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銀の働き部屋

管理人銀河の、日記兼テキストサイトです。取り扱うジャンルは主にヤングガンガン連載のWORKING!!になると思います。最近は東方の霖之助小説を書くのにも夢中。どうかよろしくお願いします。リンクはフリーです。感想は常に受付中です!もらえたら泣いて喜びます

唯一自分を壊す人 相馬×山田

 小説書いたので載せようと思います。
 相馬×山田ですが、カップルというよりは兄妹みたいな物をイメージして書きました。甘さはちょい甘です。
 タイトルは『唯一自分を壊す人』です。では続きからでどうぞ。










「佐藤君、俺休憩だから」

 夕方のワグナリアキッチン。そこで、相馬博臣はいつもどおりの笑顔で、同僚の佐藤潤にそう言った。

「おう。山田も休憩中だから騒がしいと思うぞ」

 佐藤は仕事をしながら視線も向けずにそう言った。
 その言葉を聞いて、相馬は若干顔を引きつらせたが、

「まあ、頑張って休むよ」

 そう言って休憩室へと向かった。



 相馬が山田がいると聞いて様子を変えた理由は簡単である。

 ワグナリア最強の人物が白藤杏子・・・つまり店長であることは、ワグナリアに働いている人物ならば誰もが知っていることだ。
 しかし、直接的な力・・・まあ暴力とも言うが・・・こそ無い物の、圧倒的なまでの情報量で人を震え上がらせることができる人物。それこそ、ワグナリア裏の番長相馬博臣である。

 しかし、そんな圧倒的情報量を持つ相馬が苦手意識を持つ人物が数人いる。

 まずは店長。店長には、相馬の口での戦いは通用しない。相馬の知りうる弱みなど店長にとっては殆ど意味を成さないものであるからだ。この強さもあって、店長はワグナリア最強と呼ばれるに値するのかもしれない。
 次に、このワグナリアのマネージャーである音尾兵吾、またその妻である音尾春菜の2人。
 音尾兵吾には、相馬が言う・・・『説得』に使用できるような弱みが存在しない。これは普通の人間の中ではかなり珍しい事例ではあり、そのせいで相馬は音尾を『説得』によって操ることができない。妻の春菜は、何年も前から行方不明であり、その所在は相馬の所持する奥様ネットワークその他もろもろを駆使しても判明しない。そのため、相馬は数少ない素性が分からない人物として苦手視している。

 そして、これから入る休憩室にいるはずである山田葵。普段からワグナリアで元気に働いている謎多き女の子。
 まあ、その謎も相馬からしてみればそこまで謎めいたものではないのだが、これはまた別の話。
 ともかく、そんな彼女も相馬が苦手とする人物の一人であることには間違い無い。
 何といっても、彼女の手によって相馬は生まれて初めて他人に弱みを握られたのだ。相馬にとってこれほど屈辱的な経験はそうなかった。
 それだけでなく、いつもマイペースを貫く相馬の調子を乱すことができる数少ない人物の一人でもある。
 山田の行動は相馬にすら読めない事がるため、予想外の事態が発生してしまったことは少なくない。
 だから、自分のペースを乱し、自分の望まない結果を生み出す恐れのある山田に相馬は若干の恐怖すら覚え始めているのだ。

「・・・まあ、こんな時までいちいち気にはしてられないか」

 はあ、と軽く溜息をついてから、相馬は顔を普段の笑顔に戻し、休憩室の扉の取っ手に手をかけた。
 どんな話に付き合わされるか分からないし、休憩らしい休憩ができる確率の方が低いかもしれないが、慣れた方が後々のためだ。
 そう結論を出し、扉を開けた。

「山田さん?」

 そう言いながら休憩室に入る。

 が、そこに広がっていた光景は全く予想外な物だった。

「・・・寝てる?」

 そう。山田は、窓から差しこむ仄かに紅く染まった日の光に照らされながら、テーブルに突っ伏して寝息をたてていたのだ。
 相馬は大きな音を出さないように静かに歩き、静かに椅子を引き、静かに座り込んだ。

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 無音が暫くの間続く。

(山田さんの休憩時間はまだ残っているだろうし、起こすのも何だかなあ・・・)

 そんな事を考えていると、山田の体が少し動いた。
 起きるのかと思ったが、テーブルへ突っ伏していた顔を少し横にしただけでまだ起きる気配は無い。

 相馬はもはや困惑し始めていた。
 山田の事を苦手視しているとはいえ、熟睡しているのに起こすのは何だか可哀想な気もするし、このままじっとしているだけの休憩時間を過ごすのもあまり面白く無い。

 ・・・そうだ。

(寝顔を写真に収めておこう)

 心の中でそう呟き、相馬は立ち上がった。そしてポケットから自前のカメラを一つ取り出す。
 山田の写真を欲しがっている人がいるという情報は今の所入っていないし、山田自身が見せびらかされて困るほどの写真でもないかもしれないが、「説得」に使う素材が増えることに越したことは無い。

 相馬は寝ている山田の横に立ち、その顔を覗き込んだ。
 夜更かしでもしたのか、本当に熟睡しているようで多少のことでは起きる気配も無い。その寝顔にはまだまだ幼さが残っている。
 好都合だ。相馬は心の中でほくそ笑むとカメラを構えた。
 シャッターに指をかけ、力を入れる。

「・・・くしゅんっ!」

 突然の山田のくしゃみに、相馬は肩を僅かに震わせた。そしてすぐにカメラをポケットにしまい、山田の様子を見る。
 山田はくしゃみをした後、「う~ん」と小さく呻いただけで、また深い眠りについたようだった。

「・・・・・・・・・・・・・・」

 そういえば、春が近づいているとはいえ北海道にはまだまだ寒さが残っている。
 しかも、山田が住んでいるのはこのワグナリアの屋根裏であり、暖房など当然あるはずもない。
 もちろん、対策として体を温める何かを用意はしているのかもしれないが、それでも足りない日はあるだろう。
 もし、その足りない日が昨日だったら?
 ここで寝ている原因が体調不良によるものだとしたら?

「・・・・・・・・・・・・・はあ・・・」

 相馬は深めに溜息を一つついてから、仮眠用のかけ布団を取りに向かった。
 適当な大きさのものを一つ拝借して、山田の背中にゆっくりとかけてあげた。

 そして、相馬は自分が座っていた席に座ると、相馬もテーブルに突っ伏した。

「・・・・・・何やってるんだ、俺」

 溜息と共に、そう呟いた。

 と、

「葵ちゃん? そろそろ休憩時間終わり・・・」

 休憩室に轟八千代が入ってきた。
 相馬は体を急いで起こし、八千代と目を合わせた。
 八千代はそんな相馬を見て首を傾げ、それから山田を見る。すると顔を明るくして、

「あれ? 葵ちゃん寝てたの? 布団は相馬君が?」

 ほんの少しいたずらっぽく八千代はそう尋ねた。
 相馬は顔をひきつらせながら言葉を考える。これも弱みになりかねない。
 そして、出た言葉は、

「いや、山田さん風邪気味みたいだったから。どうせ暇だったし・・・」

 と、なんとも捻りの無い普通のいい訳をした。
 言ってから、相馬は「しまったああああああ!!」と心の中で悶絶していた。

「まあ、本当? じゃあ、今日は早めに上がらせた方がいいわね」

「そ、それがいいと思うよ」

 相馬はもはや気分が悪く、一刻も早くこの部屋から出て行きたい気分であった。
 八千代は部屋の中へ入ってきて、山田の肩を揺らして起こす。

「葵ちゃん?」

 そう呼びかけながら起こすと、山田は小さく呻きながら体を起こした。
 寝ぼけているようで、すぐには何も言わず、肩にかけられている布団にじーっと視線を送っていた。

「もしかして風邪気味? 今日はもう休んだ方がいいんじゃない?」

 そう八千代が確認すると、山田は思い出したかのようにくしゃみを一つして、鼻をすすらせた。

「・・・はい。そうします」

 すっかり元気の無い声でそう言うと、布団の端を掴んで体を布団で包み込んだ。
 八千代は頷くと、相馬に向かって、

「相馬君。休憩時間の間、葵ちゃんの看病しててくれる?」

「へ?」

 突然の言葉に、相馬はかなり間抜けな声を出した。
 何を言おうか考えようとしたが、八千代がもう一回、「おねがい」と言ったのを聞いて、仕方なく頷いた。

「葵ちゃん? 何か食べたい物ある? 佐藤君に頼むわね」

「・・・雑炊食べたいです」

「分かったわ。じゃあ、ここで休んでて? 後で私も看病に来るから、それまでは相馬君に頼んで?」

 相馬は、「え」と言いたい気分だったが、流石に空気を読んで何も言わなかった。
 八千代は仕事に戻る際、「おねがいね」と最後にもう一回言った。

 休憩室の扉が閉められ、休憩室にはまた相馬と山田しかいない空間となった。
 相馬は何をするべきかと迷い、山田をちらりと見た。
 山田はぼーっと布団で体を包んだまま椅子に座っていた。

「えっと、とりあえず布団を敷くね。そこで休んで?」

 相馬は立ち上がり、布団を取りに行くために山田の横を通り過ぎようとした。
 すると、突然山田が相馬の服の袖を掴んだ。

「・・・山田さん?」

 相馬が声をかけると、山田は顔を上げてじっと相馬を見た。
 その顔はやや赤らんでいて、息も乱れている。完全に風邪のようだ。

「・・・大丈夫?」

 相馬はしゃがみ、山田と頭の高さを合わせてそう尋ねる。
 山田はしばらく何も言わずに、ただじっと相馬を見ていた。
 だが、突然前のめりに倒れるように、相馬の胸にぽすんと体をぶつけた。

 相馬は訳が分からなくなり、何も言えずになんとなく頬を赤らめながら山田の挙動を見続けていた。
 すると、山田は小さく頭を動かしながら、

「・・・お兄ちゃん・・・」

 そう呟いた。

 それを聞いて、相馬は目を大きく見開いた。
 そして、何か言おうかと考えていたのだが、荒れた息が寝息に変わったのを聞き、いったんテーブルへと山田の体を動かした。

 相馬は、静かに微笑んだ。

 久々に浮かべた、本心の笑み。

「さて、布団敷かなきゃ」

 相馬はしゃがんでいる体勢から立ち上がり、布団置き場へと向かった。





 相馬博臣は、山田葵が苦手である。
 その理由は簡単に説明できる。

 山田葵は、相馬博臣を動揺させ、困惑させることのできる数少ない人物の一人だからだ。

 ただ、相馬はぼんやりと気付き始めていた。


 苦手と嫌いは全くの別物であるということを。
 







 あとがき

 途中の相馬が殆ど変態ですね。なんだこれ(ぇ
 前にも書きましたが、やはり相馬の裏事情とか考えるとはっきりとした恋愛物は書きにくいですねー。兄妹で俺は考えてるんで、どうかそのような目で。
 誤字などがあると思うので語報告お願いいたします。

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