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銀の働き部屋

管理人銀河の、日記兼テキストサイトです。取り扱うジャンルは主にヤングガンガン連載のWORKING!!になると思います。最近は東方の霖之助小説を書くのにも夢中。どうかよろしくお願いします。リンクはフリーです。感想は常に受付中です!もらえたら泣いて喜びます

シモン 目覚めの時  グレンラガン小説 11話再現


 小説ですが、今回はその他小説です。
 グレンラガン小説を、兄に持ちかけられ書いてみました。何だか、文才勝負をしたかったそうなので乗りました。グレンラガンも書いてみたかったですし。
 で、どんなのかというと・・・二次創作というよりは、原作のシーンを俺流のアレンジを加えて書くというものでして。自分で話を一から考えたわけではありません。まあ、普通一からは考えませんが。
 というわけで、このサイトを訪れる方の何割にグレンラガンを知っている人がいるかも分かりませんが、大好きな作品なので愛はもうそりゃあうざいほどこめて書きました。
 勝敗は俺と兄の自己判断で決めて、俺の勝ちでした。わーい。

 ではどうぞ。

 グレンラガン 11話『シモン、手をどけて。』より、シモンがグレンラガンに乗り復帰するシーンです。元ネタが分からない人は、この動画だけでも見て雰囲気を楽しんでもらえると光栄です。というか、みんな見ようよグレンラガン。→グレンラガン シモン復活シーン(YouTube)
 ガガガ文庫よりグレンラガンの小説が発売されてますが、俺は小説は未見です。パクっては無いと思います。










 ダイガンザン攻略戦の時、グレン団のリーダーであり、シモンのかけがえのないアニキであるカミナは、戦いの最中にシモンにこう言った。

『いいか・・・シモン。忘れんな・・・。お前を信じろ。俺が信じるお前でもない。お前が信じる俺でも無い。お前が信じる、お前を信じろ・・・』

 何故、カミナはこのようなことを言ったのか。その時のシモンには、よく分からなかった。俺を信じろ。初めてラガンに乗った時にそう言ったのは、他でもないカミナのはずなのに。
 でも、後になって考えてみれば、あれは・・・カミナの遺言だったのだ。

 カミナは、戦いが終わった直後に、グレンのコックピット内でその命を燃やし尽くしていた。
 グレンは腕がもげ、縦に光線による穴ができていた。あそこまで動けたのが奇跡としか言いようのない傷跡だ。
 もちろん、その光線をコックピット内で受けたカミナもまた、血塗れで、見るも無惨な体であった。
 ただ、その顔には・・・どのような思いがこめられているのか分からなかったが・・・笑顔が浮かんでいた。

 みんな泣いた。

 ロシウもギミーもダリーもリーロンも、キヨウもキノンもキヤルも。ヨーコも。

 そして、シモンも。


 カミナが死んだ後のシモンを何かに例えるならば、それは抜け殻だった。カミナが生きていた時は、シモンの中には、毎日充実したものがいっぱいに詰まっていた。
 ヨーコ、リーロンなどの、新しい仲間ができた。その後は、キタン率いる四兄妹にも。カミナの活躍を聞き駆けつけてきてくれたグレン団の戦士達。仲間が、どんどん増えていった。それは、カミナに人をひきつける、率いるカリスマ性があったからに他ならない。

 しかし、敵もできた。
 地下を襲った地震の原因であり、シモンの両親の仇でもあるガンメン。そして、それを操り地上を支配していた獣人達。そして・・・カミナを殺した、獣人であるヴィラルと、螺旋四天王を名乗っていたチミルフ。

 でも、シモンはカミナといる日々が最高に楽しかった。やる気の無い、中身の無い地下での生活。穴を掘るだけの毎日であった生活が、ラガンとグレンの合体によって誕生したグレンラガンを操縦し、地下の皆を解放するために、シモン達を苦しめ続けてきた獣人達を倒し続けた。これほど、生きがいのあり・・・熱くなる生活をシモンは初めて過ごしたのだ。

 最高に気持ちよかった。最高にシモンは生きていると感じた。地下を出てからの一分一秒が、カミナと過ごしていた全ての時間が。
 それはきっとシモンだけではなくて、グレン団の全員がそうであったはずだ。

 そうだ。シモンの横には、いつもアニキのカミナがいた。カッコよくて、強くて、一番頼りになるアニキが。シモンが尊敬し続けた最高のアニキが。

 でも、そのアニキはもういない。この世界に存在しない。
 シモンの頭を撫でながら笑ってくれない。シモンが道を失った時に殴り飛ばして、叱ってはくれない。
 シモンは、また抜け殻である日々に戻ってしまった。一人では何もできず、カッコよくもないし強くもないし、誰からも頼られない・・・昔の自分に。

 シモンは最早諦めてしまっていた。

 俺は、所詮・・・只の・・・穴掘りシモンなんだ。

 そんなことばかり考えていたからだろうか。

『シモンはアニキさんじゃありません。シモンはシモンでいいと思います』

 彼女の言葉が、やたらとシモンの体の中に染み込んでいったのは。

 シモンの殻に、水が染み込んでいった。一切の穢れ無い、純水が。シモンを潤す、救いの水。




 螺旋四天王の一人であるグアームに、ニア以外のグレン団全員が閉じ込められてしまった時、シモンは穴を掘り始めた。
 武器になる自前のドリルは没収されてしまった。だから、グアームの部下から見たらただのアクセサリーでしか無いコアドリルで、壁を掘り続けた。
 グレン団のみんなは、壁の固さにすっかりと諦めたみたいだけれど・・・

 シモンには聞こえていた。土の・・・壁の声が。シモンのドリルを導いてくれる。この声を前に聞いた時も、シモンのすぐ傍にはカミナがいた。
 シモンは疑問に思った。何故、俺は穴を掘っているのだろうと。ここにいる誰もが、シモンに期待などしていないのに。
 いや、その仮定は間違っていた。

 皆は期待し始めていた。この小さな穴を掘る少年が、自分達を救ってくれるのではないのかと。多くの者は少しずつ、ヨーコは確信していた。

 諦めないで、自分達を救ってくれると。
 カミナが語ってくれたから? いや、違う。皆、どこかで確信していたのだ。

 どんな絶望的な状況でも決して諦めず、自分の道を掘り続ける。自分の道を作り続ける。

 そこで皆は気付いた。

 それは、カミナがそうであったんじゃないのか?

 ジーハ村で誰もが考えなかった地上への脱出。同じく誰も考えなかった、獣人が乗っているガンメンの強奪。
 諦めないで、必ず何かを成し遂げ続けた。

 今更気付いた者達は後悔していた。

 一人じゃ何もできない頼りない子どもを、あのカミナが、相棒と褒め称えるわけがないじゃないか。
 間違いない。シモンは抜け殻なんかではない。
 今は殻に閉じこもってしまっているけど、その中には、希望を掴もうとする力強い意志が存在している。
 シモンは、カミナの意志を誰よりも受け継いだ・・・カミナにとっての、たった一人の弟分なのだから。



 穴を掘り続けているシモンは思い出していた。
 カミナの、遺言を。

『いいか・・・シモン。忘れんな。お前を信じろ』

 俺を信じる。
 このままだとニアがどうなってしまうか分からない。皆もこのままでは処刑されてしまう。
 嫌だ。
 俺は皆を守りたい。

『俺が信じるお前でもない。お前が信じる俺でもない』

 気付けば、コアドリルが光り輝いていた。
 それはシモンの精神をそのまま映し出していて、輝きを一層増していく。

『お前を信じる・・・』

 シモンは自分に言い放った。

「お前を信じろ・・・!」

 コアドリルが僅かに岩を削り取った瞬間、

 コアドリルが輝きを増しながら点滅し始めた。
 その感覚は段々と短くなり、そして・・・

 目の前にあった岩を破壊しながら、ラガンの顔が現れた。
 カミナが名づけてくれたシモンのガンメン。小さいし手足も短い。カッコ悪いけど・・・大きな力を持っている、シモンの相棒。分身。
 シモンは驚き、思わず尻餅をついた。一瞬何が起きたのか分からなかった。

 しかし、何故ここにラガンが来てくれたのかを考えた。ラガンは目を閉じていて、その表情からは何も読み取ることができない。
 一時期はシモンを否定したラガン。そのラガンが、自ら駆けつけてくれた。
 シモンは思った。
 また、俺が乗ってもいいのかな?

「ラガン・・・」

 ラガンは返事をしない。ただ目を閉じて、何かを待ち続けている。
 何を待っている? そんなのは、決まっている。
 自然と笑顔が浮かんだ。何故なら、嬉しかったからだ。

 自分にまだ、できることがあるということが。

「ラガン!!」

 ラガンの目が、大きく輝いた。




 ニアがどこにいるかなんて、分かるはずもなかった。
 ただ、ラガンが導いてくれる。ニアの場所へ。シモンが行くべきその場所へ。

 ラガンから出ている巨大なドリルが、ダイグレンの装甲を貫き、明りが見える場所へと出た。
 それはラガンによる意志なのか、シモンが無意識の内に行ったことなのかは分からない。ラガンのドリルはその場所にいたニアの手枷を器用に砕き、そのまま、部屋・・・よく見ると、ブリッジだ、の天井に体ごと突き刺さった。

 ラガンの脳味噌をかたどったようなハッチが開く。そこには、清々しい笑顔を浮かべたシモンがいた。

「ニア!! 助けに来たよ。おいで!」

 ニアは目に涙を溜めながら、逆さまになっているシモンの上半身に飛びついた。

「シモォン!」

 体の小さいシモンにとって、ニアは決して軽いと言える体重では無かったが、その重さが心地よかった。

「おじいさんも!」

 ニアはそう言った。が、先ほど自分をグアームの銃撃から守ってくれたココ爺はその場にいなかった。
 あら? とニアが首を傾げるのと、グアームが何かを叫びながら襲い掛かったのは殆ど同時だった。
 しかし、ラガンはドリルの回転を再開し、ブリッジの天井をそのまま掘り始めた。グアームは空を掴み、そのままラガンがブリッジに現れた時に出来た穴へと落ちていった。

 しばらくの間、何も見えなかった。
 ラガンがダイグレンの天辺から空へと飛び出し、そこにはどこまでも広がる青い空があった。

 カミナとヨーコ、そしてシモンの三人で始めて地上に出た時の光景が思い出された。時間帯が違うため、あの時のような赤い空は見えなかった。だが、どこまでも広がる大地と、その広い大地を覆いつくす空の光景は、一生忘れることはないだろう。

「遅くなって、ごめん・・・」

 遙か上空で、シモンはニアに対して謝罪した。

「ううん」

 ニアは柔らかくそう返事をした。

「俺、分かったよ。ラガンも教えてくれた。俺、分かったんだ」

 シモンにはシモンの、できることがあるということを。
 確かにシモンはカミナと全く同じような事はできないだろう。
 しかし、カミナが信じた自分を信じて、このグレン団を守る。シモンはそう決意できた。

「私もよ。ありがとう・・・シモン!」

 ニアはそう礼を言うと、シモンが握っている操縦桿へと目を向けた。
 シモンの手は、小さなコアドリルで穴を掘り続けたことにより真っ黒に汚れていた。
 しかし、ニアはそっと微笑むと、

「シモン、手をどけて」

 そう言った。
 え・・・と一瞬シモンは考えたが、おとなしく手を操縦桿から離す。
 するとニアは、土まみれの汚い操縦桿を、その細く白い手でしかと握り締めた。

「さあ」

「・・・え?」

 疑問の声に、ニアは笑顔で頷いた。
 シモンもまた、笑顔を浮かべて答えた。

「ああ」

 ダイグレンを見てみると、甲板に置いてあった半球状の物体が突然動き出し、巨大ガンメンへとその姿を変えている。
 グアームが操るカスタムガンメン、ゲンバーであった。
 グレン団のみんなもある程度のダイグレン再強奪を終えていたようで、グレン・・・恐らく、乗っているのはロシウであろう、が、ゲンバーと交戦を始めようとしている。

 シモンは顔を引き締め、ラガンの操縦桿をニアの手の上からしっかりと握った。

 これからが、シモンがグレン団のみんなにできることだ。




 グレンを操っているロシウは、苦戦していた。
 巨大な伸縮自由な触手にグレンは両腕の動きを封じ込まれてしまった。
 グレンが身動きできないでいると、ゲンバーは再び半球状へとその姿を変え、甲羅のような面に巨大な口が現れ、グレンの下半身に齧りついてしまった。

「うわあああ!!!」

 ロシウは叫び、抵抗しようと甲羅にグレンの手を押し当てるが、巨大なガンメンの前には、体勢も不十分であるグレンが力でも敵うはずもなかった。
 少しずつ、だが確実にグレンの下半身が噛み砕かれていく。
 このままだと、負ける!

 ヨーコが超伝導ライフルでゲンバーに攻撃を試みるが、どれほどの堅い装甲をしているのか、傷一つすらつかなければ、怯みもまったくしなかった。

「そ~れそれ、あと少しじゃああああ」

 グアームがいやらしく喜びの声を上げる。
 成す術が無い。ロシウが諦めかけたその時、

「ロシウ!!」

 グレンのコックピット内の無線機から声が聞こえた。
 その声を聞き間違うはずもない。

「シモンさん!?」

 ロシウは辺りを見回す。しかし、ラガンの姿はどこにも見えない。

「合体だ!!」

 その声を聞いた瞬間、ロシウは空を見た。
 そして目を見開くと、

「はい!!」

 力強く頷いた。

 希望が湧いたロシウは、操縦桿を握り締める手を更に強め、凄まじい力で無理矢理ダイグレンの甲板を押し、その勢いでゲンバーとグレンの位置を入れ替えた。しかし、まだ下半身は齧られたままである。

 空が煌いた。

 その場所から、グレン団の皆には見覚えのある小さなガンメンが急降下をしてきた。

「しまった、あの小型ガンメンか!!」

 グアームがそう叫んだが、時既に遅し。
 ラガンはその巨大なドリルでグレンに突き刺さり、グレンのコックピットへとドリルを掘り進める。
 ラガンとグレンの体が何も見えなくなるほどに光り輝き、光が納まったころに姿を現したのは・・・

「あれが噂のグレンラガンか!!」

 グアームが叫び見つめる先には、腕や足などが格段に長くなり、兜を頭に装着している、シモンとロシウの魂のガンメン。
 そのドリルは全てを砕き、全ての者の道を作る。そう。
 天すらをも貫く力を持った、最強のガンメン・グレンラガンだ。

 突然、グレンラガンの頭部のハッチが開き、誰かが現れた。

 グレン団のみんなは驚愕した。

 あの堂々とした構えは、カミナ?

 いや、違う。カミナはいない。でも・・・あの姿は・・・

 そうだ。カミナを魂を引き継いだ人間なら、いるじゃないか。

シモンだ。

「アニキは死んだ」

 シモンは腕を組み、仁王立ちのまま話し出す。
 その顔つきは、今まで誰も見た事がないような逞しいもので、グアームやその部下達も、唖然とその様子を見ることしかできなくなっていた。

「もういない!!」

 一番現実を見ようとしていなかったはずのシモンの叫びに、グレン団の皆は戸惑いを感じた。
 しかし、シモンの決意が揺るぐことは無い。

「だけど、俺の背中に」

 激しい風によって揺れるシモンの服の背中には、グレン団のマークがあった。
 カミナのサングラスと、グレン団全員の熱い魂を表した炎。ただの服のはずなのに、そのマークは普段以上に激しさを増しているような錯覚に、その場にいた全員が襲われた。

「この胸に!! 一つになって生き続ける!!」

 シモンが自分の露出した胸に親指を押し当てる。カミナとは比べ物にならない、小さな貧相な胸。しかし、その中に燃え滾る炎は誰にも止められない。消すことはできない。例え、カミナであろうとも。いや、カミナだったら消すことなどは絶対にしないであろうが。

 グアームはただただ呆れていた。突然現れ何を言う? 弱い人間が、獣人達に支配されるだけのはずの人間が。
 しかし、今グアームの目の前にいる小さな少年は何だ? 堂々とふざけた口上を振りまくこの少年は?
 分からない。何百年といき続けてきたグアームにとって、初めての経験であった。
 元はといえば、グアームは獣人では無い。アルマジロが何百年と生き突然変異を起こした、それがグアームだ。
 それだけの長い歴史を歩んできたグアーム。だが、目の前の少年を見て思った。
 自分が、人間を恐れている?

 シモンは腕を掲げ、人差し指で天を指した。
 これも見覚えがある。その姿は、カミナとなんら変わらない。そこにいるのは、不可能を可能にし、絶対に諦めない魂を持った一人の男だ。

「穴を掘るなら天を突く!! 墓穴掘っても掘り抜けて」

 シモンの口から流れ出す言葉。
 これもだ。この話し方、あえて名前をつけるとするならば、


『カミナ節』


「突き抜けたなら、俺の勝ち!!!」

 グアームは汗が止まらなかった。
 分からない。分からない分からない分からない。
 螺旋四天王を何故恐れない?
 何故このワシを恐れない?

 こんなガキが。何も出来ない小さなガキが。
 何故自分をここまで焦らせる!?

「何だ・・・!? 何を言っている!!」

 シモンはグアームの問いに答えない。ただ、その表情は黙って聞けとグアームをにらみつけているように見えて、グアームは思わず押し黙ってしまった。

「俺を誰だと思ってやがる!!」

 シモンに、グレン団の全員の視線が釘付けになった。
 その姿から、目を離すことができない。ただ、見ているだけで心の中に熱い感情が滾ってくるこの感覚。
 あそこにいるのは本当にシモンなのか?
 カミナが死んでからすっかり生気が無くなり、もはやグレン団の足手まといとなっていた、あのシモンなのか?
 カミナが生き返って、叫んでいるのではないのか?
 俺を、誰だと思ってやがる?
 その答えは、一つしか見つけられない。

「俺はシモンだ。カミナのアニキじゃない!!」

 そう。あそこにいるのは間違いない。
 背が小さくて、カミナにおんぶでだっこで、まるで頼りにならない・・・はずの、シモンだ。

 キタンは驚愕し、空いた口が塞がらなかった。
 ヨーコはほんのりと頬を紅潮させ、キタンと同じく口を開いてシモンを見つめる。

 他のみんなもそうだ。
 ゾーシィもキッドもアイラックもジョーガンもバリンボーもマッケンもギミーもダリーもダヤッカも。
 唯一、リーロンだけは全て分かっていると言いたげなように、何回も頷いていた。

 シモンは額のゴーグルを下ろし、自分の目に装着させる。
 カミナのサングラスの代わりにはならないかもしれない。だが、このゴーグルも、腕も足も体も、全てが・・・
 シモンの魂だ!!

「俺は俺だ!!!」

 シモンが叫んだのと同時に、グレンラガンが手を振り上げる。
 気付けば、その腕はドリルへと変化していて、上体をのけずらせながらゲンバーの甲羅を貫こうとしている。

「穴掘りシモンだあ!!!!」

 グレンラガンのドリルがゲンバーの堅い甲羅に突き刺さり、巨大な光を放つ。
 ゲンバーを操っているグアームの元へ電撃のような物が走り、ゲンバーは慌ててグレンラガンから離れていった。

「御託はいらんのだあ!」

 焦りながらも、ゲンバーの体制を立て直し、人型の状態でグレンラガンへと駆け寄っていく。
 そして、その巨大な腕を大きく横に広げると、その腕から巨大な針が飛び出し、グレンラガンを包み込んでしまった。

「ゲンバー!! プレェス!!!」

 普通のガンメンだったら、体中に穴が空き、中のパイロットごと貫かれているだろう。
 だが、グレンラガンは残念ながら、『普通のガンメン』なんかではない。

 ラガンのコックピット内でシモンは俯いていた。そして、泣いていた。
 苦しいのではない。恐くて泣いているのではない。

 今、シモンはカミナへの未練を断ち切ろうと奮闘しているのだ。
 目を閉じて思い出せば思い出すほど、カミナの存在はシモンの中でどんどんと広がっていく。
 そうだ。忘れるものか。



『上を向いて歩け!』

『お前のドリルは、天を衝き破るドリルなんだよ!!』

  『お前を信じるな。俺を信じろ。お前を信じる俺を信じろ!!』

               『俺が乗るっていってんだ!!』

                      『顔が二つたあ生意気な!!』

               『俺にはさっぱりわからねえ!!』

        『いい度胸じゃねえか!!』

    『不倒不屈の、あ、鬼リ~ダ~!!』

『お前がやれ、シモン』

    『弟分の物を横取りするなんて、俺にできるもんか!!』

        『バカヤロウ! 無理を通して道理をぶっ飛ばすんだよ!!』

               『似合いの武器だぜ、お前らしい!!』

                      『ドリルはお前の魂だ!!』

               『お前のドリルで、天を衝け!!!』

        『舐めんなよ・・・ガンメン共!!』

    『俺を誰だと思ってやがる!!!』

『それがつまり、『相棒』なんだよ』


『忘れんな。お前の傍には、俺がいる』

『お前が迷ったら、必ず殴りに来てやる』


 ゴーグルの中には涙が溜まっていた。涙は止まらない。止まるわけがない。
 アニキと過ごした時間に無駄な物など一秒たりとも存在しない。

『無茶で無謀と笑われようと、意地が支えの喧嘩道』

 アニキ。

『壁があったら殴って壊す!! 道が無かったら、この手で作る!』

 アニキは、生きている間楽しかった?

『心のマグマが炎と燃える!!』

 俺、楽しかった。アニキと過ごした全ての時間が。

『超絶合体!! グレンラガン!!』

 俺はアニキを忘れない。だって、アニキだって、俺を忘れないでしょ?

『俺を!』

 だけれど、俺はアニキを頼っていちゃ駄目なんだ。自分で、グレン団を支えなきゃ。

『俺達を!!』

 だから、今まで

『誰だと思ってやがる!!!!』

 ありがとう。


 シモンが顔を振るった。
 ゴーグルの涙が、ラガンのコックピット内に振りまかれる。

 まだまだ泣き虫? そうだな、そうかもしれない。

 だけれども、俺は、もう泣かない。

 みんなを守る。

 ニアを。ヨーコを。仲間を!

 アニキが作った、グレン団を!!


「必殺」

 シモンが呟くと、ラガン内の螺旋状のゲージが、渦を巻いて増えていく。そしてその渦が、メーター画面を全て覆いつくした。
 ニアにも分かる。グレンラガンの中に溢れていく、強力な力。しかし、決して恐怖を抱く物ではない。強いて言うならば、
 この力は、全てを導く力。

 グレンラガンの体中から、小さなドリルが何本も現れた。
 そのドリルの力に押し負け、ゲンバーの体がグレンラガンから離れる。

「うおおっ・・・!?」

「あの技は!!」

 キタンとヨーコが驚きの声を上げる。
 あの技は、シモンがこれから使うこの技は!

 グレンが装着している、カミナのサングラスをモデルとした黒いサングラス状のブーメランがグレンから外れ、空中に舞い上がる。
 それを、グレンラガンはしかと握り締める。
 ブーメランを、グレンラガンは全力でぶん投げる。
 大気を斬り裂くブーメランは途中で二つに分裂し、ゲンバーの体に絡まるように突き刺さり、気付けばゲンバーの体は両手両足を強制的に開かれ、隙だらけの状態となった。

 グレンラガンの体中のドリルが巨大化し、かと思えば急に体の中に収まり、代わりに突き上げたグレンラガンの右腕が体の何倍はあろうかという超巨大なドリルへと姿を変えた。


「ギガ」


『いいか、シモン。忘れんな。お前を信じろ』


「ドリル・・・!!!」


『俺が信じるお前でもない。お前が信じる俺でもない』

『お前を信じる、お前を信じろ』


「ブゥレイクウウウウウウウウウウウ!!!!!!」


 グレンラガンのドリルが激しく回転する。
 その力に応じるかのように、グレンラガンの後方のブースターから螺旋状の光が発生し、その光は、強力な推進力となってグレンラガンの体を目にも止まらぬ速度で加速させる。

 激しく回転するドリルが、猛スピードでゲンバーへと突き刺さる。
 その場で回転し掘り進むまでも無く、一瞬でドリルは強固なゲンバーの装甲を貫いた。

 グレンラガンは体の巨大な穴の空いたゲンバーを背中に、ダイグレンの甲板へと着地した。
 ゲンバーに突き刺さっていたブーメランが戻ってきて、自らグレンの目へと装着される。
 直後ゲンバーは空中で大爆発を起こし、空を赤く染めた。

 シモンは、まだ涙を流しながら小さく呟いた。
 カミナへの、アニキへの・・・別れの言葉。

「・・・あばよ・・・アニキ」





 今ここに、グレン団の正式なるリーダーが誕生した。
 その魂は無限の力。彼が持つドリルは壁を砕き、大地を掘り進み、遂には天をも貫く。小さな体にでっかい志。小さなジーハ村で生まれた、小さいづくしの巨大な男。

 その名はシモン。上から下へと引き継がれた不屈の漢。




 今、ドリルは回転を始めた。
 そのドリルは、少しずつ回り続け、天への道を少しずつ進んでいく。

 まだまだ、物語は始まったばかり。

 これからも、シモン達にとって辛いことがあるのかもしれない。
 しかし、シモンのドリルは止まらない。

 螺旋の道を突き進み、その頂を目指し、

                    お前のドリルで、天を衝け










 あとがき

 長くてすいません。もっと短く仕上げるつもりだったんですが、楽しくてしょうがなかったので長くなりました。
 こういうことはちゃんとガイナックスの方々が正式にやるのですが、やはり楽しいですよね。いいシーンは書いてて。
 ここの初めて載せるバトル小説になると思います。とっつきにくい方も多いと思いますが、なれて(ぇ

 少しでも興味を持った方は是非ともグレンラガンを視聴してください。超超超オススメですので!!

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