銀の働き部屋

管理人銀河の、日記兼テキストサイトです。取り扱うジャンルは主にヤングガンガン連載のWORKING!!になると思います。最近は東方の霖之助小説を書くのにも夢中。どうかよろしくお願いします。リンクはフリーです。感想は常に受付中です!もらえたら泣いて喜びます

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現と夢の昼下がり  霖之助×さとり









 今回は、霖之助×さとりで、「現と夢の昼下がり」という題です。甘さは皆無。
 しかし、この小説を考えている間、名作漫画、「サトラレ」を思い出してしょうがなかった。あれは今も続編出ていたりするのだろうか。
 サトリとサトラレは似ているようですが、サトラレはやはり残酷ですよね。思春期の中学生とかに、「お前はサトラレなんだよ」なんて告げたら、俺だったら間違いなく発狂すると思います。心を読まれる、ってのは本当に怖いことだと思う。
 と、みなさんがサトラレを知っているのかも知らないのですがそんなことを思った。というどうでもいい話。うざい話(ぇ

 小説の内容は全然シリアスじゃないので安心して見てくださいw

 それでは、続きからでどうぞ。



 小説のあとがきの更に下に、コメント返信があります!!




 








 何も、聞こえない。

 店の内観と同じように年季の入った椅子に腰をかけ、自分の能力を働かせたが・・・やはり、何回挑戦してみても結果は同じであった。

 私の能力を以てしても、目の前にいるこの男性の思考を読み取ることはできなかった。

 まあ、それは至極当たり前のことで、私の能力が異常をきたし始めた・・・というわけでは決して無い。

 何故なら、目の前のこの男性・・・森近霖之助は。

 寝ているのだから。



 それは今から、ほんの少し前のこと。

 とある昼下がり。
 私が普段と変わらず、この香霖堂の扉を開き店に入って・・・最初に目に飛び込んでくるのは、一見雑多に並べられたようにしか見えない道具達。
 それからゆっくりと視線をこの店の主へと向けるのだが・・・。今日に限っては、その様子に、まず違和感を覚えた。

 何も言わずに入ったとはいえ、誰かが来店した時になるベルは確かに鳴った。私が来店したということは、彼にも分かっているはず。
 しかし霖之助さんは挨拶も何も発せず、座りながら腕を組み、うつむいてしまっている。

 私はまず、能力を使って彼の思考を読んでみることにした。もしかしたら、私の来店にすら気づかないほど重い悩みを抱えているのかもしれないと思ったから。
 しかし、無数の言葉の羅列を予想していたのだが・・・何も、聞こえない。
 首を一度傾げ、また思考を読もうと試みる。が、何回やっても結果は同じ。何も、聞こえない。文字の一つたりとも、だ。

 私はまた首を傾げてから、慎重に霖之助さんの下へ歩み寄った。何故慎重だったのかは、自分でも分からない。

 そして、今度は私自身の耳を、霖之助さんへ向けてみる。

 聞こえるのは、規則正しく一定間隔で吐かれる彼の呼吸の音のみ。
 ゆっくりと、カウンターの前に置かれた来客用の椅子へ腰掛ける。それから、彼の顔を覗き込む。
 その目は、閉じられていた。注視すれば、肩も小さく上下に揺れている。

・・・なるほど。そういうことか。

 何度も何度も心を読もうとしているのに、全く読めないのは。




 そして、念には念を入れて心の声を聞き取っていたわけである。が、結果は変わらない。

 ・・・客商売をしている身でありながら、来客を無視して眠りこけているというのはどういうことだろう。とも考えたが、起こすつもりは無かった。
 私が知らないだけで、普段からきっと色々と仕事をしていて疲れているのだろうし、急ぎの用も無いので別に起こす必要は無いと思ったからだ。
 決して、寝顔を観察していたいとか思ってはいない。全く。断じて。

 ・・・思ってはいないのだが、何もすることも無いので、カウンターに少しだけ身を乗り出し、その寝顔を覗き込む。

 ・・・あまり、可愛いとは言えない寝顔だった。
 よだれのひとつやふたつ垂らしていれば、くすくすと笑って、起きた時に笑い話にすることもできるが・・・その顔は、寝顔と呼ぶにはあまりにも整然としすぎている。分かりやすくいえば、普段思考に耽っている時の霖之助さんの姿と殆ど変わらない。
 まあ、彼らしいといえば彼らしいし、見ていて決して気分の悪い物でもない。
 ・・・眼鏡を外すと、印象が変わって見えたりしないだろうか。
 ・・・一度考え出すと、気になってしょうがない。多少のリスクは承知で、そっと眼鏡に手を伸ばす

『れ・・・む・・・』

 眼鏡まであと少し、というところで、私は手を止めた。
 ・・・声が聞こえたような気がしたからだ。
 もちろん、目の前の霖之助さんは口を開いてはいない。聞こえたのは・・・
 心の、声だ。

『・・・れい、む・・・』

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・

 私は、自分でも驚くほど冷静な、ゆっくりとした動作で手をひっこめた。
 なるほど。なるほど。へえ。なるほど。

 客・・・それも、上客の来店にも気付かず。霖之助さんは・・・いや、この男は・・・女の子の夢に現を抜かしているらしい。

 叩き起こしてやろう。と、腕をゆっくりと上げ、その手を握りしめる。

『その、茶葉は・・・だめ、だ。めったに・・・手に・・・』

 ・・・・・・・・。

 しかし、またゆっくりと腕を下ろした。
 私が想像していたような夢を見ているわけではないと容易に理解できたからだ。
 この人は、現実も夢の中も大して変わりはないらしい。夢でもわがままな少女に翻弄される霖之助さんを想像して、私は声を出さぬように笑った。

『魔理、さ・・・。いつも言って・・・。話、は・・・』

 今度は魔理沙に説教でもしているのか。心の声もどこか嘆いているように伝わってきて、私はまた笑みを浮かべた。

 ・・・実を言うと、私がこの店に訪れる頻度はかなり少ない。
 それは、地霊殿とこの店が離れているということももちろんあるし、わざわざこの店に来てまで手に入れたい物が少ないから、というのもある。
 しかし、霖之助さんは私のことを、確かに上客として扱ってくれる。それは、この店にはまともに商品の対価として金を払う人妖が殆ど訪れないからだ。と、彼は心の声で答えてくれた。
 そんな理由にせよ、私は、嬉しかった。私のことを全く嫌うことなく、上客として扱ってくれる彼の優しさが。
 ・・・例え、客以上の扱いは、決してしてくれないとしても。だ。

 そんな、私を上客として扱うほどにまともな客に恵まれていないから、霖之助さんはこんな夢を見ているのだろう。「まともに買い物をしない客」の夢を。いや、それはもはや客とすら呼べないのかもしれないが。夢の中でくらい幸せな客にめぐり合うべきだとも思う。

 まあ、こういう夢を観察するのも、私の知らない普段の霖之助さんの仕事を見ているようで面白い。・・・もちろんあくまで夢なので、それが本当に起こった出来事なのかどうかは分からないが。
 しかし・・・

『魔理・・・それは持っていっては・・・』

 私に届くこの生々しい声は、きっと彼が実際に体験したからこそである。と、私は半ば確信していた。

 霊夢と魔理沙。彼女たちの名前は、私も知っているし面識もある。というか、この店で会ったこともある。
 霖之助さんと彼女達との会話を聞くと、誰でも、気兼ねすることのないほど親しい仲であることが容易に推察できる。
 それは、私が心の声を聞いて答え合わせをしても、やはりそうであった。
 霖之助さんは二人の勝手な行動に振り回されつつも、それを心の底から嫌がるようなことは無い。もう諦めている・・・というよりも、まるでそれが日常であるかのような、穏やかな声だったのをよく覚えている。
 一方、霊夢と魔理沙の二人の声は・・・。

 ・・・っ。

 思い出したく、ない。

 私は頭を振り、あの二人の心の声を忘れようと務めた。
 霖之助さんに対する、あの二人の思い。
 それが・・・私には、怖い。私よりもずっと霖之助さんのことを知り、彼と多くの時間を過ごしている彼女たちの「想い」が。

『・・・さく、や。今日は・・・』

 また霖之助さんの声が聞こえたところで、我に返った。気づけば、肩が震えていた。
 頭を何回か振って、紅白の巫女と白黒の魔女のことは頭から振り払った。

 ・・・というか、また女の名前が。

『注文の意図が・・・読め・・・。もっと、具体・・・』

 思い悩むような声に、私はまた微笑を浮かべる。
 咲夜・・・。霖之助さんの心の声を呼んだ時、何回か彼の思考に上がった人物だ。
 少なくとも、私よりはこの店に古くから通っており、彼がはっきりと「上客」と呼ぶ数少ない人物であるはず。
 しかし、発想がやや飛んでいるというべきか、突拍子も無いことを言い出すというか・・・。そんな彼女の注文に悩まされることも少なくない、とも言っていた。
 夢の中でも、それは同じようだ。果たして、どんなことを言われているのやら。

 ・・・それにしても。以前から薄々とはわかっていたものの。大変な日々を過しているようだ。
 なんだか、少し楽しくなってきた。直接霖之助さんと会話をすることはできないが、飾り気の無い彼の日常をこうして覗くことができる。こんな機会は滅多に訪れるものではない。
 盗み聞きのようではあるが、普段から盗みっぱなしの私が今更気にするようなことでもない。

 それに。
 彼女たちとの差を、少しでも縮めたい。・・・そんな願いも、あった。

 ・・・しかしだ。

 夢に出てくるのが女の子ばかりというのは、どういうことだ。

 そんな些細ながらも地味に私にとっては重要な疑念が少しずつ加速している中。

『お空。前にも、おしえた・・・。この字は・・・』

 !?

 霖之助さんが呼んだ名前に、私は驚きを隠せず体が動いてしまい、椅子がガタッと音をたてた。
 起こしてしまったか?と冷や汗が流れたが、見た目にも心の声にも、目を覚ました様子は見られない。
 ほっ。と安堵の息を漏らしたが、すぐに彼が呼んだ名前について長考に入る。

 お空。確かに、彼は間違いなくそう言った。
 今更説明するまでもなく、お空・・・霊烏路空は私のペットだ。・・・確かに、最近何度か地上へ出かけることを許しはしたし、古臭い道具屋を見つけて、そこの店主に遊んでもらった。と嬉しそうに語ってはいた。その時は、純粋にお空の相手をしてくれた霖之助さんに感謝しただけだったのだが・・・。
 それにしたって。霖之助さんが夢に見るほど親しい仲だったとは・・・と、というかまた女の子の夢だし・・・!!

 お空の件をとりあえずは水に流し、わたしはそっぽを向き、霖之助さんに対するどうしようもない怒りを募らせた。

 本当。いい加減叩き起こしてやろうかしら。

 そんな時。

『さとり』

 私の中の、時間が止まった。


 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 そして時は動き出す。


 私は、ゆっくりと霖之助さんの顔に視線を移す。

 彼は・・・寝ていた。間違いなく。心の声は聞こえない。寝ているはずだ。そう、きっと、そうだ。
 じゃあ、今聞こえた声は。
 今聞こえた、名は。

『さとり、いらっしゃ・・・』

 また、だ。
 鼓動が明らかに早くな鳴っているのが自分でもわかる。呼吸も、意識しないと忘れてしまいそうなほどに詰まってしまっている。
 ただ。彼の心の声だけは聞き逃すまいと、全神経を集中させた。

『ああ・・・。君の・・・。いい子じゃ、ない・・・か』

 やはり、間違いない。
 私と。・・・そう、私と、話をしている。彼が。霖之助さんが・・・夢の中で。

『・・・いや。僕も、楽しい。・・・もちろん、きみと、話すのも・・・』

 顔の熱が、一気に高まってきた。心臓の高鳴りも、能力に支障をきたしてしまうのでは無いかと思うほどにやかましく鳴り続けている。

 私は、どんなことを言っているのだろう。私は、どんな顔をしているのだろう。

 聞こえるのは、霖之助さんの夢の中での発言だけで、彼が夢で聞いている私の声は一切聞こえてこない。
 それは、仕方の無いことだ。夢というのは酷く曖昧で、その人の夢の中での光景というものは、私の能力をもってしても完璧に読み取れる物ではない。こうして、霖之助さんの声が聞こえることだって珍しいことなのに。

『・・・その、商品・・・。気に入って、もらえたか・・・』

 ・・・どうやら。私の行動は普段となんら変わったものではないらしい。少しお空について話したあと、買い物といったところだろうか。霖之助さんの発言だけで容易に想像できるようなことで、ある意味安心できる。
 それでも、私を夢に見るぐらいに、霖之助さんが私を記憶にとどめていてくれているのは間違いない。
 それだけ・・・ただそれだけなのに。こんなに、嬉しいことは無い。
 幸せに浸りながら、私は霖之助さんの寝顔を見つめ続ける。

『・・・君、だけだ』

 ・・・・・・。

 今、なんて?

 私、だけ?

『・・・そうだ。僕に、とって・・・君だけ、なんだ』

 どくん。
 重く、大きな鼓動が、驚くほど体の中で響いた気がする。

 私だけ、とは・・・どういう、ことなのだろう。
 わからない。全然、わからない。

 ただ、「だけ」と言うからには、きっと・・・特別な、何かなんだ。
 私は、少しだけ、霖之助さんの顔に自らの顔を近づけた。

 その表情は、何も変わっていない。今日、この店に訪ねてきた時から。
 そして、こんなことをしたところで心の声がより細かく聞こえてくるわけでもない。
 でも・・・それでも、こうせずにはいられなかった。

『君は・・・僕にとって、ただ、一人の・・・』

 続く言葉に、私は、息を呑んだ。

 聞こえてきた、言葉は・・・





「ん。・・・さとり?」

 目を覚まして最初に飛び込んできたのは・・・目を丸くして、すぐ近くで僕の顔を見つめるさとりの姿だった。
 僕の声が聞こえたのか聞こえなかったのか。さとりは、目を丸くしたまま何も言わない。

 が。

「きゃあっ!?」

 顔を真っ赤に染め上げると、驚くほどの勢いで僕の顔から自らの顔を遠ざけた。そんなにあからさまにせずとも。多少は傷つく。

「ああ。すまない。最近、修理の仕事が続いてね。営業中なのに寝てしまった」

 目をゆっくりとこすりながら言うが、さとりは相変わらず顔を赤くしたままだ。何故か、椅子に座るその姿勢が異常なほど綺麗な気がする。

「もしかして、起きるまで待ってくれていたのかい? それとも、今来たところかい?」

「え。あ、えっと。ちょ、ちょっと、前に・・・」

 酷く言葉がおぼつかないように見える。何かあったのだろうか。
 僕のこんな疑問も、彼女はしっかりと読めているはずだが・・・真っ赤な顔を少し下に傾けて、何も答えない。
 普段であれば、僕の思うこと思うことを口に出して僕をからかう彼女だというのに。どうしたのだろう。

「まあ、なんにせよみっともない所を晒してしまったね。今日はどんな商品を・・・」

「夢」

「・・・夢?」

 僕が首を傾げると、さとりは顔を上げた。うむ。相変わらず赤い。
 その目は、異様に力強い。まるで、僕に何か問い詰めたいことでもあるかのようだ。

「夢、見てたでしょ! どんな夢!?」

「・・・はあ?」

 どうやら、本当に問い詰めたかったようだ。
 ・・・夢? まあ、寝ていたのだから、見ていたのかもしれないな。

「見てたのよ! どんな夢だったの!!」

「いや。そんなことを言われても。夢なんて、覚えていたり覚えていなかったり、だろう? 今回の場合は、後者だ」

「よく思い出して!! しっかりと!!」

 ・・・なんだ。この異様な迫力は。僕は、珍しいさとりの強気な姿勢に少したじろいでしまった。
 このまま思い出せない、と繰り返しても彼女は納得しそうにない。そう思ったので、とりあえず夢を思い出す努力をすることにした。

 ・・・・・・・・・・

 ・・・いや。そんなに、すぐには。

「もっと頑張って!!」

「だ、だいたいなんなんだ。そういうことを聞くということは、僕が寝ている間に夢の内容を見ることができたんじゃないのか?」

「う。い、いや・・・全部は。それに、いい所で・・・」

「は?」

「と、とにかく頑張ってよ!!」

 ・・・物腰柔らかで、接しやすい普段の彼女の姿はどこへやら。

 はあ。とため息を一度ついてから、僕はまた夢を思い出す作業へと戻った。

 夢。夢・・・。そもそも、僕は普段から多く夢を見る方ではない。だから、夢の思い出し方、のようなものも殆ど忘れてしまっている。
 夢というものは、人の記憶を元に形成される現象で、眠りが浅い時に人は夢を見ると言われている。夢、という言葉が生まれたのは、今から・・・

「そういうのはいいから」

 ・・・。寂しいな。

 うーむ。なんだろう。確かに、不安定な姿勢で寝ていたから眠りが浅く、夢を見た可能性は十分にあると思う。
 しかし、僕はとくに寝苦しかったという印象は無いし、姿勢も寝始めと殆ど崩れていなかった・・・と思う。なにせ無意識で寝てしまったので確信はできないが。
 そういう状況から考えると、少なくとも悪夢では無かったと思う。だからといって、いい夢とも・・・

「いい夢だったのね!」

「いや。君に対してこんな言葉を言う日が来るとは思わなかったが。人の話は最後まで聞きなさい」

 呆れたようにため息をつく。彼女の目はやたらと輝き始めた。
 いったい、なんなのだ。
 元はといえば、営業中に寝ていた僕に問題があるのかもしれないが。

 ・・・む。営業中。

「何か思い出したの!?」

「何故さっきから君はそんなに必死なんだ。いや・・・夢の中でも、なんとなくここに座っていたような気がしてね」

「そうそう!」

「・・・なんだい。答え合わせかい? 今僕達がしているのは」

「細かいことはいいから! その後は!?」

 全然細かくは無いと思うのだが。
 まあいい。確かに、僕は夢の中でここに座っていた。そこで、何をやっていたか。

 ・・・・・・・。

 僕としてはただ沈黙して考え込んでいるだけなのだが、彼女から見ると僕の頭の中はどう読み取れているのだろう。

「余計なことは考えないの」

 うむ。駄目だ。まともな会話はできそうにもない。

 ・・・・・・・・。

 ああ。

「そういえば、接客をしていたね」

「そうよ! その調子!!」

「・・・。思い出せるのは、ここまでだな」

 目を輝かせて嬉しそうにいう彼女にはかなり言いづらい言葉ではあったが、嘘をつくこともできない。僕はため息混じりにそう伝えた。

「な、何でよ。もう少し頑張ってよ!」

「夢を思い出す、というのははがゆいことだし、とても疲れるんだよ。このままだと肉体労働よりも体が疲れてしまいそうだ。別に気にすることでも無いだろう? それとも、僕が夢の中で、君に何か言っていたのかい?」

 僕が呆れたように言うと、さとりは何故か顔を真っ赤にしてうつむいてしまった。
 まさか、図星だったのか?

「ち、違うわよ!」

 それならば、いいのだが。

「さて。さとり。今日はどんな品を見に来たのかな?」

 話も終わったところで、普段の業務にはいろうとする。起きて早々無理を言われて疲れてしまいはしたが。
 が、そんな僕を、さとりはじろっと睨みつけた。2つの目、そして第3の目全てを使って。

「・・・結構よ!!」

「は?」

「帰るわ!」

 がたん!と乱暴に席を立ち。・・・しかしそのせいで大きく動いてしまった椅子は律儀に直してから、さとりはすぐに店を出ていってしまった。僕が何かを言う間も無く。

「・・・なんだったんだ?」

 そんなに眠っていたのが気に障ったのだろうか。まあ、営業中に寝てしまったのは完全に僕に非があるし・・・。買い物に来てみれば主人は寝ていて、客である自分が放っていられた。と考えれば仕方ないのかもしれない。

 ・・・それにしては、ずいぶん、僕の夢を気にしていたな。

「・・・夢。な」

 さとりから直接言質を取ったわけではないが、彼女は心を読むことのできる、まさにさとり妖怪だ。あの能力にかかれば、人や妖怪の見ている夢を読み取ることも、きっと不可能ではないのだろう。
 彼女の様子が明らかにおかしかったのを考えると、原因は夢にあるのか?

 ・・・ふむ。覚えている夢、覚えてない夢があるとはいえ、普段から覗かれたら恨みを買うような夢を見ていた覚えはないのだが。
 ・・・買う?

「あ」

 思い出した。そうだ。あの夢の、殆ど全てを。

 僕は、間違いなくこの店で普段通りに接客をしていた。
 霊夢にお茶を持って行かれてしまったり、魔理沙に商品を持って行かれてしまったり、咲夜と掴みどころのない会話をして疲れたり・・・。ああ。あと、お空も出てきたな。彼女には本を幾つか読んであげた。
 思い出せないわけだ。日常と殆ど変わらないのだから。まるで、僕の夢が普段の出来事を脳に書き込んでいただけのようだ。

 そして。

 さとりも、登場した。

 彼女は、それを知っていたから、様子がおかしかったのだろうか。

 店に訪れた彼女とは、特段変わった会話は交わさなかった。と、思う。お空のことについて話したり、商品の紹介をしたり。本当に、本当に他愛の無い会話だったはずだ。

 そして。

『僕にとって、君だけだよ』

 そうだ。そんなことを、思った。
 その先は・・・。覚えていない。しかし、何を言おうとしていたかはわかる。
 なるほど。僕はここで目が覚めたのか。さとりが気になってしまったのも仕方がないかもしれない。あそこまで機嫌を損ねる理由はわからないが。

 ・・・今度、彼女がこの店を訪ねてきた時、教えてあげよう。僕の夢で、僕が言いかけたあの言葉を。

「君は、僕にとってただ一人の・・・」

 こんな、感謝の言葉を。

「『まともな客』だ」




 とある、昼下がりの香霖堂。

 彼が存在する場所。そこが・・・現であろうが、夢であろうが。

 霖之助は、霖之助であった。













 あとがき

 いかがだったでしょうか。
 さと霖小説は、霖之助のカップリング作品の中でも、比較的シリアスな物が多い(印象がある)のですが、俺はシリアスな小説を書くと精神が病んでくるので、なるべく楽しい小説を目指して書いてみました。
 さとりの口調は丁寧口調にするべきだったのかどうなのか。まあ、ある程度親しい仲、という感じで見てもらえれば。

 本当に東方小説ばっかり書いていますが、リクエスト小説は頑張るので!本当に頑張りますので!! 見捨てないでください!!(ぇ







 ↓にコメント返信です!!









 コメント返信です! 文字を反転させてお読みください!




>クリスタルさんへ

 色々と嬉しいコメントありがとうございますw
 俺の得体のしれないパワー・・・エロパワーとか、そういうの?(ぇ
 基本的にゲームと下ネタしか言っていない気がするのですが、やはり世間の人もゲームと下ネタが大好きということですかね・・・(待
 疲れを癒すような・・・。本当に、そんな小説が書ければなあ。といつも思っています。今後に書く小説でそのような物が書けるかどうか分かりませんが、精一杯頑張らせていただこうと思います!




>千亜希さんへ

 とりあえず、pixivにメッセージを送りましたので、そちらをご覧くださいw



 コメントいつも感謝です!元気が出ます! では!

 
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