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銀の働き部屋

管理人銀河の、日記兼テキストサイトです。取り扱うジャンルは主にヤングガンガン連載のWORKING!!になると思います。最近は東方の霖之助小説を書くのにも夢中。どうかよろしくお願いします。リンクはフリーです。感想は常に受付中です!もらえたら泣いて喜びます

素直な気持ち 相馬×山田



 えー。個人的にそこそこ好きな相馬×山田作品です。何か相馬さんが無駄すぎるほどにクール(?)です。
 俺の作品はほぼ全てが男性視点で進むのでご了承下さい。理由は、女性の視点が分からないからです。

 では、相馬×山田 『素直な気持ち』です。甘さ成分控えめです。













『山田は相馬さんの事が好きですよ!?』



 頭から離れないその言葉。
 ふと言われた、突然の言葉。

 そりゃあ、彼女は話の中に入りたくてつい口走って言っただけだろうけど。
 何で・・・・


 何でそんな言葉が、俺を揺らす?


 今まで言葉だけで動揺することなんてあまり無かったのに。
 暴力には屈したかもしれない。けれども、言葉じゃ負けない自信が俺にはあった。

 小鳥遊君にも、種島さんにも・・・暴力を除けば佐藤君にも。

 なのに、


『かわいそうな相馬さん・・・』


 なのに、


『妹と思って何でも言って下さい・・・』


 何で揺れる?

 涙なんて何回も見てきた。
 小鳥遊君みたいに、子どもの頃の写真がみんなにバレそうになった時とか・・・俺を殴った後の伊波さん。店長の事でムキのなった時の轟さん。

 なのに・・・





 何であの涙は、こんなにも届くんだ?





「相馬。サラダ一丁上がり」

「はい。ありがとう佐藤君」

 何時も通りの、なんら変わり無いワグナリアのキッチン。
 包丁の音と水の音が絶えない・・・何所の物とも変わりの無いフロア。
 俺はそこで、佐藤君が仕上げたサラダを受け取った。

「・・・」

「どうしたの佐藤君?」

「・・・文句を言わないのが珍しいと思っただけだ」

 彼はそう呟いてから、また次の仕事に取り掛かった。

 俺自身は、自分の多少の変化に少し驚いていた。
 ふむ。としばらく考えてから、話し掛ける。

「ねえ佐藤君?」

「何だ」

「俺の笑顔、何時も通り?」

「ああ。胡散臭さ100%だ」

「良かった」

 そんな会話も、いつもと同じだ。

 俺は笑顔で問うけど、佐藤君は軽くあしらう様に応えるだけ。
 何時もと変わらない。この場所、この空気。

 でも、俺は少し違うらしい。
 自分じゃよく分からない。でも、佐藤君が感じ取った僅かな変化。

 俺はどうなっているんだろう?

「ねえ佐藤君。俺が文句を言わないのってそんなにおかしい?」

「おかしいな。何が一切れ足りない、何が2g少ない。・・・うんざりだぜ、毎日」

「文句を言わなくなっていいという考えは起きないの?」

「気持ち悪い」

「そうだよねえ」

 どうやら佐藤君の話を聞く限りは、俺の様子ははっきりとおかしいようだ。
 何故だろう? 昨日も普通に寝たし、朝にも変わったことは無かった。
 でも・・・昨日の俺と、今の俺。何かが違う。
 文句を言わなかっただけ・・・それだけなら、いいんだけどな。

「相馬さん!」

 突然聞こえた元気で明るい声に、気付けば俯けがちだった顔を上げた。
 立っていたのは、山田さんだった。

「料理運びました!」

「ありがとう。じゃあ、次はこれをお願いできるかな?」

「はい! 山田にお任せです!」

 満面の笑みで皿を受け取り、走っていく彼女。
 俺はその姿を眺める。本当に、子どものような走り方と話し方。
 その姿に半分見とれていると、

「違うんだな」

 佐藤君がそう呟いた。

「・・・今度は何が?」

 また佐藤君に向けて、俺は無表情で尋ねた。
 自分で自分の事が分からない。それは、何でも知りたいと思う俺にとって悔しいと言える感情だ。そのせいか少し態度も鋭くなってしまった。
 佐藤君は僕を見ないでそのままの体勢で答えた。

「嫌味をいう時の顔と、今のアイツを見ていた顔だ」

「・・・は?」

 思わずそう返してしまった。
 佐藤君はまたサラダの皿を仕上げ、丁度戻ってきた八千代さんに渡す。

「言ったまんまの意味だ。普通の笑顔だ。・・・八千代みたいな、な」

 そう言ってから、佐藤君は休憩時間のために休憩室へと向かって歩いて行った。
 
俺はそのままキッチンに立ち尽くしていた。
 客の入りのピークが過ぎたのか、店内の声や音は気づけばほとんど消えかけている。

 ・・・笑顔? 俺が、笑顔? いつものことじゃないか。
 自分で言うのもなんだけど、俺は大体笑顔だ。
 笑顔が、一番相手が油断する表情だ。だから俺はそこに付け入る。情報を、集める。

 でも、さっきの佐藤君の話は・・・


『普通の笑顔だ』


 油断をしていたのは、俺なのか?


「相馬さん!」

 その言葉に、ほんの僅かだが体を震わせた。
 皿を運び終わり、両手いっぱいに回収した皿の乗ったお盆を乗せながら山田さんがよろよろと歩いてきていた。
 顔は笑顔だったが、腕は震えているし、今にも倒れそう・・・

「きゃっ!」

 言っている側から山田さんが躓いて、両手から皿が大量に滑り落ちて行く。

 体が無意識に動いた。

 聞こえてきたのは、床に叩き付けられた皿が何枚も割れて行く音。
 破片がキッチン全体へと広がり、からからといった金属音がまだ響き続けている。


 そして、


 腕に納まっているのは、小さな彼女の体だった。


「・・・大丈夫? 山田さん」

 俺の問いかけに山田さんは答えなかった。
 その沈黙の真意は読めなかったけど、次の瞬間から恥ずかしさが一気に襲い掛かってきた。
 慌てて密着した体を山田さんから離す。山田さんは依然沈黙を保っていて、顔を伏せていた。

「あ、あの、山田さん? ごめんねいきなり」

 焦りながら下らない弁解をする。ますます自分らしくない。

 やっぱり、俺・・・おかしい。
 何故だ。分からない。わけの分からない感情が、頭の中を駆け巡って行くのを実感できる。
 今まで、こんな事は一度だって無かった。俺は、狂わなかった。

 何で、山田さんはこんなにも俺を狂わせる?

「・・・皿・・・」

「・・・え?」

 ずっと沈黙を保っていた山田さんが突然喋りだし、俺は間抜けな声をあげた。
 彼女を見ると、彼女は床に散らばった無数の皿の欠片を見ながら体全体を震わせている。

「また割っちゃいました・・・! 相馬さん! どうしましょう!」

「ど、どうしましょうって?」

 わけも分からずオウム返しをする俺をうるんだ瞳で見ながら、彼女はあたふたと腕を上下させている。

「ま、また小鳥遊さんに怒られます!! ど、どうすればいいですか!?」

「お、俺に聞かないでよ!」

 ・・・なんてことだ。
 俺が一人で真剣に悩んでいる時、彼女は皿の心配をしていた。
 途端に悩んでいたのが馬鹿らしくなり、俺は声を出して笑ってしまう。

「な、何で笑うんですかあ・・・! 相馬さんお願いです! 小鳥遊さんには黙っていてください!」

「はは、どうしようかなあ」

「い、意地悪言わないで下さい! 何でもしますからお願いです!」

 その言葉に、俺は心の中でニヤリとほくそ笑んだ。
 少し考えてから、

「本当に何でもしてくれるの?」

「は、はい!」

 彼女の顔は、必死そのものだ。
 表裏なんか存在しない。彼女の中にあるのは、皿を割ったことをどうすればいいかという考えだけ。
 
 今更気付いた。
 だから、彼女は俺を狂わせるんだ。

「そうだなあ・・・どうしようかな」

 俺は表裏がハッキリと分かれているから、そのような正直な行動についていけてないんだ。表か裏のどちらかが。
 だから、彼女の言葉をどこかで否定していたんだ。
 彼女の、素直な感情を。

「・・・山田さんは何もしなくていいんだけど・・・許可が欲しいな」

「な、何ですか!?」

 昨日までの俺は、裏。つまり・・・素直な感情を否定する闇の心。
 昨日と今日の俺の違いは、裏から表へと変わったからだ。
 感情を素直に受け止められる表に。

 ・・・いや、正しくは、


「葵さん・・・。そう呼んでも、いいかな?」


 僕を変えたのは彼女なんだ。
 彼女が僕の表と裏を自由に切り替えることができる。
 彼女の真っ直ぐな感情が。本来、僕が苦手とするはずのその感情が。

 その感情を受け止められるように僕を変えたのは、彼女の言葉。


「・・・はい! もちろんいいですよ!」


 彼女のこの笑顔。
 俺は微笑んだ。
 佐藤君曰く、『普通の笑顔』で。


「じゃあ、これは二人きりの秘密だね。葵さん」

「はい! 今度こそ、秘密です!」


 頑張ろう

 彼女の感情を受け入れられるように


 彼女の笑顔を絶やさぬように


 俺も君の隣で笑うから


 もちろん、『普通の笑顔』で、ね?







 あとがき

 はい。やはり個人的にさりげなくも印象的な台詞から初めてみました。
 かわい相馬さんという名言が生まれた時から急激にこの二人が気になりました。この二人の組み合わせはほのぼのでいいと思います。そういうカップリングは結構好きです。
 まあ、WORKING!!は基本的にほのぼのなカップリングが多いですかね。小鳥遊×伊波は・・・うん、まあ殺ぼの?(殺伐+ほのぼの)
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コメント

一応報告しとこうかと思いまして…
なんかこの作品が、
2ちゃんねるのエロパロ板に載ってました。

著作権侵害?ですよね…
いつも好きでこのサイトを見ていたので残念でした。

余談ですが私は相馬×山田が大好きです!
2010-06-09 Wed 15:28 | URL | houki [ 編集 ]

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