FC2ブログ

銀の働き部屋

管理人銀河の、日記兼テキストサイトです。取り扱うジャンルは主にヤングガンガン連載のWORKING!!になると思います。最近は東方の霖之助小説を書くのにも夢中。どうかよろしくお願いします。リンクはフリーです。感想は常に受付中です!もらえたら泣いて喜びます

メリー。クリスマス 佐藤×八千代

 クリスマスということでクリスマス小説書きましたー。本当は二つぐらい書きたかったのですが、想像以上に時間がかかってしまいました。
 というわけで一つだけですが、書いたので見てくれると光栄です。

 タイトルは、『メリー。クリスマス』 佐藤×八千代です。甘さ控えめ。
 一日で書いたものなので、誤字報告などどんどん応募しています!!(ぇ

 ではどうぞー。














 クリスマスの夜。
 今年のクリスマスはイメージにピッタリの粉雪が降り注ぎ、雪国である北海道の化粧をより濃く、白くしようとしていた。
 しかしそんな雪には負けないと主張するかのように、街中には雪も溶け出すのではないかというほどのカップル達が作り出す熱いオーラが漂い続けていた。

 だが、それはあくまで街中の話。
 都心からは少し離れ、もう閉店時間になろうとしているワグナリアにはそんなオーラは届きもしない。
 もっとも、昼間はカップル達が店の中に溢れいやでもそのオーラをワグナリアのスタッフは全身で感じる破目になってしまったわけなのだが。

 とにもかくにもだ。

 今、ワグナリアの中に残っているスタッフはごくわずか。

 その内の一人は店の戸締りを確認していた。

「・・・よし。いいな」

 佐藤潤はフロアの一般客入口のドアを閉め、鍵の確認をすると更衣室へと向かった。
 華やかなるクリスマスの夜。佐藤潤のシフトは夕飯時から閉店まで。よりにもよって一番忙しい時間帯であった。
 暖房を着けても肌寒い。しかし、そんなことを佐藤は気にしたりはしない。
 佐藤にはイエス様だかノー様だか知らないが、そんなのの誕生日など関係無いし、ケーキやプレゼントが欲しいわけでもない。
 ましてや、独り者である寂しさをバイトで誤魔化そうなどということは断じてない。もう一度言う。誤魔化そうとしているわけではない。
 

「・・・帰るか」

 溜息混じりにそう呟き、更衣室へと向かう。決して薄着ではないはずなのだが、服の全部の隙間から冷風が進入しているようで、早く着替えてコートを着たいと思う一心だった。

 更衣室へ行く途中にある休憩室。そこの扉が開かれていた。
 誰かの閉め忘れか、と扉を閉めようとした佐藤だったが、

 その部屋の中に人影を見つけて、手を止めた。

「・・・八千代?」

 半開きの扉をゆっくり開けて、小さな声でそう呼びかける。
 そこには、この店のフロアチーフの轟八千代の姿があった。机の上に手を伸ばし、机に突っ伏している。
 しかし反応は無い。窓からは街灯の明りに浮かぶ雪が写っていた。
 休憩室の暖房は消えていたが、まだそこまで時間が経っていないのか、暖かさがまだ残っている。

「・・・八千代」

 少し大きな声でもう一度呼びかけると、八千代の体がビクッと震え、直後に八千代が顔を机から上げた。足までも上げたのか、ガタンッという激しい音が鳴った。
 ある程度時間が経っていたのか、常に美しさを保たれているその長髪は少し乱れており、顔を上げた八千代の顔自体もぼーっと気が抜けたようだった。

「あ、あれ? 佐藤君? 今何時?」

 慌てた様子で、休憩室の椅子に座ったまま佐藤にそう尋ねる。
 佐藤はふう、と息をついてから

「もう閉店時間だよ」

 と素っ気なく答えた。
 八千代はまだ意識がはっきりしないのか、その言葉を聞いてもしばらくの間動きを見せなかったが、突然顔を両手でおさえ、

「あ~! 寝ちゃってた! ね、ねえ佐藤君? 大丈夫だった? 忙しくなかった?」

「大丈夫だよ。殆ど客なんか来なかったし」
「あ、葵ちゃんは? もう寝た?」

「あいつは小鳥遊んちにお呼ばれされてそっちに行ってる。そういや、伊波も呼ばれてたな。しかし・・・珍しいな。お前が居眠りなんて」

 佐藤がそう言うと、八千代は頬を染めて恥ずかしそうに俯いた。
 疲れていたのか、それとも何か理由でもあったのか。

 正解は後者。そして、その理由は佐藤も知っていた。
 言うべきか、言わないべきか。
 佐藤は悩んだが、冷たいドアによりかかりながら、

「・・・店長がいないのはそんなに辛いか」

 と、重々しく呟いた。
 言葉を聞いた瞬間、八千代の肩が震えた。
 その様子を見た佐藤に、罪悪感と不快感が同時に湧きあがってきていた。

「・・・うん。慣れないなあ・・・駄目だよね、私」

 八千代は顔を上げて、寂しそうに微笑んだ。
 その顔を見ることができずに、佐藤は目を閉じて黙っていた。

 相馬の話によると、今日、白藤店長は本社の急な呼び出しのため帰ってこれないということだ。
 佐藤は、八千代が毎年・・・まあ、いつもなのだが、この日を店長と過ごすことを知っている。
 だけれど、店長が居ない八千代のクリスマスは知らなかった。

「仕事は手に着かないし、居眠りまでしちゃうし」

「そんな事、前にもあっただろ。俺は気にしねえよ」

 そう。前にも店長がいない時があった。
 その時は相馬の余計な口出しにより、佐藤の胸がいっそう強くしめつけられる結果となってしまったのだが。
 やはり、こういう日に想い人と過ごせないのは堪えたのだろう。以前とは調子の落ち方が桁違いだ。
 運が悪いことに・・・ある意味ではは幸いに、今回は相馬の口出しがなく、店長が急に出かけたのも今日からのことだ。
 八千代には、感情の向けどころが今回は無かった。

「しかもよ、どうせ昨日は昨日で色々やったんだろ?」

 佐藤が言うと、八千代は微笑んで・・・今度は自然な笑みに見えた、頷いた。

「ケーキも杏子さんに買ったしお料理もいっぱい作ったし私から杏子さんにプレゼントもしたし」

「物足りないんだそれ」

 分かっていたことではあるが、そのディープなクリスマスに佐藤も若干罪悪感が薄れた。八千代の笑顔も普段となんら変わりは無い。
 だからといって放っておくわけにもいかず、声をかける。

「今日一緒に過ごせなくても、正月だってあるし。店長と過ごす時間は十分すぎるくらいあるじゃねえか」

 そう言うと、やや俯きがちに八千代は頷いた。しかし、先ほどよりは余裕があるように見えた。

「そうだけど・・・いつまでそんなことができるか分からないし」

「いや・・・大丈夫だろ。少なくともお前と店長なら」

「そんなことない」

 先ほどとはうって変わった八千代の口調に、佐藤は耳を傾けた。

「・・・ごめんなさい。でも、恐いの。考えたくもないけど・・・杏子さんが、これからもずっと私の事を気にかけてくれるかなんて・・・分からないじゃない」

 八千代の手を見ると、小刻みに震えていた。
 暖房などとっくに切れている部屋の寒さのせいか、八千代の余裕の無さの表れか。

「私はずっと杏子さんと一緒にいたい。でも、私がいたら杏子さんは自分のやりたいことができないまま。それも嫌なの」

 佐藤は何も言わずに、黙って八千代の言葉を聞き続けた。
 先ほど薄れた罪悪感がまた蘇ってきた。なんて余計なことを言ってしまったんだ、と。

「ねえ、佐藤君。あなたの意見を聞かせて。私、杏子さんの事苦しめてるかな?」

 八千代が佐藤を見ながら、まるで懇願しているかのようにそう言った。
 八千代の目には、涙が溜まっているように見えた。

 佐藤は溜息を一つついてから、休憩室の椅子・・・机を挟み、八千代と向かい合う形で座った。
 八千代は突然の行動にやや驚いたのか、俯いてしまった。

 しかし、佐藤は大して悩みもせずに口を開いた。

「ばーか」

 短い罵倒。
 その言葉を言われて、八千代は震え、目に涙は溜まり今にも溢れだしてしまいそうだった。
 しかし佐藤はすぐに、

「お前がいなかったら、店長だって一週間ももたねーよ」

 そう続けた。
 すると、八千代の震えは止まり、涙が溢れ出すこともなかった。
 佐藤は普段と全く変わらない表情で更に続ける。

「大体前に店長自身言ってたじゃねえか。お前がいないと駄目だって」

「で、でもそれは・・・。私を傷つけないようにとか・・・」

「大体。店長がお前のことを見捨てるとか・・・そんなこと本気で思ってんのか?」

「な、無いとは言い切れないじゃない!」

「ねえよ!」

 突然の声に、八千代の体全体が震えた。一瞬だが、雪までもが降り止んだ気がした。
 聞いたことが無い佐藤の怒声。その鋭い眼差し。
 こんな佐藤の姿を、八千代は見たことが無かった。少なくとも、今の今までは。

「考えろよ。28歳。食費で自分の生活も赤字。そんな奴が何の思い入れも無しにお前の傍にいると思ってんのか?」

 先ほどの怒声からは想像できないほど、佐藤は冷静な声で続けた。

「あの女はな、お前が飯をくれるから、ネクタイを直してくれるからとかそんなふざけた理由でお前の面倒を見ているんじゃねえ」

 佐藤は、八千代を指で指した。真っ直ぐ。八千代も、その指をただ見た。

「お前が大事だからだ。お前が好きだからだ」

 佐藤は、そう言いながら考えた。
 俺は何を言っているんだ。
 ここで八千代を突き放すようなことを言えば、自分の恋愛が少しは上手く行くのではないのか?
 それなのに、自分が言っていることは何だ? 店長を悪く言うどころか、褒めている。あの忌々しい女を。八千代を狂わせるあの女を。

 しかし、どうもでもよくなってしまったのだ。

 店長を憎んでようが、恨めしかろうが、関係無い。

 ただ、八千代が悲しむ顔は絶対に見たくない。

 惚れちまった女に惚れた男が本当にやらなきゃ行けない事は、彼女を悲しませることじゃない。
 少なくとも、佐藤潤という一人の男は、

 轟八千代の笑顔を望んだ。

「お前は店長を信じてればいい。そうすれば店長だってお前を信じる。自分を信じるな。店長を信じろ。お前を信じる店長を信じろ。更に言うならば」

 佐藤は八千代を指していた人差し指をしまい、親指を立てて自分を指した。

「俺を信じろ」

 そう言い切った。

 休憩室にしばしの間静寂が流れる。
 しばらくすると言い切った佐藤が何だか恥ずかしくなってきて、この静寂の時が終わるのをただ待つのみだった。
 しかし、静寂は佐藤が予想のしていない幕切れを迎えることになった。

 八千代の目に溜まっていた涙が、突然関を切ったかのように溢れ出したのだ。零れ落ちた涙は机に次々と吸い込まれていく。
 佐藤は慌てて、立ち上がり八千代の傍へ駆け寄った。あまりにも突然の出来事だったので言葉も上手く出てこない。

「あ、えっと・・・どうした?」

 みっともないほど慌てふためきながらまた頼りない言葉を八千代にかける。
 八千代は涙を手で必死に拭きながら、弱々しい声で答えた。

「違うの・・・! う、嬉しくて・・・!」

 嗚咽混じりにそう答えたが、佐藤に余裕は全く無く、青ざめた顔で八千代をなだめ続けた。

「分かった。分かったから泣かないでくれ。俺はどうすればいいんだ」

 全く凛々しくなる様子が感じられない先ほどよりも倍は情けない声と動きで佐藤は言った。
 すると、八千代の鳴き声は治まり始め、遂には笑い声へと変わっていった。

「ふふっ。佐藤君、慌てすぎ・・・ふふふっ」

 みっともない姿を笑われた佐藤は恥ずかしさが頭の天辺までこみ上げてきて、ふんっ! と強く鼻を鳴らしてから椅子に戻り座り込んだ。
 顔は赤いし、八千代の顔を直視できない。
 これは、笑われたことの恥ずかしさなのか。久しぶりの全開の笑顔を見れたことによる嬉しさなのか。
 よくは分からないが、佐藤はこの場からもう走り出したいと思うほど恥ずかしかった。

「ありがとう。佐藤君。励ましてくれて」

 礼を言われ、佐藤は照れ隠しで、

「笑ってないお前は気持ち悪いからな」

 と少しボリューム控えめの声で答えた。
 その言葉を聞いて、八千代はまた微笑んだ。
 とりあえずは解決したな、と佐藤は深い溜息をついた。もちろん、安堵の息だ。

「・・・ねえ佐藤君」

「何だよ?」

「ちょっと待っててね」

 八千代はそう佐藤に微笑みかけると、休憩室から出て行った。
 何なんだ? と佐藤は疑問を感じたが、とりあえずおとなしく待つことにした。

 しばらくすると、八千代が帰ってきた。

 皿に乗った、二切れのケーキを持って。

「・・・何だそれ」

 心で思ったことをそのまま口に出す。よく見ると、ケーキの上には蝋燭が一本ずつ立っている。
 何となく予想はできたが、とりあえずは聞いてみた。
 その答えもまた予想通りの物だった。

「クリスマスケーキ!」

 はいはい。全力の笑顔。痛い。この笑顔がもはや痛い。

「ケーキは分かる。それをどうするんだ」

「一緒に食べるの!」

「・・・何で?」

「昔は、私には杏子さんしかいなかったけど、今は佐藤君がいる。私を大切にしてくれる人が」

 ・・・・・・・・・・・・
 何か言おうとした佐藤だったが、何も言葉が出てこなかった。
 まあ、折角元気になった八千代の心遣いを無碍にするわけにもいかない。

「分かったよ。食うか」

 そう答えると八千代は嬉しそうに頷いて、ケーキの蝋燭に火を点けた。
 それだけでは物足りなかったらしく、わざわざ休憩室の明りを消した。蝋燭の明りは暗闇の中で赤く輝いた。

「ジングルベールジングルベール鈴が鳴るー♪」

 八千代が元気に歌い出し、佐藤は少し戸惑った。
 この空気で、自分がやるべきことがなんとなく読めてしまったのだ。
 しかし、それは佐藤が行うにはあまりに辛い行動。

 ふと八千代を見てみると、普段以上に笑顔の輝きを増している目と視線があってしまった。
 観念したように溜息をついてから、

「・・・鈴のリズムに光の輪が舞う」

 佐藤がそう口ずさむと、八千代も歌を再開する。

「ジングルベールジングルベール鈴が鳴るー♪」

「森に林に響きながら」

 歌い終わると、八千代が自分の目の前に置かれたケーキに立てられた蝋燭を、ふっと吹き消した。
 その後に、佐藤も蝋燭を吹き消す。

 部屋の明かりが無くなり、窓から射し込む街灯の明りだけが二人を照らした。
 しかし、二人とも椅子から立ち上がろうとはせず、ただただ見つめ合った。
 まあ、佐藤はそうそうに視線をずらしリタイアしたのだが。

「私、毎年クリスマスは杏子さんと過ごして、本当に楽しいんだけどね?」

 軽く微笑んでから八千代は言った。

「こんなに嬉しいクリスマスは生まれて初めて」

 佐藤はその言葉を聞いて、息を呑んだ。
 落ち着いて考えたら、今という時ほど素晴らしいシチュエーションなど存在するのだろうか。
 クリスマスの夜に、暗闇の中で二人きり。これは思春期じゃなくともはしたない妄想で頭がいっぱいになるであろう。
 ずばり、佐藤だって20歳で若さぴっちぴちだ。この状況からよからぬことになってもおかしくはない。

「なあ、八千代」

 ここは男としての覚悟を決めるべきなのかもしれない。
 例えここで玉砕しようとも、自分の中に勇気として刻むことぐらいはできそうだ。
 
 言おう。『俺はお前のことが好きなんだ』と。今言えれば悔いは無い。

 今正に口を開こうとしたその時、

「なあに? 潤君?」

 その笑顔を見て。
 名前で呼ばれて。
 佐藤の頭の中が真っ白にリセットされる。
 思考が再構築され、この状況でふさわしい言葉を詮索する。
 結局佐藤の口から出た言葉は、

「俺でよければ、イベント事くらいいくらでも付き合ってやるよ」

 まるで男らしくない、こんな言葉であった。

 八千代は笑顔を絶やさず、深く頷いた。
 そして、

「佐藤君? 喘息は大丈夫?」

 心底心配そうにそう聞いた。
 佐藤は、すっかり忘れていた・・・と心の中で悔やんだが、顔を赤くしてぎこちなさそうに、

「あー。治った」

 そう答えた。

 佐藤にとって、初めて女性と過ごすクリスマスは、部屋の肌寒さなど関係無いほどに温かい時間であった。






 告白は、もう少し先にしよう。
 もう少し、店長と対等の位置に辿り着くまで。
 八千代がもう少し俺の事を見てくれるまで。

 だから、

 負けねーからな。店長。



 ・・・まあ、とりあえず。



 メリー。クリスマス










 あとがき

 途中に完全なるグレンラガンがありますが気にしないでください(ぇ
 まあ、絶対に皆さんグレンラガンなんか見てないでしょうしね!!いっか!(よくねえ

 というわけでさとやち小説です。いかがでしたでしょうか。
 俺には彼女などおりませんので妄想100%でできあがっております。何回も言いますが、こういう恋愛をしたいなあと思って書いてるわけではありません。
 佐藤さんは壊れてもいいですけど、やはりカッコよくあるべきだと思います。もし佐藤さんがカッコよく見えたという方はご一報を。泣くほど喜びます。あと、誤字報告もどしどしご応募してください!
 
 本当は、小鳥遊×伊波小説も書きたかったのですが時間がありませんでした。申し訳ありません。
 正月に何か時事を生かして書けたらいいんですが、難しいかもしれません。
 あと、社員旅行小説や、以前友人に貰ったアイディアなどまだ未消化な物が多いので頑張りたいと思います。

 では~。メリー。クリスマスー。
スポンサーサイト



佐藤×八千代 | コメント:0 | トラックバック:0 |
<<お祈り≠懇願 ギャグ 佐藤オンリー | ホーム | 愚かな男共の愚かな会話 ギャグ小説 ヤンガン版ファミレス男性陣>>

コメント

コメントの投稿















管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

| ホーム |