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銀の働き部屋

管理人銀河の、日記兼テキストサイトです。取り扱うジャンルは主にヤングガンガン連載のWORKING!!になると思います。最近は東方の霖之助小説を書くのにも夢中。どうかよろしくお願いします。リンクはフリーです。感想は常に受付中です!もらえたら泣いて喜びます

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静寂に包まれて 小鳥遊×伊波 50000Hit記念リクエスト小説


 長らくお待たせいたしました。

 リクエスト小説更新します!!!!!!!!


 いやー。やっとこさ完成しました。長かったです。申し訳ありませんでした。

 まあ例のごとく、書く時間は割とたくさんあったのですが、なかなか構成というかオチというかが見当たらずでして。ここまでダラダラと時間がかかってしまいました。

 それでも、なんとか完成までこぎつけたので早速更新させていただこうと思います!!


 ま。その前に軽く雑記をば。こちらで雑記はしばらく書いてないですからね。


 つい先日、遂に3DSを購入いたしました。購入した理由としては、今すぐ超やりたいソフトがあったわけではなく、「プロジェクトクロスゾーン」という、バンナム・セガ・カプコンの様々なゲーム作品が入り交じって戦うゲームが3DSで発売されるとのことでしたので、それが欲しくて欲しくてしょうがなく、お金に少し余裕のある今のうちに購入した次第です。
 流石に本体だけでは寂しいので、ソフトは「バイオハザード リベレーションズ」を購入しました。正直ホラーゲームは大の苦手なんですが、面白い面白い、と評判なので購入してみた所存です。まあ、前評判通り本当に面白かったです。バイオ4から失われつつあったホラーの雰囲気がムンムンで。何回叫んだことか分からない、という程度にはビビらせていただきました。
 アクションゲームとしてもホラーゲームとしても優秀な良作だと思いました。皆様もホラーゲームが苦手でないのならばどうですか(謎の宣伝


 さて、もっと細かく書きたいのですが、Twitterで色々書きすぎて雑記に書くべきことが思い出せないのでこんくらいにしておきますか。

 
 さあ。更新しましょう。

 今回更新するのは、三月うさぎさんがリクエストしてくださった、小鳥遊×伊波小説ですね。
 リクエストのシチュエーション内容は、
 「小鳥遊×伊波で図書館での勉強会デートでお願いします!!」
 とのことでしたので、そのような内容で書かせていただきました。

 一応要望通り、キャラの視点が入れ替わる、というのも意識しながら書いたつもりです。

 最初に細かい注意点を上げますと、作品内の季節が冬になっていて、季節感がかなり零なのにご注意ください。

 甘さはほとんどありません。
 ・・・あ。デート、って言うくらいだから交際してるって設定の方が良かったのか?
 ・・・まあ、どうぞ見てやってください(

 それでは、小鳥遊×伊波で、タイトルは「静寂に包まれて」。続きからでどうぞ。











 ああ。何故こうまで、この場所は居心地が良いのだろうか。
 今までに何回も訪れたことはあるし、何回と似たような事も考えてきたのだが。
 何回訪れようと、何回考えようと。この思いが変わることは無い。

 それほどに、図書館という場所は居心地がいい場所であった。

「暖かいですね」

 図書館に入ってすぐ、率直な感想を、隣を歩く少女へと伝えた。
 別に俺は本が特別好きなわけではない。居心地がいい・・・というのは、言葉通りの意味だ。
 図書館という場は、1年を通して人間が過ごしやすい気温に設定されている。夏は涼しく、冬は暖かい。極寒の北海道の図書館でも、それは変わらないのであった。

「そうだね」

 少女・・・伊波まひるは、穏やかな笑顔を浮かべながら答えた。その笑顔は、寒さから開放された喜びから浮かぶものであろう。事実、俺自身も先程の寒さが嘘のように思えて、すっかりと顔が緩みきっている。

 図書館に足を踏み入れてすぐに、周囲を見渡す。が、人の姿は殆ど見受けられなかった。その理由は確実には分からないが、バイト終わりにこの場所へ来たため、閉館時間までそう間もないことなどが候補としてあげられると思われる。
 なんにせよ、人が多く混雑しているよりは、ここに来た目的も果たしやすい。俺と伊波さんは、図書館の適当な空きテーブルを目指して歩き出す。

 テーブルは殆どが空いていて、どこに座ろうか。などとは一切考える必要も無かったのだが、せっかくなので人気の無い図書館の中でも更に目立たない、フロアの隅近くのテーブルを選び、俺と伊波さんは椅子へと腰を下ろした。
 すぐさま鞄から、筆記用具、参考書などを取り出し、テーブルの上へと広げる。その行動は俺だけではなく、伊波さんも同様だ。

「・・・それじゃ、始めましょうか」

「はい。お願いします」

 俺が言うと、伊波さんが軽く頭を下げる。

 こうして、俺と伊波さんの、図書館での勉強会は幕を開けた。




 簡単にこうなった経緯を話しておこうと思う。・・・とはいっても、本当に大した事情があったわけでもなく、文字通り「簡単に」話せることなのだが。

 俺と伊波さんが、バイトの休憩時間等を利用して、時々勉強会を行う事は特に珍しいことではないし、バイトのメンバーであるならば全員が知っているようなことである。

 伊波さんが男性教師が担当する授業を殆ど聞くことができないが為の勉強会であり、今までのテストなどは休憩時間中の勉強で事足りていたのだが、今回はテストの範囲がかなり広いらしく、休憩時間だけでは勉強が足りないかもしれない。と伊波さんが言い出したのが、全ての原因だ。

 何十発と俺を殴っている分くらい、男性に対する免疫もついてもらいたいものなのだが。と文句を言いたくなったが、今更このような文句を言っても伊波さんのテストの点数が上がるわけではないので、その辺りの問題解決は後回しにすることにした。
 なんにせよ、勉強だ。というわけで俺たちは「バイトが終わった後、図書館で勉強会をして足りない勉強を補おう」という結論に行き着いた。
 図書館を選んだことに、特に大きな理由は無い。図書館は空調も効いているし静かだし、勉強には最適な空間だろう。俺の家で勉強をしようとすると、梢姉さん辺りが非常に面倒くさいことになりそうな気がするし、伊波さんの家は色々と論外だ。

 とまあ、これだけの理由だ。特に複雑でもないし、面倒くさくも無い。俺自身としても、別に「自由な時間を無駄にすることになるなんて・・・」などといったことは考えていない。伊波さんの勉強に付き合うのは今に始まったことではないし、自分の勉強の復習にもなる。と考えると、なかなか伊波さんとの勉強会も悪くは無い。


 そして現在。俺は伊波さんへと勉強の指示を飛ばしていた。

「・・・それじゃ、教科書の102ページから、でいいんでしたっけ?」

「はい・・・」

 教科書を開きながら伊波さんに確認を取ると、伊波さんは少し沈んだ声で返事をする。彼女と勉強会をする時、彼女はいつもこのようなテンションだ。以前に何故なのか尋ねてみたことがあるのだが、なんでも「年下に勉強を教わるのが情けない」とのことらしい。俺に言わせてみれば「今更何を」の一言に尽きる。そもそもバイトだって女性客にしかまともに接客できず半人前なのに。
 まあ、気持ちが全く分からないわけでも無かったので、そのことに関してねちねちと文句を言うことは無い。そんなことを言うくらいだったら、素直に勉強を進めた方がよほど効率的だ。

「じゃあ、まずは自分で訳してみてください。分からない所あったら聞いてください。俺は俺で、要点とかまとめておきます」

「う、うん」

 勉強する教科は古文。俺は参考書の訳してもらいたい部分に印を付け、伊波さんに渡す。とはいっても、伊波さんは例の病気があるので、手渡しではなく、テーブルの上に参考書を置き、軽く滑らせるようにして伊波さんの前へと運ぶ。傍から見れば、いったいどんな複雑な事情を持っているのだろうか。と思われても仕方ないと思うが、俺も命がかかっているのでしょうがない。というより、複雑な事情、と言えば複雑な事情だ。

 伊波さんが、参考書を睨みながらノートへと古文の訳を書き始める。その様子を、俺はしばらく傍観する。
 俺は別に急いで勉強をしなければならないことは無いし、俺がやらなければならない要点のまとめも、伊波さんが指定した部分を訳し終わるまでの時間と比べると大した時間がかかるわけでもない。だから、俺は傍観する。特に意味は無く。特に理由も無く。

 参考書を、いかにも苦戦しながら見つめている伊波さんは、滑稽と言えば滑稽だった。曲がりなりにも一生懸命勉強をしようとしている人に対してそのような事を思うのはあまりにも失礼なことであると思うし、万が一口に出そうものならば鉄拳が飛んでくることも容易に推測ができる。

 だが、滑稽であることは、必ずしも悪印象であるとは限らない。
 そのことを、俺は伊波さんに教えられた。

 伊波さんとバイトで出会ってから、今に至るまで。それなりに色々なことがあったと思う。
 その中で、伊波さんがどのような人物であるのか。ということも・・・あくまで他人である俺からの視点ではあるが、分かってきているつもりだ。

 彼女は、どんなことにも一生懸命な人間である。
 それは、バイトだけではない。今やっている勉強に対してでもあるし、自身の男嫌いという病気によって起こる様々な弊害。それら全てに、彼女は全力で臨んでいる。
 もちろん、それは良い結果ばかりを生み出すとは限らない。その一生懸命さが空回りすることもあるし、余計な騒ぎを起こすことだってある。特に、彼女の場合はそれが顕著だ。

 だが、俺は彼女のような人間に、たまに憧れにも似た思いを馳せることがある。それに気づいたのも、随分と最近の事だ。

 バイトを始めるまでの俺の日常。
朝起きて、家事をして、学校へ行って、帰って、家事をして、寝る。そのようなローテーションを、ただひたすらに毎日繰り返していただけだった。
 別に無意味な日々では無かったと思う。見ての通りハードな生活で、暇を持て余していたわけでも無かった。

 でも「一生懸命」からは遠かった。

 自分が置かれた現状に、日々文句を言いながら毎日を生きていた。

 部活もしない。

 勉学にも励まない。

 小さい物収集という趣味はとても充実していたが、それが半ば現実逃避であることは、俺自身も気がついていた。実際、バイトを始めた理由も似たようなものだから。

 そんな俺にとって、伊波さんは、とても新鮮な存在だった。

 いつもいつも顔を赤くして。いつもいつも大声で。いやでも彼女に注目せざるを得ないような・・・この言葉には悪い意味も当然含まれている。とりあえず、そんな存在だと思った。

 彼女のようになりたい。とは、夢にも思わない。

 でも。

 彼女から目を離せなくなっている自分がいるのも、間違いのない事実だった。


「・・・小鳥遊君?」

「え。あ、はい」

「訳・・・終わったけど。どうしたの?」

「いや。なんでもないですよ」

 そんなことを考えている内に、随分な時間が経過していたようだ。俺は恥ずかしさで顔が熱くなるのを感じたが、鈍感な伊波さんがそれに気づくはずも無く。伊波さんからノートを受け取り、見直しを始めた。





 小鳥遊君。疲れてるのかな・・・

 私が訳したノートを確認しながら、ところどころにチェックをしている小鳥遊君を黙って私は見つめていた。
 まあ、言われたことをやって、それの添削中なので当然やることもなく、小鳥遊君を見るくらいしかやることが無いのだから、何ら不自然なことではない。
 けれども、じっと小鳥遊君を見つめられる。彼と一緒に勉強をしている時に訪れるこの時間が、私は大好きだった。

 バイトをしている時では、このように小鳥遊君を見つめるという行為は難しい。そんな所を見られてしまっては「真面目に働け」と叱責を受けてしまう。
 休憩時間が一緒になる時はたまにあるのだが、その時は小鳥遊君の注意が一点に注がれるということが少ないから、直視は難しい。いや、できるのかもしれないけど、私が恥ずかしい。

 小鳥遊君は、どんな小鳥遊君も大好きだけど、この時の小鳥遊君はより愛おしい。
 私が頼んでいることとはいえ、この時の小鳥遊君は、私のために勉強を見てくれているんだ。と思えるからだ。
 繰り返すようだが、私が頼んでいることだし、もしかしたら小鳥遊君も面倒なのを我慢しているのかもしれない。それでも付き合ってくれる小鳥遊君は、やっぱり優しいんだ。と、更に好きになる。

 しかし、どこかぼーっとしたような小鳥遊君を見ていると、不安になってくる。
 慣れている。と彼は笑って言うけれど。毎日の大量の家事はそれなりに疲労も溜まるだろうし、その上毎日アルバイト。更に成績を落とさないように、最低限の勉強をしなければならない時もあるだろう。ましてや、私がテスト期間であるということは、小鳥遊君の学校でもテストが遠くないということだ。

 常人が、このような状況におかれて、不満を全く感じないということが有り得るだろうか。私の中の常識では、考えにくい。

(・・・無理、してないといいけど)

 勉強を教えてくれる頼もしい人ではあるけれど、歳は私よりも下だ。やりたいこともそれなりにあるだろうし、16歳という若さにこの労働量はあまりにも酷な気がする。
 そんな彼の負担を更に増加させる自分を、心底情けなく思う。それは今に始まったことではなく、常日頃思っていることなのだが。

 ・・・小鳥遊君は。やりたいことって、あるのかな。

「ねえ。小鳥遊君」

「はい?」

 真剣な眼差しで添削をしていた小鳥遊君は、私の呼びかけにすぐに応え、顔を上げてくれた。

「・・・小鳥遊君には、やりたいこと、ってある?」




 伊波さんの突然の問いの真意が読めず、俺はしばらく何も言うことができなかった。
 しかし、俺がそのような顔をしていると、すぐに伊波さんが申し訳なさそうな表情を浮かべてしまうので、

「やりたいこと・・・ってのは、将来の夢、ってことですか?」

 とりあえずそう返事をすると、伊波さんが安堵したのが見るだけで理解できた。

「あ。・・・うん。そういうこと・・・なのかな?」

 俺の言葉に伊波さんは歯切れ悪く答える。たぶん、伊波さんはもっと漠然とした気持ちで俺へと問いかけたのだろう。
 勉強中ですから。と口を閉ざすのは簡単だが、時間に余裕もあるし、そこまで長引く話でもないだろう。と俺は思考に耽った。
 夢・・・。夢か。

「・・・小学校の先生、とか?」

「うわあ」

「うわあって何ですか!!!」

 あまりにも失礼な顔と言葉に腹を立てて、ついつい大声が出てしまった。
 俺は慌てて周囲を見渡す。幸い、視界に俺と伊波さん以外の人影は見当たらない。
 ふう。と安堵のため息をついてから、俺はきっ、と正面の伊波さんを睨みつける。

「どういうことですか。今の反応」

「え。いや・・・立派な夢だとは思うんだけど。その。小鳥遊君だと・・・ちょっと・・・」

「俺だと、ってどういうことですか・・・!!」

 不快な感情を隠そうともせず、俺は伊波さんを睨みつける。伊波さんの表情はというと、申し訳なさそうでもあるが、若干可哀想な目で見られている気もする。不快だ。どこまでも不快だ。

「いや。悪いってわけじゃないんだよ。・・・小鳥遊君は子どもに好かれるから、いい先生になれるんじゃないかな」

「さっきの顔の後にそんなことを言われて素直に受け止められるわけないでしょう・・・」

「ほ、本当だよ!ほら。うちのレストランで預かった迷子の子とか。小鳥遊君にすごくなついてたし」

「・・・まあ。あの子は本当にいい子ですよね」

 まだモヤモヤした感情がなくなったわけではないが、伊波さんの話す少女の事を思い出すと心も多少和らいだ。

「・・・そう言う伊波さんの夢は、なんなんですか」

「え?」

「俺にだけ聞いて、伊波さんが答えない・・・ってのはあんまりでしょう」

 多少威圧的に聞くと、その返しを予想していなかったのか、伊波さんは慌てて自分の夢について考え始めた。この人はなんというか、年がら年中せわしないな。と、いつも通りの彼女に安心感を覚える。

「・・・あ。・・・図書館の司書・・・とか?」

「・・・あー。なるほど」

「な、納得?するんだ・・・」

 小さく頷く俺に、伊波さんは困惑したように言葉をかける。
 予想していたわけではなかったが、伊波さんが図書館の受付に座っている姿を想像してみると、なかなかにしっくりと来る構図に見えた。

「伊波さんは、読書が好きですからね。悪くないんじゃないですか?」

「・・・そ、そうかな」

 表も裏も無い素直な言葉を贈ると、伊波さんは思っていたよりもずっと喜んでくれたらしく、頬を染めながら微笑んだ。
 可愛いな。と素直に思ってしまった自分に、頭が痛くなる。

「・・・でも」

 途端に、伊波さんの声から活気がなくなったのが分かった。

「・・・私には、無理だよね」

 乾いた笑いを浮かべる伊波さんの顔は、これ以上はない、という程に痛々しい物に見えた。



「・・・どうして、そう思うんですか?」

 そう私に尋ねる小鳥遊君の顔から、その感情を読み取ることはできなかった。
 それでも、私は続けた。

「だって、私、男嫌いだから。・・・図書館って、色々な人が来るし。当然、男の人だって」

 笑い話としてではなく。だからといって悲しそうでも無く。あくまで自嘲的に、私は言葉を紡いだ。
 小鳥遊君は、特に表情を変えることもなく私の話を聞いてくれていた。

「・・・私にできることって、何なんだろう」

 俯きがちに。後半は消え入りそうな声で。呟いた。

 しかし直後、自分が完全に欝に入ってしまっていたことに気づき、私は顔を赤くした。

「あ、いや!なんでもないの!ごめんね!急に変なこと言って・・・」

「できることが多ければいいってもんじゃないでしょう」

 真っ赤な顔で謝罪の言葉を述べていると、小鳥遊君がそのように私の言葉を遮った。

「・・・え?」

「確かに、伊波さんの病気は想像以上にやっかいです。できることは制限されますし、まだまだ完治までは程遠い。今、伊波さんにできることは少ないでしょう」

 小鳥遊君の目は、真っ直ぐに私を見据えている。
 自分の思いの丈を、彼は、何の裏表も無く私へと伝える。

「でも『何もできない』なんてことは無いです。伊波さんは人に優しくできる人です。先輩は伊波さんを頼りにしていますし、山田さんへの世話もよく焼いてくれています。・・・」

「そ、それは・・・バイト仲間として当然だし・・・。今だってこうして、小鳥遊君に迷惑を・・・」

「まあ。迷惑と言えば迷惑なんでしょうが・・・。俺は、義務でも無いのに本当に面倒な事を簡単に引き受けるほど善人じゃないですよ。つまり、勉強会くらい、俺にとっては大した迷惑じゃありません」

「でも・・・」

「・・・それに。病気のことならば、大して気にする必要は無いでしょう」

「え?」

 小鳥遊君は、当たり前のようにそう答えた。
 私の男嫌いのせいで一番被害を受けているのは小鳥遊君なのに。
 それなのに、彼は。

「何回も言っているでしょう?最後まで面倒見る、って。すぐじゃないかもしれないですけど。必ず、あなたの病気が治るまで、俺は側にいます。男嫌いだったら夢を見ちゃいけないなんてことは無いんですよ」

 こんなにも。笑みを浮かべながら。
 私のために、言ってくれる。

 ああ。

 何回でも。

 何回でも、言いたい。

 あなたを、好きになって良かった。

「・・・ありがとう。小鳥遊君」




 俺に礼を伝える伊波さんの表情は、先程の悲痛な表情とは打って変わって、とても穏やかな物へと変わっていた。
 それが、何より嬉しかった。

「いえ。だからといって油断しないでくださいよ?まだ病気が治ったわけじゃないんですから」

「はい」

 少し厳しい言葉をぶつけても、彼女の顔が悲観に暮れることは無かった。

 良かった。本当に良かった。

 先程自分でも言ったことだが、伊波さんは本来とても優しい性格だ。それは、男女問わず関係無い。彼女自身の魅力。
 だから彼女は、自分を責める。自分の病気を。それに負けてしまう自分自身を。

 もっとも、俺自身、昔であったならばそんな伊波さんに激しい怒りを覚えていただろう。今のように、心に余裕を持って接することはできなかっただろう。

 けれど、俺は知った。知ってしまった。
 伊波さんの病気の原因は、彼女には無い。彼女の父の妄執にあるということを。

 それを知ってから、俺は伊波さんが、伊波さん自身のことを嘆いて悲しむ姿を見るのが何よりも嫌になった。
 彼女の優しさを知ったから。
 誰よりも優しい彼女が。その優しさのせいで泣いていることを知ってしまったから。

 だから、あなたは、笑っていてください。
 誰にだって笑顔で接してくれるあなたが笑えないなんて。悲しいじゃないですか。

「・・・でも、いつまでも小鳥遊君に甘えるわけにもいかないよね。今はいいけど、もう少ししたら大学に行ったり就職したり・・・私に構う余裕なんて、無くなっちゃうもんね」

「それはもちろんです。・・・だから、一緒に頑張りましょう」

「・・・はい」

 返事をする伊波さんの顔には、確かに笑顔が浮かんでいた。
 そう。その笑顔。

 俺の好きな、伊波さんの笑顔だ。

「・・・って、何を言ってるんだ」

「ど、どうしたの?小鳥遊君」

「いえ、なんでもないです」

 顔が熱くなるのを感じながら、俺を気遣う伊波さんにとりあえずそう返しておく。決して、なんでもない、ということは無いのだが。まあ、若干の気の迷いだろう。うん。

「・・・さて。勉強会、再開しますよ。すっかり長話になりましたね」

「あ、ご、ごめんね。私のせいで」

「いいですよ。伊波さんの夢も聞けましたし」

「ゆ、夢ってほど大したことじゃないよ。全然、まだ定まってないってのが本音で」

「そうですね。今のままじゃ、まだ決められないですね」

「うん。・・・私の男嫌いが、治ったら」

「・・・ええ。その時に、また考えればいいんです」

 その時がいつになろうと、俺はあなたの隣にいますから。




 いつまで、小鳥遊君が私の隣にいてくれるか。
 そんなこと、今考えてもしょうがない。
 そもそも、私にそんな未来の話を考える余裕なんて無い。
 私みたいに厄介な人間は、今を一生懸命生きなければいけないんだ。

「・・・どうかしましたか?」

「え?」

「・・・いや。嬉しそうな顔をしてるので」

 次に小鳥遊君に指示された古典の訳をしながら、私はそんな表情を浮かべていたらしい。正直、恥ずかしい。感情がすぐに表に出る癖くらい、すぐにどうにかできないものだろうか。

「・・・小鳥遊君の言葉のおかげで、なんかふっきれたのかも」

「殴るのを?」

「そっちじゃなくて!・・・生き方、かな」

「・・・俺の言葉がそんなに壮大だったのならば、嬉しい限りです」


 呆れたように小鳥遊君は言う。

 でも。今回のことだけじゃない。

 私は、いつだって小鳥遊君の言葉に救われている。

 私のことを考えて言ってくれる言葉全部が、私を救ってくれている。

 ・・・本当だよ。

「静かですね」

「・・・うん。静かだね」

 ワグナリアでは、決して訪れない時間。
 私と小鳥遊君だけの、二人の時間。

「・・・また」

「え?」

「・・・また、来ましょうか。図書館」

「・・・そうだね」

 今度来る時も、きっと、理由は勉強会なんだろうけど。

 いつか。勉強会以外の理由で。
 休日に。小鳥遊君と図書館へ来られたら。

 彼に、私の好きな本を教えよう。

 いつか。

 必ず来る、いつの日か。











 あとがき

 はい。こんな感じになりました。いかがでしたでしょうか三月うさぎさん。
 
 図書館といえば、やはり静寂なイメージがあるので。時間帯も夜にして、広いはずなのに二人しかいないような空間、みたいなのをイメージして書いたつもりです。嘘ですそこまで考えて書いてません(
 正直な本音を言いますと、あまり登場人物が多くなっても話がまとまらないので、二人だけの勉強会、という所に焦点を絞った感じでしょうか。あまり図書館ということを活かせていないような気もします。
 伊波の夢は完全に妄想ですが、イメージとしては悪くも無いんじゃね!?とか思いながら書きました。男嫌いさえなければ穏やかな性格ですし、図書館の名物美人司書みたいな感じで高校生の羨望の的になればいいじゃないヒャッホウ!!!
 すいません少し荒ぶりました。

 今回では、伊波の小鳥遊に対するベタ惚れっぷりを今まで以上に強調してみました。いや、実際、伊波はこれくらい小鳥遊の事を愛しているとおもいます。佐藤さんの愛には負けるがな!!!(

 ・・・そうえいば、猫組WORKING!!も凄いことになってますよね。・・・リア充爆発しろ(率直な感想

 さ。というわけで三月うさぎさんのリクエスト小説でした。次回はクリスタルさんのリクエストの、佐藤×八千代+美月小説を書いていこうと思います。
 リクエスト小説を更新する前に、pixivに投稿したままであった東方小説・男子高校生の日常小説なども幾つか更新しようと考えています。いざ更新するとしたらまとめてかなー。

 それでは、読んでくださった方々、ありがとうございました!!
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小鳥遊×伊波 | コメント:1 | トラックバック:0 |
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コメント

わざわざ注文に答えてくれてありがとうございます!!

甘すぎもせずほどよい感じでとてもよかったです♪

2012-05-19 Sat 00:40 | URL | 3月うさぎ [ 編集 ]

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