ、黒ずんだ・・・。

「・・・吸う気無くすだろ。こんなの、誰だって」

 もちろん、禁煙を始めたわけではない。あと数十分もすれば、俺は何事も無かったかのように煙草を吸い始めるだろう。
 それでも、今は吸う気になれない。少なくとも、八千代の泣き顔が頭から消えるまでは。

「・・・いつになったら、ちゃんと、言えるかね」

 さっき、八千代へ言いかけた言葉。
 あの言葉を、俺が、八千代へ伝えられる日は来るのだろうか。

 ・・・少なくとも、当分は言えそうにもない。

「・・・あーあ。イライラするな」

 本当、イライラする。
 でも、やはり煙草を吸う気にはなれない。

「・・・そう簡単に、言えるもんか」


 俺は、お前のためなら。

 お前が、俺の隣で望んでくれるなら。

 煙草なんて、いつでも止められるんだ。


 ・・・こんなこと。


 言える、もんか。

 











 あとがき

 いかがでしたでしょうか。俺が書く小説にしてはかなり短くなりました。
 かなり短時間で書きなぐった作品ですが、佐藤さんっぽさは出ましたかね?
 内容は前回のリクエスト小説と殆どリンクしていませんね。だから今回のを単品で見ても何の問題もないと思います。
 八千代さんのいいところは、他人のために本気で泣けること。だと俺は思う。うん。思う。
 なんかヤンガン本誌の展開が凄いことになっているらしいので超見たい。くそ。何で近くのコンビニにヤンガンは置いてないんだ・・・!!

 あ。ちなみに俺は煙草は吸いません。ですが、喫煙者を非難するつもりも禁煙者に同意しているつもりもありません。むしろ異常に喫煙者を嫌う禁煙者のほうが嫌いってくらい。
 ただ、俺は佐藤さんは煙草とかのマナーは最高に良い人と信じています。

 短い小説でしたが、楽しんでもらえたら幸いです。それでは。


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佐藤×八千代 | コメント:1 | トラックバック:0 |
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コメント

どうもこんにちは~。今回も楽しく読みました。

八千代さんは正直バカな娘だと僕は思ってます。でも、そんなバカだからこそ、他人のことで全力で泣けるとも思えます。そしてそれは長所でもあると考えます。
佐藤さんが禁煙する日はまだまだ当分先のことになりそうですね。禁煙よりも相馬や山田のウザさにイライラして、八千代さんの鈍さにイライラして、種島いじりじゃ解消しきれず吸う量が増える。そんな光景が浮かんできます。

煙草は確かに身体に悪いですが、別に喫煙者がマナーを守るなら吸うのはかまわないと思っています。ただ、百害あって一利なしな点や、受動喫煙の方が肺癌になる確率が高くなるというような叩きがいのある点が攻撃される所以なんでしょうね。

対戦での使用するキャラの強い弱いは確かにゲームだとよく言われますね。格闘ゲーム系はあまりやらないのですが、ポケモンなんかでも強いポケモン、弱いポケモンの情報がネットにいっぱい載ってます。確かにそういう情報は事実なんでしょうけど、でも、それもまたそのキャラの個性なんじゃないかと思います。せっかく様々な個性を持つキャラが色々と選べるのに、そうやってランク付けすることで、初心者で下位のキャラを使おうと考える人を少なくしてしまうのではないかとも思えてしまいます。まぁ、対戦アクションゲームをあまりやらないので、こういう状況がありえるのかはわかりませんが、なんとなくもったいなく感じてしまいます。
とはいえ、ポケモンなんかだと、割と悲惨なのもいますが(笑)。でも、アクションなら練習次第でどうとでもなるんだし、強い弱いというだけで判断しないで欲しいなぁ、なんて思ってしまいます。

なんかラストのせいで長くなりましたが、これで失礼します。それでは~。
2010-11-06 Sat 17:16 | URL | 赤髪の探偵 [ 編集 ]

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